上達する人はここが違う!
本書は、英語の学習法や普段の習慣を変えるだけで、英語の能力が格段に上がることをまとめた本です。セクションごとにQ&Aの形式で、英語ができる人とできない人の違いを対比させています。例えば、学習効果を高めるためには、朝に学習する方がよく、夜に学習すべきでない、といったものや、学習を中断しないためには、スマホを遠ざける方が良く、スマホに頼るべきではないといったセクションもあります。
はじめに
もともと英語は「大の苦手」だった英語ができるか、できないか――。それは、効果的な学び方を身に付けているかで決まります。かつて私は、英語が大の苦手でした。
「記憶力が悪くて、単語を覚えられない!」「『やるぞ!』と思っても、先延ばしにしてしまう」「全然スコアが伸びない――」「英語で話すなんて、絶対にムリだ」「自分には、英語学習は向いていないのではないか……」
これらはすべて、私が感じていたことです。中学時代から英語のテストはさんざんで、全く点数が取れず苦手意識は募るばかり……。高校時代はまさに人生のどん底で、英語はもちろん、勉強そのものができない、スポーツもできない、やることといったらケンカばかりする問題児でした。
そんな高校3年のとき、偏差値30だった私は大学受験を志します。まともに勉強してこなかったため、中学の英語の参考書から学び始めました。でも、内容がチンプンカンプンで全然わかりません。
英語力は「学び方次第」で、ケタ違いに伸びる!
もともと夜型人間でしたが、全く勉強がはかどらなかったため、思いきって、朝型の勉強に切り替えて本腰を入れて学び始めたのです。すると、驚くほど頭が冴えて知識もグングン吸収でき、勉強もドンドンはかどっていったのです。
「時間帯を変えるだけで、効果が倍増するのか!学び方次第で、英語力もグンと伸びるのではないか――」こんな希望を持ちました。
それまでは、些細なことでモチベーションが低下して、英語学習を先延ばしにしていた私。だからこそ、「挫折せず、学び続けられるカンタンで効果が出るやり方」を探し始めたのです。
その後、苦手だった単語の覚え方に始まり、スピーキング、ライティング、リスニング、リーディングの学び方を一気に見直しました。
効果的な方法で学び続けた結果、偏差値を30ほど上げ、同志社大学に合格しました。その後、ケンブリッジ大学院を受験し合格しています。英語の学び方の一例を挙げると、
・暗記するのではなく、接触回数を増やす・スマホを遠ざける・聞き流すのではなく、音楽を聞くように聞く・リスニングのスコアを伸ばすために、窓を開けて音声を聞く
いずれも、カンタンですぐできることばかりです。たったこれだけのことですが、驚くほど英語力のUPに繋がったのです。
コレなら、もっと話せる!活躍できる!
ケンブリッジ卒業後は起業し、英語教室を主宰しており、これまで400名以上の学生・社
会人の方々が海外留学を成功させています。本書では、これまでの私の経験や英語指導の実情を踏まえて、有効だとわかっている方法を厳選してご紹介していきます。
実際に、効果があったもの、効果がなかったものが、英語を学ぶ受講生の方々の結果を踏まえてわかっているので、いずれも実践的かつ続けやすい方法ばかりを選んでお伝えしていきます。
具体的なメソッドを余すことなくお伝えすることで、皆さんの英語学習が一気に効率的なものになり、加速するグローバル社会において英語を使ってたくさんの人とコミュニケーションする楽しさを味わっていただければ嬉しいです。
本書でご紹介する方法で学べば、読者の皆さんの英語力は日々、確実に上達していきます!さあ、ご一緒に英語を使って楽しくコミュニケーションする力を着々と蓄えて、世界がどんどん広がる楽しさを体験しましょう!
二〇二〇年一月塚本亮
目次
はじめに
Prologue
英語ができる人、できない人はココが違う
英語ができる人とは?-…
できる人は、「英語で話すこと」を大事にする
できない人は、「試験のスコア」を大事にする
何をどのように学ぶといい?
できる人は、「英語を話す時間」を増やす
できない人は、「座学の勉強時間」を増やす
「話す力」は、どうすれば伸びる?
できる人は、「話すレベル」に応じてトレーニングする
できない人は、漠然とトレーニングする
「日常の会話力」を伸ばすには?
