基礎からわかる金融英語の意味と読み方―金融の仕組みがすべてわかる《金融英語入門書》

金融を仕事の方、これから目指す人へ!

本書は、金融や経済用語の知識が詳しく丁寧に解説してあります。本書をマスターすれば、金融英語の基本知識はつけることができるでしょう。用語をじっくり丁寧に説明しているので、難しい用語であっても使われ方や関連用語まで知ることができるため、金融英語に自信がないという方におすすめです。

まえがき

急速に進むグローバル化の影響なのか、書店にはビジネス英語の本やTOEIC、 TOEFLなどの受験対策本が所狭しとばかりに並べられています。金融英語の本も増えてきています。それだけ英語に対する需要が増えてきていることを感じます。英語に限りませんが、外国語をマスターするには忍耐力が必要です。

少しずつではあっても、毎日、英文を読み、書き、そして聞く訓練をすることです。語学のマスターにマジックはないというのが私の実感です。金融英語も同じだと思います。ただ単に金融に関連した単語を理解するのではなく、極力多 くの金融に関する本や雑誌、新聞を読むことによって、英文全体の中で金融英 単語や熟語を身につけていくという正攻法が、最終的には勝利すると思います。

この本にはいくつかの特徴があります。まず、内容は極めて初歩的なのです が、金融の基本から金融市場の将来まで極力幅広い金融分野をカバーしたことです。金融商品などの詳細は日本語で書かれた専門書や解説本を読んでいただくという前提で、この本ではカバーする範囲に重点を置きました。そして、原則として、一つの節を見開き2ページで完結させました。

左のページで、その節で採り上げている項目について英単語を挿入しながら解説し、右のページで関連英文と訳例、キーワードの解説をつけました。この方法をとることで、読 者の皆さんが当該項目に関して一応の理解をした上で、英文を読むことができると考えました。掲載した英文はマクリン先生に作成していただいたものに加え、インターネットからも抜粋しました。

二つ目の特徴は、新聞や雑誌から抜粋した比較的長文の英文を、「力試し」として各章の終わりに掲載したことです。それほど難しい英文ではないので、復習も兼ねて挑戦してみてください。また「コーヒー・ブレーク」は、楽しみながら、M&Aや人事などの分野でよく使われる単語を理解していただければとの思いで書きました。

三つ目の特徴は、巻末に極力多くの英単語を索引として掲載したことです。この索引をうまく利用することで、この本をちょっとした辞書として使ってもらう希望をもって巻末の索引を作りました。 当初の予想に反して、この本の完了までには1年以上という長期間を要しましたが、マクリン先生や清水和明さんと楽しく共同作業をすることができることに感謝しております。その間、忍耐強くアドバイスをして英文の選択と訳も一部お手伝いいただいた編集の尾崎泉さん、出版を引き受けていただいた日興画の竹尾社長に感謝申し上げます。

2003年3月
西村信勝

西村さんから、金融に関する英語が分かるようになる本を書くので一緒に書いてもらえませんか、との依頼があったとき、予てから金融英語の分かりやすい参考書が非常に少ないと感じていたので、二つ返事で賛成しました。

本書は、“これなら分かる”、をモットーに金融の入門書としても利用できるよう書いたものです。日本でバブルの清算が長引いている理由の一つに国全体として金融そのものに対する理解が足りない、という思いがあって次のような観点からも実務家の立場から解説を試みたつもりですが、どこまで達成できたかは必ずしも自信がありません。

日本では第二次大戦中から戦後にかけて長く続いた金融統制と、為替管理のために海外と断絶された金融システムが出来上がり、金融制度や為替管理の自由化が進んでも行政指導のためになかなか欧米並みの自由な金融制度に追いつけない状態が続きました。これに加えて戦前からお金に関することは、最も関 心がありながら汚れたこととして本気で取り組まない風潮もありました。こうした背景から日本では政治家、官僚、学者、一般の民間人の別を問わず、揃っ て金融オンチが多いという情けない状態になっていました。

1980年代のバブルが崩壊した後、1997年末から大手の金融機関までが次々 破綻し、経済の血流ともいうべき金融システムが崩壊するのではないかと懸念が大きくなり、ようやく国会が収拾に乗り出したのが1998年の夏、しかし国会の実力者には金融の理解も知識も不十分で、政策新人類といい若手の議員の活躍により10月になって金融再生と金融機能早期健全化のための法律が成立し、破綻した長期信用銀行2行を国有化して、金融危機は新人類といわれたための融危機は一応収束しました。このときの経験からみても、金融システムの重要性や不良債権のもつ意味を国民が理解することがいかに大変かが分かると思います。

