イギリス英語でしゃべりたい! UK発音パーフェクトガイド (CD付) (CD BOOK)

 


 

イギリスというよりUK発音を学ぶ!

イギリス英語とアメリカ英語、この二つには日本人にはあまり気づけない違いがあります。今まで、イギリス英語を話せるようになるための学習は、聞いて真似して発音する以外にあまり方法がありませんでした。本書はイギリス英語の発音を音声指導のプロが、母音・子音、リズムやイントネーションまで詳しく解説しています。

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はじめに

最近、イギリス英語に興味を持つ人が増えているようです。実際、イギリス英語の学習書も増え、大手書店には、イギリス英語専用の棚を設置しているところさえあります。

ただ、イギリス英語の学習書の多くは、イギリス的な表現を集めたものです。でも、イギリス英語を学びたい人は、表現以上に、まずは発音を身につけたいのではないでしょうか。映画などで聞こえてくる上品なイギリス英語。その魅力はなんと言っても発音ですね。

だからこそ、イギリス英語の発音を身につけたいと思う人は、意外に多いはずです。とはいえ、その発音をきちんと扱った参考書はほとんどないのが実情です。そのため、今までは、イギリス英語の発音を身につけたければ、自己流で勉強するしか方法はありませんでした。

しかし、独学には限界があります。実際、筆者はあるとき、多くの学習者が「自分なりに練習はしているけれど、なにかが違う。でも、なにが違うのかわからない。どうすれば自分の英語を本物のイギリス英語に近づけられるんだろう」と思い悩んでいることに、気づかされたのです。

それが本書を出すきっかけです。イギリス英語が好きで、きちんとしたイギリス英語を身につけたいと思っている、本気の学習者に捧げるのが本書です。英語音声学の研究者として、そしてイギリス英語の発音マニアとして、研究と指導の経験にもとづいたノウハウを盛り込みました。

本書の特徴

具体的に本書の特徴を述べてみましょう。本書では、標準発音であるRP(Received Pronunciation「容認発音)ばかりでなく、大衆的な発音にもできるだけふれてあります。実は、RPはイングランドの人口の3~5%でしか話されていないのです。ほとんどの人はなんらかの訛りを持っています。だからこそ、イギリス人の英語は聞きとりづらいのです。ですから、現代の大衆的な発音や、地方の発音について知ることは、聞きとりの助けにもなるのです。

付属CDの音声はRP主体ですが、比較のためアメリカ英語の発音も入れてあります。これによって、日本の英語教育の主流である、アメリカ英語との発音の違いを知ることができます。イギリス英語といえば、can’tが「カーント」とかよく言われますが、それ以外にも、さまざまな違いがあることがわかるはずです。
また、イギリス英語は、単語単位の発音だけでなく、リズムやイントネーションにも特徴があります。ただ、残念ながら、こういった面は従来、ほとんど扱われてきませんでした。本書では、これらについてもかなり扱っています。

例としてあげた単語と文にも工夫をしてあります。まず、イギリス的な単語・表現を盛り込むようにしました。また、例文はその作りにも工夫を凝らしています。ポイントとなる母音や子音は、たいてい主語か文末の単語に組み込んであります。そこは文中でもっとも目立つ位置です。だからこそ、発音練習をする中で、自然とポイントが強調できるようになっているのです。

イギリス英語の音(特に母音)には精妙な区別が必要です。それを正確に身につけられるように、本書には今までにないアイディアを盛り込みました。それは手を使った方法です(詳しくはp.14,25,28をご覧ください)。指導の経験から見ても、この方法は効果絶大です。ぜひためしてみてください。

本書の用語

ところで、本文では「イギリス英語」というより、「UK英語」という表現を使っています。前者では、RPに代表される標準発音の英語、いわばよそ行きの英語がイメージされてしまいます。でも、本書ではより現実に近い、イギリスのあちこちで実際に使われている英語についても解説をくわえてあります。イギリス全体を視野に入れたいがため、あえてUK(the United Kingdom「連合王国」)という語を使いました。また、本書では「UK発音」「UK英語[発音]らしさ」などのような表現を使っています。日本語としてはややおちつかない感もありますが、本書の用語としてご理解ください。