できる人は、「話す場面」に身を置く
できない人は、「話す機会」を待つ
「スピーキング」のスコアを上げるには?
できる人は、「現在形」以外も使って話せる
できない人は、「現在形」だけで話す
留学レベルの「話す力」のつけ方とは?
できる人は、アウトプットに時間をかける
できない人は、インプットに時間をかける
Chapter1
ちゃんと成果が出る!学び方のキホン
「成果が出る」学び方とは?
できる人は、「五感」でインプットする
できない人は、「目」からインプットする
時間を有効に使うには?
できる人は、「タイマー」で集中力を高める
できない人は、「大きな時間」で捉える
どうすれば記憶できる?
できる人は、「復習こそが最強だ」と考える
できない人は、「一度で完璧」を求める
知識を定着させるには?
できる人は、「3回」繰り返す
できない人は、「新しいこと」を次々に覚える
試験のスコアが伸びる学び方とは?
できる人は、「部分練習」で基礎を固める
できない人は、いきなり「全体練習」を始める
Chapter2
英語学習がコレで英語学習がラクラク続く!
挫折しないためには?
できる人は、「できそうな参考書」を買う
できない人は、「難しい参考書」を買う
能率を上げるには?
できる人は、「環境を変えて」集中力を増す
できない人は、「同じ環境」で誘惑に負ける
学習習慣をつけるには?
できる人は、テキストを「見える場所」に出しておく
できない人は、テキストを「本棚」に入れておく
モチベーションを保つには?
できる人は、“超、短期目標でやる気を高める
できない人は、長期目標でやる気を失う
どうすれば勉強がはかどる?
できる人は、「脳のリズム」をフル活用する
できない人は、「疲れた脳」で自信を失う
学習効果を高めるには?
できる人は、朝、勉強する
できない人は、夜、勉強する
勉強の先延ばしをやめるには?
できる人は、試験日を“今スグ、決める
できない人は、「試験を受けなきゃ」と考える
目標を100%達成するコツは?
できる人は、目標の先にあるものを意識する
できない人は、目標を立てて満足する
パフォーマンスを上げるには?–
できる人は、やることを「2つ」に分類する
できない人は、何となく取り組む
学習を中断させないためには?
できる人は、スマホを遠ざける
できない人は、スマホに頼る
Chapter3
「スピーキング」「ライティング」のすごい学び方
英語で会話するコツは?…
できる人は、「会話のフロー」を大切にする
できない人は、「文法」を忠実に守る
「使える単語」は、どのぐらい必要?…
できる人は、「基本5動詞」を使い回す
できない人は、「難解な表現」にチャレンジする
発音はどのぐらい大事?
できる人は、発音を捨てる
できない人は、発音にばかりこだわる
英語でパッと話すコツは?
できる人は、パターンで話す
できない人は、翻訳思考
表現力はどうしたら身に付く?
できる人は、フォーマットで日記を書く
できない人は、話す練習ばかりする
「英語が通じない…….」の打開策とは?
できる人は、腹式呼吸をする
できない人は、胸式呼吸をする
上手な意見の言い方とは?
できる人は、「一問三答」で答える
できない人は、「一問一答」で答える
Chapter4
「リスニング」「リーディング」のすごい学び方
聞く力をつけるには?
できる人は、「お気に入りの曲」のように聞く
できない人は、英語をシャワーのように浴びる
意味を素早くつかむには?
できる人は、英語をイメージで捉える
できない人は、日本語で捉える
リスニング試験のスコアを上げるには?
できる人は、点数が上がらない「原因」を探す
できない人は、ひたすら「リスニングの練習」をする
リーディング試験のスコアの上げ方とは?
できる人は、設問を「読まない技術」を磨く
できない人は、設問を「全部読もう」とする
効果的な音読法とは?
できる人は、「3ステップ」で音読する
できない人は、何となく音読する
英語の音をかたまりで認識するには?
できる人は、リズム感を磨く
できない人は、発音ばかり練習する
英語耳の作り方とは?
できる人は、「3ポイント」で耳を磨く
できない人は、とりあえず英語を聞き続ける
ディクテーションのやり方とは?
できる人は、「何を言いたいか」をザッとつかむ
できない人は、一言一句、聞き取ろうとする
Chapter5単語・文法の超効率的な学び方
語彙力をつけるには?
