イメージで比べてわかる 前置詞使い分けBOOK

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前置詞のイメージをつかめる!

本書では前置詞のイメージをイラストで表したり、他の前置詞と比べたり、たくさんの例文を紹介したり、語源に注目したりと前置詞への理解を促す工夫がされています。それぞれの前置詞が運ぶイメージの概略を知り、その上でたくさんの英語に触れていきましょう。

すずきひろし (著), ミツイ直子 (著), 清水建二 (監修)
出版社: ベレ出版 (2018/4/26)、出典:出版社HP

はじめに

「英語の前置詞は、日本語で言えば助詞のような働き」という説明がされることがあります。確かに、名詞とくっついて場所や方向や起点や到達点を表すという意味では前置詞は日本語の助詞の働きと似ています。ところが、そのような働きをする助詞を挙げてみると「を」「に」「へ」「から」「より」「で」「まで」のように数としては限られる一方、英語の前置詞を挙げるとその何倍もの数が頭に浮かびます。ということは、助詞に置き換えることでは前置詞は理解しきれないということです。例えば次のような場合を考えます。
箱にりんごがある。…箱の中にある。(in)
テーブルにりんごがある。…テーブルの上にある(on)
彼は部屋にいる…部屋の中にいる(in)
彼は入り口にいる…入り口のところにいる(at)

このように日本語では同じ「に」であるのに、それぞれに異なる前置詞が相当することがわかります。「に」はto、「にとって」はforなどと、日本語から英語へそのまま置き換えられるという単純ルールは存在しません。ですから、英語から日本語に変換するときには何とかなっても、日本語から英語に変換しようとすると、「さてどの前置詞を使おうか」とわからなくなってしまうのです。

前置詞を理解し修得するためのプロセスは次のようなことだと思います:
(1)それぞれの前置詞が運ぶイメージの概略を知る。
(2)その上でたくさんの英語に触れる。前置詞に問題意識を置いて、前置詞が運ぶイメージを感じながら英文を読んだり聴いたりする。
(3)英文を書いたり話したりするときに、自分の伝えたいイメージに合った前置詞を意識して選択していく。
(4)そうするうちに次第に語感が磨かれ、適切な前置詞を瞬時に選択することができるようになる。

そのプロセスの中でこの本は、(1)の部分の手助けになるように作りました。

そのために、この本では、前置詞のイメージをイラストで表したり、他の前置詞と比べたり、たくさんの例文を紹介したり、語源に注目したり、時には周囲の名詞や動詞にも意識を払ったりして多方面からの前置詞理解に役立つよう、努めています。

例えば、offという語を見てみましょう。

私たちが一般的に考える日本語の「オフ」はまさしく「静的な状態」の意味を持っています。「今日はオフです(休みをとる)」や「オフにする(電源が切れている状態にする)」という文からは動きが感じられません。英語でも同じように静的な状態のoffが使われます。例えばoff lineは接続が切れている状態、つまりoffは「離れている状態」の意味を持つのです。

ところがoffは「静的な状態」を表すだけではありません。例えば、go offのoffは「くっついている状態から離れている状態への動的な変化/移動」を表しますし、サッカーのkick offも「口火を切る」といったような「変化/移動」を表す動的なoffです。ロケットの発射の際のlift off(発射/離陸)や飛行機の離陸のtake offのoffも動的なoffです。

goは「行く」の意味である印象が強いですが、goの「行く」の意味はtoなどの移動先を表す前置詞と組み合わせることで成り立つもので、そもそものgoの原義は「その場から離れる」です。そのgoの原義とoffの感覚を組み合わせて考えれば、go offが、「オフになる(電灯などが消える)」という意味だけでなく、「(弾丸などが)発射される」「(警報が)鳴りはじめる」という意味をも表すということが理解できます。

