やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ

診療英語がわかる

近年、外国人受診者が増えていますが、スマートに英語で対応するのはなかなか難しいでしょう。本書では、基本的な応対のフレーズを学ぶことができます。一般医の方は、基本のおさらいとしても使えるので手元に置いておくと何かと役に立つかもしれません。

安藤 克利 (著), 大山 優 (監修), Jason F. Hardy (その他), 遠藤 玲奈 (その他)
出版社: 羊土社 (2012/9/5)、出典:出版社HP

謹告

本書に記載されている診断法・治療法に関しては、発行時点における最新の情報に基づき,正確を期するよう、著者ならびに出版社はそれぞれ最善の努力を払っております。しかし,医学、医療の進歩により、記載された内容が正確かつ完全ではなくなる場合もございます。

したがって、実際の診断法・治療法で,熟知していない,あるいは汎用されていない新薬をはじめとする医薬品の使用,検査の実施および判読にあたっては、まず医薬品添付文書や機器および試薬の説明書で確認され、また診療技術に関しては十分考慮されたうえで、常に細心の注意を払われるようお願いいたします。
本書記載の診断法・治療法・医薬品・検査法・疾患への適応などが、その後の医学研究ならびに医療の進歩により本書発行後に変更された場合,その診断法・治療法・医薬品・検査法・疾患への適応などによる不測の事故に対して,著者ならびに出版社はその責を負いかねますのでご了承ください。

監修のことば

安藤先生とは彼が亀田総合病院呼吸器内科で後期研修医をしているときに出会った、呼吸器内科と腫瘍内科は胸部キャンサーボードやコンサルテーションを通じて交流が深く日頃から接触する機会が多い安藤先生は真面目な努力家で、腫瘍内科にもローテーションし活躍してくれた。

本書に書かれている内容は,私が米国で臨床研修と診療をしている最中に実際に使用した会話内容とほぼ一致する。また初学者にわかりやすいように場面ごとにやさしく書かれ、使用頻度の高い言い回しは繰り返し出てくるので通読すると次第に表現に慣れると思う。また表現内容は文法が教科書的なものではなく,現場で話されている実践英語(口語)である.そのため患者さんと会話する直前に読んで内容を大まかに暗記するだけで、いままでとは違った会話ができると思う。

私も実際英語に慣れるまでは,一緒に診療してくれたアメリカ人医師が使用していた表現を自らノートに手書きして暗記し,その後覚えた表現を使用して徐々に会話を上達させたが、本書はその手書きのノートがそのまま本になった感じである。医療の中での会話内容は膨大であるが,本書はその入り口としてとてもわかりやすくなっており,医療英語初学者にはお薦めの一冊である、留学や日本で英語で診療する医師には本書を活用していただきたい。

2012年8月
亀田総合病院腫瘍内科部長
大山優

はじめに

「やさしい英語で外来診療」は,日常診療で外国人患者を診察する機会のある医師や英会話力の向上を望む医療者,さらに米国の医師免許取得(USMLE)を目標に勉強している医学生などを対象に執筆しました。医療現場で実際に使用可能なフレーズを発音しやすく覚えやすいものになるよう心がけて執筆したため、実際にどのような場面で使用するか想像しやすいものになっていると思います。本書を用いて、大学や病院など身近な場所で日本人同士でも英会話の練習が可能になると思います。

筆者は,元々英語が苦手であり、学生時代の英語の成績は散々たるものでした。しかし,米国臨床留学に興味をもち英語の勉強をしたところ,USMLEに合格でき自分の自信や苦手意識の克服につなげることができました。英語が苦手な筆者がUSMLEを受験するにあたり最も苦労したこと,それは日常診療で使用可能な表現方法を知ることでした。このため,日本にいながら医療英会話を勉強し,練習可能な本があれば!と思い、本書を企画,執筆するに至りました。

本書を執筆するにあたっては,亀田総合病院腫瘍内科大山優先生に多大なる協力と助言をいただきました、筆者が大山先生に出会いご指導いただく機会をもてたのは後期研修医時代のことですが,グローバルな視点で診療・教育されている姿に衝撃を受けたのを今でも覚えています。その経験は糧となり,現在でも学んだことを生かせるように日々努力しています.また,大学時代からの仲で英会話教師であるJason,現在の研究グループに属したことで知り合うことのできた遠藤さん,本書の出版趣旨に賛同していただいたいた羊土社と細かい編集に至るまでご尽力いただいた編集部の溝井レナ氏,鈴木美奈子氏に心より深謝申し上げます。

2012年8月
安藤克利

安藤 克利 (著), 大山 優 (監修), Jason F. Hardy (その他), 遠藤 玲奈 (その他)
出版社: 羊土社 (2012/9/5)、出典:出版社HP

