会話もメールも 英語は3語で伝わります

 


 

30万人が選んだ教科書

全く同じ意味の文章でも、長い文章と短い文章では伝わりやすさに違いが出てきてしまいます。また、母国語ではない言葉を長く話していると、文法を間違えてしまうということがあります。本書を読むことで、できるだけ短い言葉で伝えられるような力を身につけることができます。

「私の仕事は英語講師です」
これを英語にするとき、あなたはどう考えますか?
「私の仕事」はMy job…。
「英語講師」はEnglish teacher….
そうそう、冠詞のanをつけてan English teacher…。
「~です」にはbe動詞のisを使って….。
My job is an English teacher. (完成!)
正しい英語です。

ですがこの英語、もっと簡単に、しかもわかりやすくできます。
I teach English.
どうでしょう。直訳すると、「私は英語を教えています」ですが、意味は「私の仕事は英語講師です」と変わりません。

文が短くなっただけではなく、
直感的にも理解しやすくなっていませんか。

本書を通して、皆さまに学んでいただきたいのは、
「複雑な文をやめて、まずは3語(主語、動詞、目的語)で

組み立てる」というスキルです。
新しい文法、単語、構文の暗記はいりません。
どうぞリラックスして、読み進めてください。

はじめに

伝わる英語は、やさしい英語

難解な英語から生まれた「3語の英語」
私は若い頃、生真面目に英語を勉強していました。学生時代にTOEIC 950点、そして英検1級を取得。その後TOEICのさらなる点数アップを経て、英語を積極的に学びました。

しかしひとたび社会に出ると、英語を「使う」ことがまったくできないことに気づきました。最初の就職先であった工業薬剤メーカーでは、英語を思うように話せず、そして書くこともできません。会話はおろか、得意だと思っていた英文法、英語ライティングですら、実務の世界では苦戦しました。
落胆しました。苦しい。情けない。

すがる思いで就いた次の仕事は、「特許翻訳」という英語ライティングの中でも、特に難関な分野です。新しい発明における「技術」を英語で描写し、その上でアメリカやヨーロッパの国々へ「特許出願する文書」を英語で書く仕事です。いわゆる産業翻訳の中でも、特殊で超難関とされています。
あえて超難関な英語ライティングに取り組み、苦しい英語漬けの日々を過ごし鍛錬することで、自分の英語が改善されるのではないか、と考えました。大変かもしれない。しかし、挑戦してみたいと思いました。
予想通り、いえ予想以上に苦しみました。まったく歯が立たない。まず、「技術」を説明する日本語の意味がわからない。そして、それを英語で組み立てる表現力もありません。

特許の日本語と英語は、特殊で難解です。新しい発明を扱うため、内容が複雑で、1文が長く、しかも冗長な傾向があります。さらには「特許の英語は、別に読みづらくてもよい」という業界の風潮もありました。
しかし、難解で読みづらい英語では、特許を取得できる可能性が低くなります。「伝わらない英語」を組み立てても、なんの意味もない。そんな現実を目の当たりにしてきました。
この苦しさから抜け出したい。この世界をなんとか変えたい。そう強く思いながら、苦悶していました。

そんなとき、救済を求めて探し当てたのが、その後の私の英語の指針となる「英語テクニカルライティング」でした。テクニカルライティング、工業英語、技術英語などとも呼ばれます。
英語テクニカルライティングのルールにしたがえば、「複雑な専門技術の文」も、「難解な技術的構造・メカニズムの文」も、平易な英語で表現できることがわかりました。
複雑で難解な特許の英語でさえ、いえ、むしろ特許の英語にこそ、この平易な英語の組み立てスキルが必要だと確信したのです。そして、そのコツやヒントが書かれているテクニカルライティングに関する和書・洋書を読みあさりました。

複雑な専門技術を英語で伝えるには、その技術を平易な日本語に置き換える力と、それをわかりやすい自然な英語にする表現力が求められます。
その鍛錬の中で、私は1つの結論に達しました。

