1回で伝わる 短い英語

シンプルに使えると実感できる英語!

最近では、外国人と話したりメールをやり取りしたりする人が増えてきています。日本人は、英語でコミュニケーションをとる時、とても長い文章を送ったり、話したりしてしまうことが多いです。本書では、日常会話や海外旅行、接客などのシーンで使える短い英語のフレーズを紹介しています。

はじめに

ペラペラ英語より
「1回で伝わる短い英語」が大切な理由
あなたのその英語はもっと短くなる
英会話で必要になる英語というと多くの人が次のようなものを思い浮かべるのではないでしょうか?

My name is Taro Suzuki.
(私の名前は鈴木太郎です。)
My favorite food is sushi.
(好きな食べものは寿司です。)
Excuse me, is anyone sitting here?
(すみません、この席は空いてますか?)

こうした英文は教科書でもよく見る基本的なものですが、発音などのことも考えると、実際に会話の中で言うには難しい文章だと思います。

しかし、それが次のような短い英語になるとしたらどうでしょう?
My name is Taro Suzuki. >> Taro.
(私の名前は鈴木太郎です。) (太郎です。)

My favorite food is sushi. >>Love sushi.
(好きな食べものは寿司です。) (寿司が大好きです。)

Excuse me, is anyone sitting here? >> May I?
(すみません、この席は空いてますか?) (いいですか?)

こんな1語や2語の英語なら、今すぐに使えそうだと思いませんか?しかし、ここで次のような疑問を抱かれる方もいると思います。

「こんなに短い英語で、フランクすぎない?」
「失礼にならない?」

教科書でしっかりとした文章になった長い英語を見慣れている私たちからすると、こうした疑問が生まれるのは当然のことのように思えます。
しかし、短い英語は日常会話においては全く失礼に当たらないですし、ネイティブも非ネイティブもよく使っています。むしろ教科書で習うような長い英語を使う方が、まどろっこしい印象を与えることすらあるのです。
なぜ、こうしたことが起こるのかというと、今、英語はネイティブのものでなく、非ネイティブのものになりつつあるからです。

ペラペラ英語が通じないこともある
私はかつて、ドバイのエミレーツ航空でCAとして働いていました。そこではネイティブから非ネイティブまで、様々な人種の方と英語でお話をする機会がありました。
私はそれまで、英語はきちんとした文法に沿って、綺麗な発音で話す必要があると考えていたのですが、実際に必要になるのは真逆の英語でした。
非ネイティブの英語話者が6割以上もいると言われる世界では、きちんとした文章で話すよりも、発音や訛りを気にせず、とにかく言いたいことを端的に伝えることができる短い英語が求められたのです。

理由は単純で、その方が聞く方も話す方もわかりやすいからです。
たとえば、次のようなことがありました。ある高級ホテルでネイティブであるコンシェルジュが非ネイティブのお客様と英語で話していたのですが、そのお客様はコンシェルジュが話す英語を理解できず、その場にいた私が短い英語で通訳をする必要があったのです。コンシェルジュは次のように状況を説明していました。

We are not able to delay the check-out time even if you pay an additional charge. Since this room is already reserved by another customer for tonight, we have to make the room ready for them by 3 PM according to the regulations of our hotel.
(追加料金をお支払いいただきましても、チェックアウトの時間を遅らせることはできかねます。こちらのお部屋は今晩他のお客様の予約がすでに入っており、ホテルの規則により、次のお客様のために午後3時までにはお部屋を準備しておかなければならないのです。)

しかし、非ネイティブのお客様は、その内容がよくわかっていないようでした。そこで私が次のように短く言い換えて伝えたのです。
You can’t do that. Someone will be staying here tonight.
(できないです。今夜ここには他の人が泊まります。)
こう伝えただけで、その非ネイティブのお客様は状況を理解してくださいました。

このように、場面によってはネイティブが話す流暢な英語の方が通じないことすらあるのです。ですので、これからはネイティブが使うようなペラペラ英語ではなく、どんな人に対しても「1回で伝わる短い英語」を身につける必要があるのです。

短い英語の身につけ方
では、こうした短い英語はどのように身につければよいのでしょうか?率直に答えを言ってしまうと、「慣れる」しかありません。
私も実際にCAとして世界各国の方々と何万回と英会話を実践しながら、気になった表現や省略されたフレーズなどをメモしていき、少しずつそのテンポや話し方に慣れていくことでしか、「短い英語」を身につけることができませんでした。

「そんな時間ないよ」と不安に思った方もいらっしゃるかもしれませんが、安心してください。本書には、私がそうして世界中を飛び回って集めてきた、誰でも使える、誰にでも伝わる短い英語のエッセンスを余すところなく詰め込んでいます。

本書では、毎回、クイズ形式で短い英語を紹介しています。まず、皆さんには普段教科書で見るような、基本的な英語をご覧いただき、どうすればそれを短い英語にできるかを考えていただきます。具体的には、次のような形になっています。