できる人は、1つの単語を「10回で覚える」
できない人は、学習ルールをつくらない
暗記の効率を上げるには?
できる人は、ゲーム形式で単語を覚える
できない人は、単語帳で効率を落とす
語彙を一気に増やすコツとは?
できる人は、「わかる単語」をどんどん増やす
できない人は、「二刀流」でつまずく
会話に役立つ「文法力」を身に付けるには?–
できる人は、文法を「洋書」で学ぶ
できない人は、文法を「和書」で学ぶ
覚えられない単語はどうする?
できる人は、カード化する
できない人は、単語帳だけで覚える
Chapter6
スコアが伸びる!試験勉強のコツ
スケジュールの立て方は?
できる人は、試験勉強を「90日でやる!」と決める
できない人は、試験勉強を「1年でやる!」と決める
リスニング試験のスコアを“さらに、伸ばすには?
できる人は、「問題文を速読する」練習をする
できない人は、「聞く練習」ばかりする
中級レベルの英語力をつけるには?
できる人は、「1000単語」覚える
できない人は、あれこれ学んで「中途半端」
「本番」で力を発揮する秘けつとは?
できる人は、「窓を開けて」音声を聞く
できない人は、「イヤホンで」音声を聞く
高スコアが出る!問題の解き方とは?
できる人は、「易しい問題」から解いていく
できない人は、「順番通り」に解いていく
試験直前、当日の過ごし方とは?
できる人は、やってきたことを振り返る
できない人は、新しい問題に手を出す
あとがき
装丁……井上新八
装丁イラスト…….関谷由香理
本文デザイン、イラスト、図版作..草田みかん
本文中に登場する商品名などは、一般に商標として登録されています。ただし、本書では
煩雑になるため、TM、R表記などは省略しています。
Prologue
英語ができる人、できない人は、ココが違う
Section1英語ができる人とは?
できる人「英語で話すこと」を大事にするできない人「試験のスコア」を大事にする「試験で測れないカ」を伸ばすことが大事!英語ができる人の定義はこの10年で大きく変わりました。かっては、量的な指標で測れるもの、つまり英語の試験でいいスコアを取れる人が「英語ができる人」だと考えられてきました。
しかしグローバル化が進んだことによって、今は話す力と聞く力が求められるようになりました。
海外の企業と対等に取引をするために必要な英語力や、海外に打って出るための英語力、人材マーケットのグローバル化によって同僚と英語でやりとりする英語力などが求められるようになっています。
英語をツールとして使いこなす力――、すなわち、現場で英語を使ってコミュニケーションできる人が「英語ができる人」です。
今の時代における「英語ができる人」の条件をもう少し噛み砕くと、
1英語の知識がある程度あること(完璧である必要は全くない)2英語を積極的に話す姿勢があること3自分の意見を持っていること
この3つが重要であるように思います。ここで大事なことは英語を使ってコミュニケーションする力を身に付けるためには、2と3のように数値で測れない力を鍛えることが必須であるという点です。
知識については試験などで数値にして測りやすいのですが、23については数値では測りづらいのが実情です。
本来は、数値化し目標を持ったほうがやりがいはあると思いますし、成長している感覚も持ちやすいのですが、これだけでは英語が使えるようになるとはいえないのです。
昨今求められている英語力とは、2と3の力を備え、日々レベルアップさせていくことです。数値化しにくい能力であるからこそ、この力を磨くよう意識することが大切なのです。こうした視点を持ち続けることで、実践的な英語力が身につくため、日々上達を実感することができるのです。
Rule英語で「意見を言う力」を磨いていこう◆英語ができる人とは○英語でコミュニケーションできる人話す力×聞く力がある×勉強だけする人勉強だけではコミュニケーションカは伸びない英語でコミュニケーションできる力のほうが大事!