そんなoffを考えると、come offは「はがれる(くっついている状態から離れている状態への動的な変化/移動のイメージ)」となるのもわかります。

また、goやcomeなどの「動き」を表す動詞ではなく、holdやkeepのように「保持」を表す動詞を伴えば、holdoff「近寄らせない」、keep off「離れている」「近づかない」というように静的なoffの意味となります。

こういう感覚(語感)が理解できると「実際のことばの意味」が見えてきます。訳語で言う「上」とか「中」という文字面での理解ではなくて、ネイティブスピーカーが無意識に、でも確実に感じている感覚です。そういう感覚を身につけるにはイメージで捉えることがいちばん。イラストと説明を手がかりに、ぜひご自身でそれぞれの前置詞をイメージし、身振り手振りを交えて、前置詞を理解してみてください。

この本で、上で示したプロセスの(1)のヒントを得た後は、(2)から(4)の中で、実際に英文に触れてご自身が考えるイメージを確立していけるように心がけてみてください。

すずきひろし (著), ミツイ直子 (著), 清水建二 (監修)
出版社: ベレ出版 (2018/4/26)、出典:出版社HP

目次

はじめに
この本の使い方と最初の理解

第1章 位置・時間を表す最重要前置詞
1 at 全体を見渡して「今、ここ!」と指さすイメージ
2 on 圧力を感じるような感触
3 in 立体的な物に入っているような感じ
使い方のヒント1 at、on、inの比較

第2章 主要前置詞(アルファベット順)
使い方のヒント2 前置詞と副詞の感じ方のコツ
4 about 周辺
5 above 基準点があって、それより「上の方」
6 across 平面を横切る
7 after 何かの後ろ
8 against 対象物の「対」
9 along 何かに沿って
10 among 雑多な多数のグループ
11 around ぐるりと一周する動き
12 as 2つのものを天秤にかけるイメージ
13 before 何かの「前」
14 behind 何かと比べた時の「後ろ」
15 below 基準点があって、それより「下の方」
16 beneath 隠すような感じで、すぐ下に
17 beside 2つの物が、側に/隣り合って
18 besides 1つの物に「他に」
19 between 2つの物の間
20 beyond 境界線を越えた、向こう側
21 but 反転・除外
22 by ちょっとした隔たりのある「そば」
23 concerning 向き合う気持ち
24 despite 後に続く物を振り落とす
25 down 下の方へ
26 during 特定の期間内
27 except 外され感
28 for 意識の向いている方向や指さし方向
29 from 矢印の起点
30 inside 境界線の内側
31 into 立体的な物の中に入り込む
32 like 並べて明確に
33 near「近い」と思える距離感
34 of 分離、帰属
35 off 非接触
36 onto 着点に接触
37 out 外へ、表に出てハッキリ
38 outside 境界線の外側
39 over アーチ状の覆い
40 past 基準点を過ぎ去る
41 regarding 視点を置く
42 since 和訳のままの「~から」のイメージ
43 through トンネルのような空間を通り抜けるイメージ
44 throughout 空間を通過し終えるイメージ
45 to 到達点まで一直線に向かう矢印(→)
46 toward 到達点に向かっている感じ
47 under 広がりのある物の「下」
48 underneath 接着感のある「すぐ下」
49 unlike 同じグループだけど違う「スペシャル感」
50 until 「変化の一点」を目指す感
51 up上の方へ
52 upon ジャンプして、ピョンと接触
53 with 空間共有。双方向性
54 within 境界線の内側
55 without 「ない」「してない」状態
使い方のヒント3 感情表現に使う前置詞

第3章 前置詞図解一覽

この本の使い方と最初の理解

この本では、California State University, East Bayのウェブサイトで“the most common [prepositions]”と表記されているもの(54語)を取り上げています。それに加えて、副詞としての意味を理解する必要があると考えられるoutについても記載しています。