本書は薄い本ですが、近頃のどの本よりも中身は濃いと自負しています。今までのイギリス英語の本で満足できなかった方にも、必ずや新しい発見をしていただけることと思っています。

ぜひ本書を使って、品とキレのあるイギリス英語の発音を身につけてください。
なお、本書出版にあたり、英語学習アドバイザーの川合亮平さんには、新しいメディアを使っての勉強法について寄稿していただきました。奥様で英国出身の川合ステファニーさんには、例文の作成ならびに英文チェックをしていただきました。また、研究社編集担当の宮内繭子さんには、企画段階から完成に至るまで、さまざまなかたちで協力していただきました。これらの方々の協力があったからこそ、本書は出版に至りました。深く感謝いたします。

本書を使っての勉強法

本書は薄い本です。これは使ってもらうためです。使い込んでほしいからこそ、この薄さなのです。本書には、UK英語の発音についてさまざまな情報を盛り込んでいます。これだけの内容なら、もっとページ数も項目数も増やすことが可能でした。でも、基本的にひとつの項目を見開きページに入れることで、使いやすくしたのです。
発音はスポーツと同じです。たとえば野球のバッティングで考えてみましょう。いくら本やビデオなどで正しいバッティング・フォームを勉強しても、それだけでは体は動きません。何千回、何万回も素振りやバッティング練習をして、試合でヒットを打てるのです。本書で述べたことは知識です。いわばバッティング・フォームの理論なのです。知識だけでは、イギリスに行ってもUK発音で英語を話すことはできないでしょう。ちなみに、大学の英語の先生の中には、音声学を教えているのに、「実際の発音がひどい人がいます。このような人は、まさに練習不足で頭でっかちの状態なのです。「実際、発音器官、つまり唇や舌は筋肉のかたまりです。ですから、正しいフォーム(発音)が体に染み込むまで、なんどもなんども練習が必要なのです。十分な練習があるからこそ、いつでもきれいなUK発音が瞬時に出せるようになるのです。

UK発音をマスターするためには、本書を一度だけさらっと読んで終わりにするのではなく、なんどもなんどもくり返し読み、聞き、発音してください。特に本書の冒頭の「ア」や「オ」系の母音についてはゆっくり、くり返し練習してください。ここをなん日もかけてマスターしたら、スピードアップしてもOKです。

英語ができて、知識も多い人は世の中にたくさんいます。その人たちは、いわば実践がともなわない、口先ばかりの評論家になりがちです。でも、この本ときにとってくださった皆さんには、評論家ではなく、UK発音の数少ない実残家になっていただきたいのです。

近い将来、自分がきれいなUK発音を使いこなしている姿をイメージしながら、毎日練習に励んでください。
いつか、実際にお目にかかって、UK発音についてさらに指導させていただいたり、語り合ったりできる機会を待ち望んでおります。

小川 直樹 (著)
出版社: 研究社 (2009/4/22)、出典:出版社HP

目次

はじめに
本書を使っての勉強法
UK英語の訛りについて
本書の表記とCDの録音について

第1章 母音
1.[]横に大きく開くhat
2.[p]大きく丸くhot
3.[A]力を抜いてhut
4.[a]喉の奥からfar
5.[a]アメリカ発音とは違うcan’t
6.[a]口を開かずrぬきでfur
★ジェスチャーで発音してみよう1「ア」のグループ
7.[:]rがなくて同じ音door, call
8.[90]RPらしさの代表go
9.[en][e]出だしも違うlate, let
10.[i:][1][i]Ettalldal leave, live
★ジェスチャーで発音してみよう2「イ」の母音
11.[b][u]口の丸めが違うpull, pool
★ジェスチャーで発音してみよう1「オ」「ウ」のグループ
★COLUMN:オススメ書籍とウェブサイト
12.[ar]「はい」とは違うhigh
13.[au][]二重母音は意外に微妙how,boy
14.[19][ca]「ア」はどこ!?here,hair
15.[va]→[2]意外な音に変わるpoor
16.[ara][ava]三重母音はくせものtyre,tower
17.[]弱いところに現れるのはbanana