Section2何をどのように学ぶといい?できる人「英語を話す時間」を増やすできない人「座学の勉強時間」を増やす試験のスコアはやり方次第でグンと伸びる
先ほどお話ししたように、昨今はこれまで以上に「数値で測れない力」が重視されるようになってきました。そこで私は、英語力をつけるためには、「数値で測れる部分」と「そうでない部分」の2つに分けて上達を図る必要があると感じています。
「数値で測れる部分」を伸ばすとは、試験のスコアを伸ばす
であり、「そうでない部分」を伸ばすとは、英語でコミュニケーションする力を磨くということです。
◆英語力をつけるには、数値で測れない力を伸ばすことが大事英語力試験に出る知識等→数値で測れる英語でコミュニケーションするカ数値で測れない試験のスコアを伸ばすのは、コツさえわかれば、一定のレベルには到達できます。でも、
英語でコミュニケーションする力は、一朝一夕には伸びません。相手の話を聞く力や、自分の考えを英語でパッと表現する力など、複合的な力が求められるからです。だからこそ座学の時間だけでなく、英語を使って話す力をつける時間を意識的に確保してほしいのです。
まずは試験勉強について見てみましょう。例えば、TOEICテスト(以下、TOEIC®)のリスニングで400点取れる人(495点満点)と200点しか取れない人とでは聞く力の基礎力はやはり異なります。満点を目指す必要はなくても、400点くらいは取れる力をつけることは有益だと考えます。
話す力をつけるうえで、文法問題のスコアを上げることは、それほど重要だとは思いませんが、最低限の文法力をつけておけば、英語を理解するための基礎力になるため、リーディングのスコアアップにはつながります。
なお、2級以上の英検やIELTSは「スピーキング」「ライティング」「リーディング」「リスニング」の4技能がバランスよく測定される試験なので、ぜひチャレンジしたい試験ですが、4技能ともにバランスよく伸ばす必要があるので、クリアするには少しハードルが高いという側面もあります。
英語で話す時間をしっかりつくろう
やはり試験勉強をしているだけでは、話せる力は身に付きません。話す力の上達も追求していきたいですね。話せるようになるには、やはり量をこなすことが大事です。簡単な方法としては、どれだけ英語を話す時間があったかを記録することは効果があります。なお、英語を話すプロセスは、
1「言いたいことが頭に浮かぶ」2「浮かんだ言葉を英語にする」3「英語にしたものを声に出す」
この順で行われますから、量をこなしていくことで、浮かんだ言葉を英語にするスピードは速まっていきます。
1と2をスムーズに行うには、やはり「英語の型」を覚える必要があります。すなわち、語彙力や定型表現を覚えるということです。その意味では、試験勉強を生かすのはとても有効な方法です。
◆英語を話すプロセス
1言いたいことが頭に浮かぶ2浮かんだ言葉を英語にする3英語にしたものを声に出す
スポーツと同じで、目標を持つことでモチベーションを高く持つことができますし、受験日を決めることで具体性のある勉強をすることができます。
私は英検1級を受けるために英単語を3000個ほど覚えましたが、それらは日常会話ではあまり出てきません。ただふとしたときに英字新聞で目にしたり、映画を見ているときに耳にしたりすることがあって、「あ、あんな意味だったな」と思い出すことがよくあります。意外と頭の片隅に記憶されているのです。
試験勉強で習得した内容は、日常的にはそれほど使う場はないかもしれませんが、ふとしたときに活用する場が訪れることがあります。その意味では、試験を活用することは有効だと思います。
座学の勉強をしつつ、英語を使う経験値を高めていきましょう。話す量を確保することにこだわってください。話す機会が増えれば増えるほど英語は確実に上達します。話せないのは、英語を話す量が足りていないだけなのです。
Rule語彙や定型表現を増やしながら英語を使っていこう
◆話す力は総合力!
英語で話す力定型表現 構文力聞く力 リスニングカ語彙力 表現力英語でパッと話す力 スピーキングカ試験勉強を活用しながら、具体的に学んでいこう!
Section3
「話す力」はどうすれば伸びる?
できる人「話すレベル」に応じてトレーニングするできない人漠然とトレーニングする話す力を「3つのレベル」に分ける
話す力を伸ばすといっても、日常会話力をつけたいのか、試験のスコアを伸ばしたいのか、留学するための英語力をつけたいのかで英語の学び方は変わります。
まずは、どのレベルの力を身に付けたいのかをはっきりさせてから取り組みましょう。本書では、話す力を1日常会話力、2試験対策、3留学するための会話力の3つに分けて、それぞれの能力の伸ばし方を見ていきます
①日常会話で求められるレベルは?