内容が複雑であればあるほど、それに見合った複雑な英文を組み立てるのではなく、その逆を目指すべきだとわかったのです。
その結果、どんな複雑な文も、いわゆる5つの文型(SV、SVC、SVO、SVOO、SVOC)のうち、最も力強く、最も簡単なSVO(誰かが何かをする)を使って表現するテクニックを習得しました。

「3語」を並べる。それだけで伝わる
私たち日本人の英語は、短時間の練習で「伝わる英語」に変わります。難しく考える必要はありません。「主語(I)、動詞(like)、目的語(English)」をただ並べればよいのです。

I like English.
主語 動詞 目的語
この構造が基本です。

次に、「3語の英語」とは何かについてお伝えします。次の「日本人にありがちな英語の会話」を見てください。
日本人にありがちな英語の会話:
Aさん:What is your job?
(あなたの仕事は何ですか?)
Bさん:My job is an English teacher. What about yours?
(英語の講師です。あなたの仕事は?)
Aさん: I am an editor of books.
(書籍の編集者です)
Bさん:Are you?
(そうなんですね)
使用単語数:合計21ワード

「~です」を表す「be動詞(is、am、are)」が頻繁に登場します。私たち日本人は、「be動詞」を学校でしっかり習いすぎるためか、すぐbe動詞を使う癖がついているようです。使用単語数は合計21ワードになりました。では、同じ会話を「3語の英語」でも行ってみましょう。

「3語の英語」を基本にした会話:
Aさん: What do you do?
(あなたは何の仕事をしているのですか?)
Bさん: I teach English. What about you?
(英語の講師をしています。あなたは?)
Aさん: I edit books.
(書籍の編集をしています)
Bさん:Great.
(そうなんですね。=いいですね)
使用単語数:合計14ワード

正確に、しかも速く伝わる
この会話では、動作を表すダイナミックな動詞(do、teach、edit)を使っています。使用単語数は、AさんとBさんを合わせて14ワードに減り、明快に会話が進んでいます。このようにテンポよく会話が進めば、最後の「相づち」もGreat.(いいですね)のようにポジティブに締めくくることができるでしょう。

どんな難しい英語にも効く!
複雑に見える内容であっても、「3語(主語・動詞・目的語)」を並べることで、短く明快に伝えることができます。
翻訳の実務より、「3語の英語」の一例を見てみましょう。
「喫煙すると、火災報知器が起動します」
ありがちな英語: If you smoke, the fire alarm will become active.
(9ワード)
「3語の英語」の構造:
Smoking will activate the fire alarm.
主語 動詞 目的語
(6ワード)
Smoking「喫煙すること」を表す動名詞を主語に使っています。active(起動している)という形容詞ではなく、activate(~を起動させる)という動詞を使っています。

このような技術的な文章まで、「3語の英語」はあらゆる内容をカバーすることができるのです。
日本人こそ、学ぶべきスキル
「日本人にありがちな英語」と「3語の英語」をもう一度比べてみましょう。「冠詞」の登場率が違うことがわかります。「冠詞」とは、名詞の前におかれる「不定冠詞a/an」や「定冠詞the」のことです。

日本人にありがちな英語:
My job is an English teacher.
I am an editor of books.

3語の英語:
I teach English.
I edit books.
「日本人にありがちな英語」は名詞(English teacher、editor)を多く使っているため、冠詞(an English teacher、an editor)が必要です。
「冠詞の使い方が難しい」と感じる多くの日本人にとって、冠詞が頻出する文章は組み立てるのが難しく、正しい表現へのハードルが一気に上がってしまいます。

「3語の英語」では、名詞の使用が最小限になります。ゆえに「冠詞」の使用も最小限となり、煩わしさから解放されるのです。
その結果、誰でも簡単に、そして正しく文章を組み立てることが可能になります。

もちろん長文にも使える!
たった「3語」では、伝える内容が物足りないと感じる方も安心してください。ひとたび「3語の英語」が使えるようになったら、例えば次のように、詳しい情報をどんどんつけ足していくことが可能になります。