第2章 子音
18.[]強く響く語頭の[]ten
19.[t]語中と語末の[]はbetter,pit
20.[p][k]強いのは[t]ばかりでなく、pop,kick
21.[b][d][g]前の母音をのばす有声音rib,had,dog
22.[r]口を丸めて出すright
23.[II舌をしっかりつけてight
24.[0][0] 25.[f][v] 26.[s][z] 27.01[3] 28.[0][03] 29.[tr][dr] 30.[m] 31.[n] 32.[0]微妙な「グ」がつくsing
33.[i]「イ」ではないyear
34.[t]→[S],[dj]→[5]UKのいま風変化tune,deuce
35.[w]口をしっかりすぼめるWine
36.[h]消えてしまうこともあるhit

第3章 発展編
37.英米で発音の異なる単語
38.英米で強勢位置の異なる単語
39.リズムのコツは[] 40.弱さを作る機能語
41.ことわざでリズム練習
42.リズムの奥義等時性
43.強勢は移動する!?
44.イントネーションの中心ートーン
45.いちばん多い下降調
46.決め手は核の位置
47,上昇調と下降調
48.UK英語らしい降昇調
49.音変化
50.音読に挑戦○天気予報
51.音読に挑戦2UKの食べ物
52.単語集
53.例文集
★PodcastでUK英語にどっぷり浸かる
(英語学習アドバイザー・川合亮平)

小川 直樹 (著)
出版社: 研究社 (2009/4/22)、出典:出版社HP

英語の訛りについて

訛りと方言

本書では、UK英語の様々な訛り(accent)について言及しています。ここでイギリスの訛りについて概観しておきましょう。
まず、「訛り」という語についてです。この語は発音のみを指す語です。似た単語に「方言」があります。これは、訛り(発音)も含みますが、主として、文法と語彙について言う語です。「例えば、サッカーはイギリスではfootball,アメリカではsoccerです。これは方言の違いです。
でも、soccerという語はアメリカ人が発音すれば[sdker],イギリス人(RP話者)が発音すれば[soka]です。これが訛りの違いです。

代表的訛りRP

ではUK英語の訛りの種類を見てみましょう。まず、もっとも標準的で代表的な訛り(言語学では標準発音も訛りの一種です)がRP,つまりReceived Pronunciation「容認発音」です。これは、英国南部の教養のある人々の発音がもとになっています。「はじめに」でも述べましたが、イングランドの人口(5,000万人くらい)のうちの3~5%程度の人しか話していません。50人英国人がいたとすると、RPを話すのはせいぜい2、3人程度ということです。
RPは、王室や貴族、政治家、年配の大学教授、高位聖職者など、社会的に上の階層の人が使います。オックスフォード大学やケンブリッジ大学出身者が典型的なRP話者なので、俗にOxbridge accentと言われることもあります。
英国は、ゆるくなってきてはいるものの、依然として階級社会です。それだけに、多くの庶民は、RPに対してコンプレックスをいだいています。そのため、RPは”posh”つまり「お上品ですました」英語と感じられますし、ときに揶揄の対象となるのです。
RPは英国全土で聞かれます。地域による違いはあまりありません。といつのも、これは家柄のよい人の訛りで、高等教育を受けた人の訛りだからです。RP話者の家族はたいていRP話者ですし、その子供たちもRPが使われている学校に行くことが多いため、家柄のよい人、高等教育を受けた人の訛りということになるのです。

地方訛り

次にイギリスの地方訛りを見てみましょう。地方訛りは、ある地域で生まれ、育ち、そこで一生を終える人たちの訛りです。それだけに、その訛りは、社会階層では下のほうを示唆します。社会階層が下であれば地方訛り、上へ行くほどRPに近づくわけです。それを人口比も含めて表したのが図1の三角形です。RPを話す人はわずかで、地方訛りを話す人のほうが大多数なのです。
では、地方訛りにはどんなものがあるのでしょうか。地域に分けると北から、スコットランド、アイルランド、北イングランド、中部イングランド、ウェールズ、南イングランドの6地域です。これを示したのが、次ページの図2です。
訛りの分類基準は、まずはスコットランド、ウェールズなどの地域ですが、くわえて、言語学的には、1)birdなどの母音の後のrの発音の有無、2)hutの
首の発音(通常は[A)、3)askの母音の発音(通常は[az])、4)二重母音の音算(たとえば[en]か[e:]か)、5)イントネーションの違い、などが代表的なものです。