日常会話力を伸ばす場合に重要となるのは、簡単な英語でいいのでレスポンシブに、テンポよく伝えたいことを言葉にすることです。
伝わることが第一なので、難しい単語をわざわざ選ぶ必要はありません。文法的に多少おかしくてもそれほど問題はないのです。それ以上に会話のテンポ、会話の雰囲気、気持ちのキャッチボール力が重要ですね。表情やジェスチャーなど、言葉にならない非言語の部分もコミュニケーションに含まれます。
雰囲気で伝わるものもありますよね。それも含めてコミュニケーションなので、試験のときのように全てを言語にしなくてもいいのです。
例えば、日本語で話すときも、言葉が見つからなくて、「あぁ、なんて言えばいいでしょうかね」と言ったときに、「××みたいな感じですか?」と誰かが教えてくれて「そんな感じですね!」と会話が成立することがありますよね。これは英語で話すときも同様です。その意味では、英語の質は70%を目指す感じでいいのです。
Point・伝わればOK!・簡単な表現で、テンポ良く話そう・英語の質は70%ぐらいでいい
②試験で求められるレベルは?
一方で試験対策となると、何を話すのか以上に「どう話すのか」が問われるわけです。あくまでも英語の試験ですから、英語としての質を測るわけですね。だから、文法的におかしくてもノリでなんとかなる、ということにはなりません。
あとで解説しますが、ただ話せる、というところから、「効果的に英語を話せる」という状態にまで引き上げることがポイントとなります。
あくまでも英語の試験ですから、意見が優れているかよりも、「どう話すのか?」が評価されます。話す内容をしっかりと作り込んでいく必要があるといえるでしょう。
日常会話は情報交換のコミュニケーションもあれば、感情のキャッチボール的な要素も含みますが、試験は非言語コミュニケーションでは評価の対象になりませんし、情報交換コミュニケーションの要素がかなり強いですね。
論理的に組み立てることがより求められるということです。言語にしたことだけが評価の対象になるので曖昧な表現ではいけないわけです。
Point
・文法的な正しさが求められる・大事なのはバリエーション豊かな英語表現で話すこと・論理的に組み立てること
③留学するときに求められるレベルは?
留学するための英語力は、さらに高度な能力が求められます。語学留学であれば、英語を学びにいくわけですから、日常会話力と同じくらいに考えればいいと思います。
しかし、大学や大学院に入学するための留学であれば、専門的なことについてしっかりと話せる準備をしなければいけません。英語の質は日常会話よりも高くなければ、ディスカッションでは何も答えられなくなってしまいます。
ノリだけではどうにもならないので、論理的に英語を書く力、話す力、専門的な内容を英語で表現する語彙力、自分の考えや経験を言語化する力などが必要になってくるので、ハードルは低くないですね。
なお、専門的な内容を表現する語彙はハイレベルでも、その範囲は限られているので、しっかりと押さえておけば議論に加われるようになります。
このように海外の大学や大学院に入学するときは、より専門的な語彙力が求められ、かつ、話の内容をスピーディに理解して、すぐレスポンスする、といった英語力が求められるのです。
Point
◆語学留学する場合・日常会話ができるレベルでOK
◆海外の大学・大学院に入学する場合・論理的に英語を書き、話し、表現する力が必要・自分の考え、経験を言語化する力が求められる・専門的な分野の語彙を増やす・英語で議論する力が求められる
Rule目的をはっきりさせて、効果的に学習しよう
Section4
「日常の会話力」を伸ばすには?
できる人「話す場面」に身を置くできない人「話す機会」を待つ英語を話したくなる「きっかけ」をつくろう!