「3語の英語」+追加の情報
I teach English
to university students.
(私は英語の講師です。大学生に教えています)
I edit books
for business people.
(僕は書籍の編集者です。ビジネス書のね)

I teach EnglishやI edit booksのように、まず「3語」で文章の骨組みを伝えることで、その後は落ち着いて、必要な情報をつけ足していくことが可能になります。

なお、本書で呼ぶ「3語の英語」は、
I like English.
① ② ③
このように単語数が「3語」となる場合だけでなく、
Smoking (will) activate (the) (fire) alarm.
① ② ③
というように、全体は「3語」ではないけれど、3つの要素から成るという場合も含みます。

読者の皆さまへ
本書は、「伝わる英語」を習得することを希望するすべての方を対象としています。日常の英会話ができるようになりたい方、英語でメールが書けるようになりたい方、自分の仕事について英語で説明できるようになりたい方、英語が苦手な中学生や高校生や大学生、仕事で英語を使わなくてはいけない方、気おくれせずに英語を書いたり話したりしたいビジネスパーソンの方に向けて執筆しました。
本書を通じて、「自分は英語が苦手ではない」「英語が前よりも使えるようになった」と思えるようになること、または「英語なんて簡単!」と感じてくださること、そしてさらには「英語で伝えることって、面白い!」と思っていただけることを願っております。
英語に悩むすべての日本人に、本書を贈ります。自信を持って、英語コミュニケーションを楽しむ人が増えますように。

Enjoy communicating in English!
2016年10月 中山 裕木子

中山 裕木子 (著)
出版社: ダイヤモンド社 (2016/10/15)、出典:出版社HP

本書の4つの特徴

これであなたの英語が変わります!
1 新しい文法、単語、構文の暗記はいらない
「3語の英語」はとてもシンプル。意識するのは、複雑な構文を避けて、あらゆる文を「誰が(または何が)、何を、する」に組み立てることです。難しそうな単語も、そのほとんどが中学レベルの単語で言い換え可能です。そのテクニックもお伝えします。

2「3語」の組み立てパターンがわかる「3語で伝わる英語」の組み立て方を具体的に説明します。まず「主語の選択」では「使える4つの主語」について解説します。そして、「3語の英語」の決め手となる「基本動詞」と「応用動詞」を紹介し、さらにはテンプレートと動詞リストを活用することで、英文を組み立てる練習の場を提供します。

3日本人の「難しい英語」とさようなら「3語」で伝えるために切り捨てたい表現を提案します。日本人が陥りがちな伝わりにくい英語表現を例示し、それらの使用をやめ、気持ちよく「3語の英語」を使い続けることを目指します。

4ブレイク&スキルアップ各章の随所に設けたブレイク&スキルアップでは、「3語の英語」を基本にして、正しく明快に伝えるコツ、深い理解を目指すための英語に
まつわるこぼれ話、またさらには「3語の英語」に限らず、英語のスキルアップに役立つ内容を取りあげます。

目次

英語は3語で伝わります

はじめに
伝わる英語は、やさしい英語
本書の4つの特徴 これであなたの英語が変わります!

目次
CHAPTER①「日本人の英語」が伝わらない理由
「日本人が好む英語」の3つの欠点
学校で習った「イディオム」はいらない
be動詞を使い過ぎると、文がぼやける
「漢字表現」を英語にすると、複雑な文になる日本語の「主語省略」で英作が難航する
「ブロークン英語」はやはり伝わりにくい

CHAPTER②「3語の英語」は動詞が決め手
「具体的な動詞」でスピーディーに伝える
ダイナミックで明快な「他動詞」を使おう
受動態ではなく、短く力強い能動態を
否定を肯定表現に変える3つのアプローチ
ぼやかさず、具体的に言い切る
whenやifを使う文も「3語の英語」にできる