このように金融に関する理解を深めるには、海外との違いや比較によって共通語の英語を通じて金融を分かりやすく解説した参考書があると便利ではないか、この本はこうした理解を深めるのに少しでも役立つことを願いつつ書かれたものです。
末筆ながら本書執筆にあたりいただいた関係者のご支援ご協力に感謝すると ともに、永年にわたり国内、国外を問わず筆者を支えてくれた亡妻雅子に本書を捧げたい。

2003年3月
清水和明

西村 信勝 清水 和明 ジェラルド・ポール・マクリン
出版社: 日興企画 (2003/05)、出典:出版社HP

目次

まえがき
第一部 金融の基本
第1章 金融とは
金融とは
金融システム
通貨
金利
固定金利と変動金利
為替1
為替2
金融政策

第2章 金融の担い手
銀行
証券会社
保険会社
投資信託委託会社
ノンバンク
機関投資家と一般投資家

第3章 金融市場
金融市場
短期金融市場
資本市場
発行市場と流通市場
証券取引所
店頭取引

第3次市場と第4次市場
公募と私募
新規株式公開
口力試し
第二部 金融商品(基本編)
第1章 預金
流動性預金
固定性預金
当座預金
ペイオフ

第2章 貸付
商業貸付
担保貸付
シンジケート・ローン
消費者ローン/住宅ローン

第3章 外国為替
外国為替とは
直物相場
先物相場

第4章 債券
国債と地方債
普通社債、転換社債、ワラント債
仕組み債券
ユーロと円建外債
クーポンと発行価格
利回り
債券の格付け

第5章 株式
株式会社
資本金
株主の権利
株主総会
普通株式と種類株
優先株
インセンティブ・ストック・オプション
トラッキング・ストック(業績連動株)
額面株式と無額面株式
第6章 投資信託
契約型投資信託
会社型投資信託
オープン・エンドとクローズド・エンド
公社債投信と株式投信
不動産投資信託
ロード・ファンドとノーロード・ファンド
運用手法
オルターナティブ・インベストメント

第7章 保険
保険
生命保険
損害保険
変額保険と年金保険
第三分野の保険
●金融商品のまとめ(比較表)
口力試し

第三部 金融商品(応用編)
第1章 デリバティブ
デリバティブとは
先物
先渡し
スワップ
コーヒーブレーク
スワップ
オプション1
オプション
デリバティブのメリットとリスク
仕組み商品

第2章 証券化
MBS
コーヒーブレーク
ABS
ABSの仕組み(その1)
ABSの仕組み(その2)
ABSのメリット
コーヒーブレーク

第3章 M&A
M&Aビジネス
合併と買収
会社分割
M&Aのメリット
会社価値評価1
会社価値評価2
精査
コーヒーブレーク
株式公開買い付け
ロ力試し3

第四部 リスクとリターン
第1章 リスクの種類
信用リスク
市場リスク
コーヒーブレーク
法務リスク
オペレーション・リスク

第2章 リスクとリターン
リターン
リスク
リスクの計測
リスクの分散
システマティク・リスク
資本資産価格モデル
バリュー・アット・リスク
株主資本利益率と経済付加価値
リスク調整後株主資本利益率
コーヒーブレーク

第3章 株式投資の実務
株式総合利回り
ファンダメンタル分析
株価収益率
株価純資産倍率
累積投資
コーヒーブレーク
株式指数
内部者(インサイダー)取引
コーヒーブレーク
信用取引
口力試し

第五部金融マーケットの行方
不良債権
不良債権処理方法
金融機関を取り巻く環境の変化
低くなる業界の壁
新しい金融業へ
情報産業としての金融業
ロ力試し5
英文索引

第一部
金融の基本
お金を貸すのは銀行だけでなく、借りるのも会社に限りません。証券会社や 保険会社など多くの金融機関がお金や為替、株式、債券などの市場で取引を 行います。こうした取引を取り持つものは金利や為替相場、あるいは株式相 場などで、これらの動きによって景気の良し悪しも左右されます。 ここでは金融の基本として金融の担い手、金利や為替相場、金融のシステム から政府のとる金融政策、金融市場の種類などについて述べます。

西村 信勝 清水 和明 ジェラルド・ポール・マクリン
出版社: 日興企画 (2003/05)、出典:出版社HP