まずは日常会話をする機会を確保することが重要です。なぜなら、「なんのために学ぶのか」が明確であれば明確であるほど、モチベーションを維持しやすいからです。手っ取り早いのは外国人の知人をつくったり、英語を話せる場に行ったりすることです。これにより、自然と話す動機ができるのです。
例えば、知り合ったイギリス人がとても感じがいい人で連絡先を交換しておけば、なんとかご縁を維持するために英語でコミュニケーションを取りたいという動機が生まれます。相手に伝えたいことがあるものの、英語でどう言えばいいかわからない。そんなときは辞書を引いたりネットで調べたりしますよね。
こうして自然と英語に意識が向いて、英語に触れる時間が増えます。これを繰り返しているうちに、「あれって、こう言えばいいんだよね」というふうにわかってくる。これが理想的な流れです。これだけ日本にも外国人が増えてきているわけですから、まずは英語を使う機会を確保するのが早道です。
かつて、私が留学したいと思ったとき日常会話の練習をするために、時間があるときは京都駅の駅前に立って外国人観光客に道案内をしていました。英会話のフレーズ集を何冊か買って、どんなふうに声をかけるか、どう案内するかをシミュレーションして、駅前へ行きました。
それらを試して、通じたり通じなかったり、あるいは伝わったり、何を言っているのか理解できなかったり……、その繰り返しです。でも、実際の場面で使える表現が少しずつ増えている感覚を得られるんです。それが何よりのモチベーションになるわけです。
日常会話では完璧な英語力はいりません。60~70点を目指せば十分。たとえ間違ったとしても話すこと、回数をこなすことに意義があります。
簡単な表現で、ちゃんと伝わる
私は、海外から来る外国人と食事に行くことが多く、ゲストを居酒屋や日本料理に連れて行きます。このとき伝え方を工夫するのが、「魚の名前」です。欧米ではそもそも魚の種類を日本ほど使い分けることがあまりなく、分類はそう多くありません。
例えば「メバル(black rock fish)と金目鯛(alfonsino)、どっちの煮付けがいい?」と英語で頑張って尋ねても、相手はよくわからないことのほうが多いのです。それだったら、「ソフトな魚とハードめな魚、どっちがいい?」などと聞いたほうが相手は選びやすいはず。このように魚の名前をあれこれ頑張って覚えても、相手にはどっちでもよかったりするのです。それなら相手に伝わりやすい簡単な表現で話したほうが、会話はスムーズに進められます。
これは魚の名前だけに限ったことではなく、あらゆる場面で応用できる考え方です。例えば、食事をしていて、スマホが鳴ったときに、スマホに目を向けて「May I?」と尋ねるだけで、「Go ahead.」となります。わざわざ長々と聞かなくもいい。
窓のところに立って「May I?」と尋ねれば、窓を開けたいんだなということは誰にでもわかるからです。
会話には文脈があるわけですから、無理に説明しなくてもいいのです。むしろ、身振りを交えてざっくりと話したほうが自然なこともあります。こんなふうに考えて、英語をどんどん話そうとする人のほうが上達が早いと感じています。
Ruleシンプルで、わかりやすい表現で話そう
Section5
「スピーキング」のスコアを上げるには?
できる人「現在形」以外も使って話せるできない人「現在形」だけで話す表現のバリエーションを増やす
試験の大前提となるのが「英語力の判定である」という点です。つまり、みなさんのアイデアや経験を評価するのではなく、どれだけ英語を正確に、そして幅広い文法や語彙を活用できるかを評価します。
ですから、無理に難解な内容について話すよりも、ストーリーはシンプルなほうがよく、その上で文法や語彙のバリエーション豊かに表現する必要があります。
例えば、「あなたの好きなスポーツは何ですか?」という質問に対して、「私はサッカーが好きです。一番好きなチームは……で、好きな選手は……です」と答えると、確かに答えとしては何の問題もないですが、全て「現在形」なんですよね。
What is your favorite sport? あなたの好きなスポーツは何ですか?x I like soccer. My favorite team is~. My favorite player is~.O I like soccer. I used to play basketball, but I have been attending soccer classes since lastyear.
これを「私はサッカーが好きです。かつてはバスケットボールをやっていたのですが、去年からサッカー教室に通っています」としたら、「サッカーが好き」は現在形、「かつて」は過去形、「去年から今までサッカーを習っている」は現在完了形なんです。一気にバリエーションが出ましたよね。
あるいは、「休みの日は何をしていますか?」という質問に対しても、「英語の勉強をしています。なぜなら私は留学したいと思っていて、そのためには高いスコアを取らないといけないからです。イギリスで心理学を学びたいと思っています」としてもいいですが、これだと全部、現在形ですね。
What are you doing on your holiday? 休みの日は何をしていますか?× Iam studying English. Because I want to study abroad, so I have to get a high score. I wantto study psychology in the UK.○ I study English because I want to study abroad. If I had more time, I could do more things.