CHAPTER③これでOK!「3語の英語」の組み立てパターン
大切なのは、主語と動詞の選び方
ステップ① 主語は「4つ」から選ぶ
ステップ② (基礎編) 基本動詞をおさえる
1. 人にもモノにも使える万能動詞 have、use、include
2. 主語が「人」の便利動詞find
3. ポジティブな感情を明快に伝える likeとenjoy
4. (人などを)~させるsurprise、interest他
5. 反対語動詞 dislike、disable、unveil、unlock、uncover他
6. SVOを作る明快動詞 benefitやreplace、relocate
7. 1語が生きる「特徴」「強調」を表す動詞featureとhighlight
ステップ② (応用編) 便利な動詞を使いこなす
1. 強くて明快な動詞 needとrequireが表す「必要」
2. 「最大にする」「最小にする」の maximize と minimize
3. 「実現する」「達成する」に便利なachieve
4. 主語と目的語を選ばない便利動詞 allow、permit、enable、そしてcause
5. 「上げる」と「下げる」にincrease と decrease (reduce)、raiseとlower
6. 「説明する」や「要約する」にexplain、describe、discuss、summarize、outline
7.短く伝える動詞 outnumber、outweigh、outperform、double、triple
「5つのパターン」で3語の英語を組み立てる

CHAPTER ④ 「3語の英語」に情報を足していく
「動詞まわりのひと工夫」編時制の基本、「現在形」をマスターする
現在完了形で「今」を大切にする
微妙なニュアンスを助動詞で伝える方法
助動詞の過去形は「もしかしたら」を伝える
「3語に情報を足していく」編
副詞を活用すれば、「3語の英語」が生きる
前置詞を使って、関係を「見える化」する
名詞に情報を加える「分詞」と「関係代名詞」
関係代名詞の「非限定」、その2つの利点

CHAPTER ⑤ 実践! 「3語で伝える」ために、ここはバッサリ捨てましょう!
There is/are構文を捨てる
仮主語と仮目的語のitを捨てる
SVOO・SVOC構文を捨てる
受け身形を捨てる
イディオムを捨てる
not文を捨てる
難解な英単語を捨てる
難しい時制を捨てる

おわりに
英語講師として、見てきたこと、感じたこと

参考文献

中山 裕木子 (著)
出版社: ダイヤモンド社 (2016/10/15)、出典:出版社HP

CHAPTER①
「日本人の英語」が伝わらない理由
本章では、英語を組み立てるときに日本人が陥りがちな問題について説明します。あなたの英語が伝わりにくいのは、あなたがこれまで一生懸命、英語を勉強してきたためかもしれません。または、学校で英語を習ったときに難しくて断念してしまった、苦手意識を持ってしまったという理由のためかもしれません。学校で習った、一見「英語らしい英語」をやめ、あなたの英語をこれまでとはまったく違うものに変えていきましょう。

本章の内容
「日本人が好む英語」の3つの欠点
●学校で習った「イディオム」はいらない
●be動詞を使い過ぎると、文がぼやける
●「漢字表現」を英語にすると、複雑な文になる
●日本語の「主語省略」で英作が難航する
●「ブロークン英語」はやはり伝わりにくい

「日本人が好む英語」の3つの欠点

「かっこいい英語」を使っていませんか?
英語を使うとき、「かっこよく表現したい」、または「複雑に表現するほうが伝わる」と考えてはいませんか。
学校で習った難しい構文、例えばSVOO構文やSVOC構文を頻繁に使う人もいるかもしれません。あるいは仮主語や仮目的語を使ったIt is~for … todo(・・・がするのは~である)という形、またはThere is/are構文に当てはめる人もいるかもしれません。
日本語で考え、そして「直訳」しようとすると、このような複雑な構文にうまく当てはまることがよくあります。しかし、それはただ単に英文が複雑になっているだけで、「伝わる英語」とはほど遠いものなのです。

「英語らしい英語」には欠点がある
次のような英文の組み立てを見てみましょう。
(1) The news made me surprised. (そのニュースは、私にとって驚きだった)
S V O C
いわゆる5文型と呼ばれる文型のうちの、第5文型 (SVOC)を使っています。
(2) It is not difficult for me to understand your situation.
(私にとって、あなたの状況を理解することは難しくない)

中山 裕木子 (著)
出版社: ダイヤモンド社 (2016/10/15)、出典:出版社HP