「たったこれだけ?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これを繰り返し行なうだけで、気がつかないうちに、このときはこんな省略ができる、この場面ではこんな言い換えができるということを、通常の英語と短い英語を紐づけながら理解できるようになっているはずです。
これは、まさに私がCA時代にやっていたことで、「私ならここでこう言う所をお客様はこんなふうに短くしている」と通常の英語と紐づけて学ぶことで、ニュアンスをしっかりと理解しながら短い英語を身につけることができるのです。

短い英語にルールはない
「そんなことをしなくても、何かルールはないの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、短い英語に明確なルールは存在しません。この場面では省略できる所が、ここでは省略すると失礼に当たってしまうといったように、シーンにフィットする短い英語があります。
ですので、本書では初学者の方が英語を話すきっかけとなりやすい、次の3つのシーンで使うことになる、ありとあらゆる短い英語を紹介しています。

・日常会話
・海外旅行
・接客

英語に触れる場面として皆さんに馴染みがあるものだと思います。たとえば、海外旅行で言えば次のような短い英語があります。
現地でホテルに予約の確認をするとき、通常であれば、次のような英語を使うべきだと、多くの教科書や学習書で紹介されていると思います。

I have a reservation under the name of Taro Suzuki.
(鈴木太郎で予約をしています。)
しかし、この英語は次のように短くすることができます。
I’m Taro Suzuki
(鈴木太郎です。)

「なんでこんな英語に?」と首をかしげる方もいらっしゃるかもしれませんが、ホテルへの電話や、ロビーの受付でこの一言を言うと、たいていの場合、相手はDo you have a reservation?(予約されていますか?)
などと聞いてくれるので、これにYes.と答えれば良いのです。
このように、短い英語のテクニックは単純な文法や単語の省略に留まりません。逆に言えば、英語とはそれだけ自由な発想で簡単にしてしまって良いものなのです。実際に椅子は目の前にあるのだから、このseatは省略してしまってOK。椅子を指さして座ろうとしているのだから、May !?だけでOKといったように、シチュエーションに合わせて色々な形で短い英語が生まれてくるものなのです。こうして場面ごとに長い英語をどう短い英語にするかを考えていくことで、知らないうちに短い英語を作るコツが身についているはずです。

私がこうした短い英語を初めて聞いたとき、驚きもありましたが、「こんなに簡単でいいんだ!」と肩の荷が下り、新しい世界が開けたようでワクワクしたのを覚えています。
皆さんも、本書を読みながら、「これがこんなに短く、簡単に言えるんだ」と驚いていただき、「これならできる!」と英会話に対して前向きな一歩を踏み出していただければ、著者としてこれ以上の喜びはありません。

2019年 mami

mami (著)
出版社: KADOKAWA (2019/1/26)、出典:出版社HP

本書の使い方

STEP 1
気になる短い英語を選ぶ
目次や巻末の索引から「このシーンで使える短い英語が知りたい」と思うものを見つけましょう。

STEP 2
クイズを解く
①のヒントを基に、どうしたら②の語数まで短くできるかを考えてみましょう。ページをめくると答えになる③短い英語があるので、少し考えたらどんどん答えを見ていただいてかまいません。④の解説を読みながら、前ページの英語がどのような意図で短い英語に変わっているのかを学びましょう。また、⑤で似たフレーズを学ぶことでより理解を深めることができます。はじめのうちは、1日6フレーズ程度を目安にすると無理なく続けられます。

STEP 3
音声で復習する
短い英語をある程度覚えることができたら、無料でダウンロードできる音声を聞きながら復習しましょう。本書では、各トラックについて「長い英語&短い英語」と「短い英語」だけの音声を用意しています。最初のうちは「この長い英語がどう短くなるんだったっけ?」と頭の中で考えながら、「長い英語&短い英語」の音声を聞き、慣れてきたら「短い英語」の音声だけで復習するとよいでしょう。

Contents

はじめに
本書の使い方

Part1
日常の短い英語
Chapter 1 初対面
Chapter 2 誘う
Chapter 3 待ち合わせ
Chapter4 パーティー
Chapter 5 道案内
Chapter 6 日本紹介
Chapter7 質問
Chapter 8 感謝

Part2
海外旅行の短い英語
Chapter 1 空港
Chapter 2 機内
Chapter 3 タクシー
Chapter4 電車
Chapter 5 道を聞く
Chapter6 レストラン
Chapter 7 ショッピング
Chapter 8 ホテル

Part3
接客の短い英語
Chapter 1 カフェ・レストラン
Chapter 2 アパレル
Chapter3 家電量販店

日本語索引
英語索引
本書の音声について

日常の短い英語 ,
• Nice to meet you. >> Hi.
•My name is Taro Suzuki. >> Taro.
• Where shall we meet? >> At where?

mami (著)
出版社: KADOKAWA (2019/1/26)、出典:出版社HP