TOEICの文法問題を解くためのプロセスがわかる
本書は、TOEICのPart5で主に出題される文法問題に焦点を当て、素早く適切に答えを導き出す手順が解説されている問題集です。6問を1セットで解いていく構成になっています。メインターゲットは450〜700点の方で、スコアが伸び悩んでいる場合には、参考になりやすい内容です。
はじめに
格闘技を趣味で習っているのですが、優れた指導者のアドバイスに驚かされることがよくあります。たとえば強く華麗なキックを習得するとき、蹴り足自体を直すのではなく、(蹴らないほうの)軸足だったり、ときには肩の動きを矯正されたりします。そのアドバイスによってキックが見違えることがあるのです。
そのたびに私が感じるのは「TOEICテストの問題みたいだな」ということです。「文法書を読んでも問題が解けない」「たくさんの問題を解いているのにスコアが上がらない」と悩む受験者をたくさん見てきましたが、「そこじゃなくて、こっちを直せばすぐできるんですよ」とアドバイスすることが多々あるからです。
これは特に600〜800点を取得している人に顕著なことで、「TOEICを少し知っている」という思いがかえって足を引っ張ることがあるのです。こういうときほど「本当のプロフェッショナルの指導」が効果を発揮するのは、格闘技も英語も同じなんです。
私はオンラインサービス『スタディサプリ』のTOEIC講座を担当することで、おそらく日本で一番たくさんのTOEIC受験者に指導している講師だと思います。
どこでどうミスをするのか、その人のスコアはどれくらいなのか、どんな選択肢にひっかかるのか、といったことを文字通り「万単位」のデータで見てきた私にしかできない指導のエッセンスをこの本に詰め込みました。
この本は誰でも(初心者〜950点の人でも)得るものが多いと自負していますが、特に想定した読者像は以下の通りです。現状450〜700点くらいの人が多く当てはまる状況かと思います。
ケース① なんとなく初級レベルの英文法はわかっている
ケース② 本の解説を「読めばわかる」が、「自力で解く」自信はない
ケース③ たくさん問題を解いたわりにはスコアが伸び悩んでいる
<サンプル問題1のあるあるミス>
最初に選択肢を見る→空所前後を見る→ミスする
選択肢の単語(modified / modification / modifies / modifying)はmodifyの変化なので「品詞問題」だと考えます。それ自体は正しいのですが、多くの対策本に「品詞問題は空所の前後を見て解く」と書かれているので、それに従うとミスしやすいのです。
というのも、空所直前がdiscussなので、ある程度の実力がある人ほど「discussは他動詞/discuss aboutにはならない/直後に名詞がくる」と知っていることで、名詞の(B)modificationに飛びついてしまうミスがものすごく多いからです。
こういった解き方が通用するのは600点までです。そこから700→800→900点とスコアを上げるコツがこの本には詰まっています。実はPart5の問題には大事なポイントが2つあることがほとんどです。1つめのポイント(ここでは「discussが他動詞」)を見つけた瞬間に解答に飛びついてしまうとミスします。初中級者と上級者を分けるのはココなんです。※この問題の正解と解説は18ページ。
<サンプル問題2のあるあるミス>
最初に選択肢を見る→問題の趣旨を勘違いする→時間を浪費する
「選択肢の単語(probable / customary / likely / typical)がバラバラ」→「語彙問題と判断」→「英文の意味をじっくり考える」と勧める本が多いはずです。そのやり方だと、選択肢をそれぞれ当てはめながら訳して考える分だけ、無駄な時間を要してしまうのです。
この本では、選択肢を先に見るのではなく、「英文ありきで考える(構造を把握する)」を最優先にしています。そうすれば、実は単なる品詞問題だと気づけるのです。集中して無駄なく解けます。
目次
はじめに
特典のダウンロード
本書の方針と特長
本書の構成と使い方
Chapter0
Chapter1
まずは初動の30問
[必殺技1]語法は「型」で一網打尽
Chapter2
進化が加速する30問
[必殺技2]多義語strikeを攻略.
Chapter3
超正攻法の上昇気流に乗る30問
[必殺技3]動詞を使った「因果表現」を制覇
Chapter4
神速へ!総仕上げの12問
Index索引
カバー・本文デザイン (株)アンパサンド
組版 朝日メディアインターナショナル(株)
問題作成 Daniel Warriner
ナレーション Petervon Gomm, Karen Haedrich
音声収録・編集 ELEC録音スタジオ
本書の方針と特長
1問で2つのポイント
Part5の問題を徹底的に分析して気づいたのが「Part5の英文には重要ポイントが2つある!」ことです。本書では常に2つのポイントを取り上げて解説していくので、学習の密度も2倍濃いものとなるはずです。
「思考プロセス」を言語化
本書の解説は多少クドく感じるかもしれませんが、これは「常に正解を出す人の英語脳」を言語化して、文字に起こした結果です。読みながら、正しい英語の発想と問題の解き方が身につくように解説しています。
英語の実力養成×即効性
この本では英語の核心をつかむことでPart5の英文法を攻略し、英語の実力そのものを上げていきます。その一方で、10日後にTOEIC本番を迎える人にも役立つ即効性を兼ね備えた解説・まとめ方を心がけました。「速く解く」と「正確に解く」を両立させていきます。
本書の中で復習ができる仕組み
特に大事なポイントは一部重複させてあります。絶対に外せないボイントが2度、3度出てくることで、本書の中で復習ができ、「最初はできなかったけど、次はできた」という「伸びを実感する機会」になるはずです。
長文でもリスニングでも役立つ知識
解説内容は、Part5対策にとどまりません。長文はもちろん、リスニング対策にも使える内容を盛り込んでいます。
また、Part5の英文は、Part4・6・7の短文練習にも最適です。長文を1文ごとにしっかり読むのは大変なので、こういったところで「精読」の演習をしておきましょう。
本書の構成と使い方
本編は問題ページと解説ページ(問題つき)で構成されています。
問題:リズムよく解ける6問セット
ヒントなしで解きたい人は、6問を1分30秒〜2分を目安に一気に解いていきましょう。1問1答で進めたい人は問題つきの解説ページへ進んでください。
解説:使いやすい見開き構成
各問題の解説と2つの重要ポイントをしっかり確認していきましょう。対象の問題を再掲しているので、このページで1問ずつ解きながら学習を進めることもできます。