A. Hughesand P. Trudgill(1996)English Accentsand Dialects, 3rded. Arnold,p.8&より

スコットランド

スコットランドは、もともとケルト語の一種ゲール語を母語とする地域です、現在は基本的には英語が使われます。しかし、その英語はスコットランド(スコットランドに残る古い形の英語)やゲール語の影響を受けています。
スコットランド訛りは、母音の後(語末や子音前)のrが発音されること、平「浜のようなイントネーションが使われること、などが大きな特徴です。

イングランド中部・北部

イングランド中部・北部地域は双方に共通する特徴があるため、中部・北部の英語をまとめて「北部英語(Northern English)」と呼んだりします。
中部・北部共通の訛りの最大の特色は、[A]が[0]になることです。putput]とputt[pat]がどちらも[put]となって、区別がなくなるのです。
北部では、スコットランド同様、平叙文に上昇調のようなイントネーションを使います。しかし、中部ではこのようなイントネーションは使われません。

アイルランド

アイルランドは、スコットランド同様、もともとゲール語が使われていた地域です。アイルランドの英語は、母音の後のrが発音されること、平叙文に上昇調が使われることなどが主な特徴です。
ただ、イギリス領の北アイルランドと、独立国の南アイルランド(アイルランド共和国)では訛りが異なります。北は、スコットランドからの移民が多いため、平叙文の上昇調がかなり強く、スコットランドの訛りにかなり似ています。一方、南では、hotの母音に[a]が使われ、rも非常に強く響きます。南の訛りは、かなりアメリカ英語に似た響きです。南アイルランドから多くの移民がアメリカへ渡ったためです。

ウェールズ

ウェールズは、スコットランドやアイルランド同様、もともとケルト語圏です。その影響がイントネーションに現れています。音程の上下動が激しく、いったん上がって一気に下がるトーン(昇降調)がよく使われます。
ただ、他のケルト語圏の訛りとは異なり、母音後のrは発音されません。母目の前のr(rightなど)は、たたき音という、日本語のラ行子音に近い音になるのも特徴です。もうひとつの大きな特徴は、「jus]を[ru]と発音することです。「たとえばjuiceは[ogrus]と発音されるのです。

イングランド南部

イングランド南部の訛りは、ロンドン東部の下町の労働者方言コックニーScockney)に代表されます。その訛りの特徴は、1)[en]が[au][ar]と発音され、2)語中・語末の「It」が「ッ」のようになり聞こえなくなる、3)語頭などのh]が落ちて発音されない、4)母音が鼻にかかる、などです。
訛りは地域的にも階層的にも広まりを見せています。昔ならRPのインテリ層の若い世代や、BBCなどからも、最近は弱めの南部訛2)など)が聞かれるのです。この訛りは、テムズ川の河口域からの、「河口域英語(Estuary Enalish)」と呼ばれることもあります。

ちなみに、イングランド南西部では母音の後のrを発音します。この地域の英語はいかにもイギリス英語なのですが、rが響くので、やや不思議な感じです。

本書の表記とCDの録音について

・単語や例文であげたもののうち、UK英語に独特なものは、イタリック体で示しました。その部分に対応する日本語訳も、イタリック体で示してあります。
・難易度が高いと思われる単語には、日本語訳を示しました。
・単語は、基本的にアメリカ発音(女声)とUK発音(男声)をCDに収録してあります。ただし、英米の差がほぼ見られない発音については、UK発音のみを収録しました。アメリカ発音とUK発音が両方収録されている単語には、米(国)英(米)のアイコンがついています。
・UK英語に特有の単語にも、アメリカ発音を収録してあります。これは、あくまで発音の比較のために収録したものです。アメリカ人が、これらの単語を普段使っているということではありません。
・例文は、基本的にUK発音のみ録音されています。比較のためアメリカ英語の発音も収録したものについては、米英のアイコンをつけてあります。

小川 直樹 (著)
出版社: 研究社 (2009/4/22)、出典:出版社HP