1.「前置詞」について
便宜上、どれも「前置詞」とは呼んでいますが、まず、「前置詞」としての呼び方について少し断っておく必要があります。
offやonやinは前置詞だと思い込んでいる方もいるかも知れませんが、前置詞としても副詞としても働く語はたくさんあります。ここで少し説明をしておきます。
“He is in his room.”(彼は部屋にいます)のinは名詞(his room)の前についていることからわかるように前置詞です。一方、“Please come in.”(どうぞ入ってください)のinは動きや状態を表す働きの副詞として使われていて、さらに“This color is in at the moment.”(この色が今の流行です)では形容詞として使われていますよね。
“The children played outside the room.”(子どもたちは部屋の外で遊んだ)のoutsideは名詞(the room)の前について前置詞として使われていますが、名詞のthe roomが外れてThe children played outside.という文になると、outsideは副詞としての機能になります。また、“He consulted an outside company.”(彼は外の会社に相談した)のように使えば形容詞ですね。同様に、“He walked around the town.”(彼は町を歩き回った)のaroundは前置詞で、“He walked around.”(彼は歩き回った)は副詞としての使い方です。

この本の中では、前置詞として使われる上記54+1語について、副詞や名詞や形容詞の働きをしている例も含めて記載しています。品詞は異なっても、その語の意味するイメージは共通しているのでそれらを合わせて理解することが可能だからです。

ところが文法による理屈の助けを借りて理解をしようとするときには、意識をした方が良い場合もありますので、注意を要するところについては品詞の区別を記載しています。(特に注意を必要とする場合以外はその記載はしていません。)

2.「句動詞」について
学習者にとって、句動詞の意味はなかなか理解しにくいものです。この本ではその句動詞の意味を理解できるようにするとともに、逆にそれを利用した前置詞の理解方法も試みています。
ここでも少し説明が必要です。

(1)他動詞+副詞
動詞と副詞がまとまってある意味を表す動詞群を「句動詞(phrasal verb)」と呼びます。例えば、turn+offは「スイッチを切る」の意味で使われ、このときのturnは他動詞でoffは副詞です。ですからturn the radio offというふうに動詞の直後に目的語を置くことができ、また、これの順序を変えてturn off the radioということもできます。

(2)自動詞+前置詞
(1)とは別に、look at~のように「自動詞+前置詞」でまとまってひとつの他動詞のような役割を果たす、「前置詞付句動詞」(prepositional verb)というのがあります。この場合には順序は変わらず、× look the blackboard atとすることはできません。

これまで句動詞は「丸暗記」が必要だと捉えられてきて、例えばcall forは「要求する」という訳語を丸暗記してきた方も多いと思います。ところが、動詞の意味が理解できていて、前置詞/副詞の意味もイメージできれば、句動詞を理解することはそれほどたいへんではありません。それに、逆に句動詞の意味を捉えられれば前置詞/副詞のイメージがより鮮明になることもあります。この本の中では「句動詞がわかる、句動詞でわかる」という項目を使ってイメージを定着することに役立てて欲しいと思います。

なお、その中では、上記(1)(2)の区別はしていません。(1)の場合にはturn A offともturn off Aとも使われますが、turn offとして代表して記載しています。

また、「句動詞」とは言えないような単なる使用例やイディオムも、同じ目
的でいくつかこの中に入れていることもご承知ください。

3.語源について
前置詞に限らず、語をイメージでとらえようとするとき、語源に遡って考えてみるとわかりやすいことがあります。この本の中では「語源でもっとわかる」という項目を作りました。前置詞の語源を説明しています。この中で、インド・ヨーロッパ祖語(PIE)という記述が出てきますが、これは簡単に言うと何千年も前に遡って想定されている欧州語の祖先の語をさします。これらの説明も、その前置詞の意味を理解する際の理解の助けになるかも知れません。

すずきひろし (著), ミツイ直子 (著), 清水建二 (監修)
出版社: ベレ出版 (2018/4/26)、出典:出版社HP