これを「留学したいので英語の勉強をしています。もし、もっと時間があったら、友達と映画を観に行きたいです」とすれば表現が豊かになります。「もし~だったらば」というのは仮定法。学校で習いましたよね。ちょっと難しい表現です。
goodやbadを使うのも悪くはないですが、これではいい点数にはつながりません。語彙の表現も工夫しましょう。「いい」というのは、便利な言葉ですが、どういう意味でいいのか曖昧ですよね。
例えば、便利という意味だったらconvenient、使えるならばuseful、快適なのであればcomfortable、経済的なのであればeconomical、そういった、より的確な表現ができるようにしておきたいですね。
Point
・現在完了形や仮定法なども使いたい・goodやbad以外の表現方法を知っておく・goodに代わる表現例
convenient便利なcomfortable快適な、beneficial有益なuseful使えるeconomical経済的なwell満足できるhonest正直なright正しいeffective効果があるproficient熟練した・badに代わる表現例spoiled甘やかされてdefective欠陥のあるforged偽のregretful残念なunfit不適当な、健康でないrisky危険なuncollectible回収できない
良い解答をつくる練習方法がある
私がいつもお勧めしている方法は、試験で出題されたスピーキングの問題や模擬問題が掲載されている問題集を用意して、設問に対する答えをパソコンで作成してみるということです。
書き出して客観的に見ることで、表現や文法がバリエーションに富んだものなのかどうなのかを検証することができます。自分の話しグセというのは日本語含めてなかなか気づかないもの。
いつも同じような文法や単語を使っていては当然ながらスコアはそれ以上伸びません。今よりも一つ上の表現をするためにも、一度、いろいろなスピーキング問題の答えをタイピングして、紙に書き出してみることで、自分のクセを見直すことができるようになります。
書き出したものを見て、その表現をより良くするためにはどんなことができるだろうか、どんな語彙や文法を使うと、より良い回答がつくれるだろうかという視点で見直してみましょう。そうすることで初めて今よりも良い解答をつくる力がついてきます。Ruleスピーキングの解答を書き出して、添削してみよう
Section6
留学レベルの「話す力」のつけ方とは?
できる人アウトプットに時間をかけるできない人インプットに時間をかける留学前の英語の学び方にはコツがある1専門分野の語彙を増やしておく
まずは専門性が問われるようになるという点に注目しましょう。自分が専門とするテーマについての語彙力を身に付けることはとても大事です。まずは簡単な英語の専門書を読んでおきましょう。一通り読んで、背景となる専門知識を身に付けておけば留学生活が楽になります。
2専門に関する洋書を数冊、読んでおく
今はかなり多くの洋書を入手することができるようになりましたから、入門書を買ってさらっと読んでみましょう。日本の大学とは比べものにならないほど多くの文献を読むことになります。洋書を読むことに慣れておかないと、現地に行ってからでは間に合わず、授業についていけなくなってしまいます。一通り知っておけば十分ですから、専門に関する洋書を2、3冊読んでおきましょう。
3アウトプットする時間を持つ
毎日アウトプットする習慣を持ちましょう。本を読む、英字新聞をネットで読む、読んだら自分の考えをまとめて英語にしてアウトプットすることをお勧めします。ディスカッション時には、感じたこと、考えたことを即座にアイデアとしてまとめ、意見を言う力が求められます。日頃から、インプットしてから素早くアウトプットする習慣を身に付けておきましょう。
ディスカッションで困るのは、相手の意見がわかっても、自分の意見をどう言えばいいのか素早くまとめられないことです。これを繰り返していると、どんどん遅れをとってしまい、議論から完全に置いていかれるんです。
そうならないためにも、毎日、本やニュースなどで情報に触れ、それについて自分の考えや意見を言葉にする習慣を身に付けることが大事なのです。
私は留学時代に、英字新聞を毎日読んで、それを書き留めるストックノートを作っていましたが、今はSNSの時代ですから、Facebookやnoteで記録してもいいでしょう。一番モチベーションを保ちやすい方法で言語化する習慣を身に付けましょう。アウトプットの速度と質が一気に高くなることを実感するはずです。
Rule「考え・意見」を英語でアウトプットする習慣を持とう