CONTENTS

監修のことば…大山優
はじめに…安藤克利

part1 診察のキホン
S1 問診
1. あいさつ
1 名前の確認
2 あいさつと自己紹介
3 Draping Technique
4 開放型質問
16
2. 現病歴(疼痛に対する問診)
1 痛みの部位(site)
2 痛みの強さ(intensity)
3 痛みの質(quality)
4 痛みのはじまり(onset)
5 放散痛の有無(radiation)
6 痛みの持続期間や変化(duration)
7 痛みの増悪・軽快因子 (aggravating and alleviating factors)
8 関連症状(associated symptoms)
3. 現病歴以外の問診
1 導入
2 同様症状の有無 (previous episodes of chief complaint)
3 アレルギー歴(allergy)
4 既往歴/入院歴 (past medical history / hospitalization)
5 内服歴 (medication)
6 家族歴 (family history)
7 産婦人科の既往歴 (obstetrical history)
8 喫煙歴(smoking history)
9 生活歴(social history)
10 問診のまとめ
11 診察の前に

S2 診察の進め方
1. 心血管系の診察
1 胸部の診察
2 四肢の診察
3 頸部の診察
2. 呼吸器系の診察
1 前胸部,背部の診察
2 爪の診察
3. 腹部の診察
1 腹部の視診
2 腹部の聴診
3 腹部の打診
4 腹部の触診
4. 頭頸部の診察
1 頭部・副鼻腔の診察
2 眼の診察
3 鼻の診察
4 耳の診察
5 口の診察
6 甲状腺の診察
7 リンパ節の触診
5. 神経学的診察
1 脳神経の診察
2 深部腱反射
3 感覚
4 運動機能
5 小脳症状
6 歩行障害
7 高次脳機能
6. 四肢・整形外科的診察
1 四肢の診察

S3 カウンセリング
1. 説明とカウンセリング
1 患者への説明
2 カウンセリング
2. 質問への対応のしかた
1 病気に対する質問
2 その他

part2 シーンにあわせた診察
S1 疼痛
1 頭痛 (headache)
2 胸痛 (chest pain)
3 腹痛 (abdominal pain)
4 腰痛 (back pain)
5 関節痛 (joint pain)

S2 全身症状
1 疼痛以外の症状に対する共通のアプローチ
2 全身倦怠感 (fatigue)
3 体重減少 (weight loss)

S3 循環器・呼吸器症状
1 動悸 (palpitation)
2 呼吸困難 (dyspnea)
3 咳・痰 (cough/sputum)

S4 消化器症状
1 嘔気・嘔吐 (nausea / vomiting)
2 下痢・便秘 (diarrhea / constipation)
3 下血・血便 (blood in stool)
4 嚥下困難 (dysphagia)

S5 泌尿器症状
1 尿閉 (urinary retention)
2 男性性機能障害(male sexual dysfunction)

S6 神経筋症状
1 麻痺 (paralysis)
2 めまい (vertigo/dizziness)

S7 精神・皮膚症状ほか
1 睡眠障害 (sleep disorder)
2 皮膚症状 (skin manifestation)
3 ドメステックバイオレンス (domestic violence)

S8 小児科診察
1 小児の問診
2 乳児健診 (health checkups)
3 発熱 (fever)
4 遺尿症 (enuresis)
5 小児外傷 (pediatric trauma)

S9 産婦人科診察
1 産婦人科の問診
2 月経異常 (abnormal bleeding patterns)
3 帯下 (vaginal discharge)
4 子宮収縮(contraction)
5 胎動減少(decreased fetal movement)

付録 Let’s Try 英会話
付録1:会話例19 咳が止まらない
付録2:会話例20 最近寝付けないんです…実は
付録3:会話例21 子どもが急に熱を出した!
索引

会話例
1 はじめまして
2 現病歴の問診
3 アレルギー歴
4 家族歴
5 婦人科既往歴
6 飲酒歴
7 薬物使用歴
8 性交歴
9 記憶障害、計算障害のテスト
10 突然、激しい頭痛が!
11 最近、疲れやすいんです
12 突然、動悸がした
13 昨日から下痢がひどくて、お腹も痛い
14 近ごろ尿が出にくくなった
15 めまいがして気持ち悪い
16 小児科健診
17 産婦の診察
18 陣痛が始まった?
19 咳が止まらない
20 最近寝付けないんです…実は…
21 子どもが急に熱を出した!

付属CDについて

付属CDで会話例の音声を聴くことができます。 本文中のCDマーク上の番号はCDのトラック番号と対応しています。
※付属CDはオーディオCDです。音楽CDプレーヤー、音楽CDに対応したパソコンで再生することが可能です
※スピーカーやイヤホンの性能によって音質に多少差が出る可能性があります
※付属CDは本書の一部です。複製・配信等は本書に準じて禁じます

Vocabularyの見かた


同じ意味の専門用語や類語があるときはここに示します。
口語 一般的に会話で用いられる用語
専用 専門用語,一般には通じないこともある
名 名詞 動 動詞 形 形容詞 副 副詞

安藤 克利 (著), 大山 優 (監修), Jason F. Hardy (その他), 遠藤 玲奈 (その他)
出版社: 羊土社 (2012/9/5)、出典:出版社HP