ワーキングホリデーってどういうもの? 現地に滞在する英語講師に聞いてみた

英語を学習していく中で、ワーキングホリデーについて興味を持った人も多いはず。いずれは国外で働きたいと思っている人や海外生活に憧れている人などにとってワーホリは大きなチャンス。では、ワーホリを取得して現地で生活するまでにどのような過程を進めばいいのだろう? 現在進行形でニュージーランドに在住する中野大河さんに必要なことを聞いてみた。

私がワーキングホリーデーを取得するまで

皆さんこんにちは。中野大河と言います。さて、さっそくですが、私はどこで記事を作っていると思いますか? 答えは、ニュージーランドです。実は今年の5月からニュージーランドのワーキングホリデービザを取得し、クイーンズタウンという街で生活を送っています。英語圏で過ごすとなると必要になってくるのが“英語力”です。

元々、大手英会話塾で講師をしていたこともあり、英語は「日常・ビジネス英会話共に円滑に行えるレベル」で、特に仕事では英語による交渉と説明が求められますが、問題なく業務を進められる英語力があります。ですので、ここでは英語の学習方法はもちろん、海外生活や現地での仕事について情報を発信していきます。

ニュージーランドのワーホリを取得したのは、2018年の秋に1週間の休暇を取ってニュージーランドへ旅行に行ったことがキッカケです。当時、都会での仕事と生活に疲れていたこともあり、オークランドからロトルアへ向かうバスの中から見た大自然と野生動物に心を打たれました。そんな雄大な自然を見ながら「こんな美しい場所で暮らすことができたらどれだけ幸せだろうか」とふと思いました。現地で大自然や文化を体感したニュージーランド旅行も終わり、帰りの飛行機では「またこの地に帰ってきたい」とボンヤリ思いながら帰路につきました。

ところで、ワーホリを検討している人にオススメしたいのが、日本ワーキング・ホリデー協会のセミナーです。ニュージーランドから帰国後、ワーホリについて詳しく知りたかったので、同協会主催のセミナーに参加しました。セミナーでは、ビザの取得や就労、保険など様々なことを知ることができましたが、中でもカウンセラーの「疲れている人にはニュージーランドがオススメですよ」という一言で背中がグッと押されました。

まさにこの言葉通り、当時は東京での目まぐるしく変化する仕事と生活に疲れ果てていました(笑)。その言葉を聞いてから、ますます「ニュージーランドに行きたい」と思うようになり、会社の組織変更が行われることが決まったタイミングで渡航を決意しました。

ニュージーランドの大自然と野生動物の光景が忘れられず、ワーホリを決意した

渡航前までに決めておくべき事柄とは?

では、渡航前にすべき準備について教えます。私がオススメする準備は3つです。「1.英語力を磨くこと」、「2.情報収拾を抜かりなくすること」、「3.目的を明確にすること」の3点です。それではひとつひとつ詳しく説明しましょう。

まず、ひとつ目の英語力を磨くこととは、文字通り自身の英語力を向上させるということです。私の場合は、3月末に会社を退職し、5月中旬に渡航したため、渡航までの1ヶ月半は予習と復習を欠かさず、毎日オンラインレッスンを2コマ(計50分)受けて英会話の練習をしました。他にもYouTubeで英語学習関連動画を見て、英会話で使えるフレーズのストックを増やしました。実際に学習をしたことを現地で受けた面接や日常生活で活かせたので、直前の短期間で集中的に勉強をして良かったと思います。

次に、ワーホリする上で必須なのが、仕事と家、学校探しの3つです。そこで、ふたつ目の情報収拾を抜かりなくすることが大切なのです。現地に着いてからは、給与を受け取る銀行の開設や就職面接に行くなど多忙になるため、時間がある国内にいる間に調べておくと良いでしょう。

もし、英語ができるのであれば、日本語ではなく英語で検索をかけましょう。当然ですが、英語の方が大量の最新情報が見つかるので、少しでも好条件の物件や仕事を見つけることができます。一方、それほど英語力に自信がない人は、日本ワーキング・ホリデー協会などのエージェントを使って渡航前に相談するのが適切でしょう。

そして、優先順位を落としがちなのが、3つ目の目的を明確にすることです。ちなみに、私の場合は、「海外で仕事と生活を経験すること」が目的です。ワーホリの目的は何でも良いのですが、しっかりと言葉にして心に留めておくことで、いざ決断が迫られたときに持っている軸を判断基準に行動できます。実際に、私はチリやアイルランド、ロシア、イギリスの出身者が住む家で貴重な共同生活を送ることができ、仕事も現地のホテルで働くことができました。

「英語力を磨くこと」、「情報収拾をすること」、「目的を明確にすること」という3つの準備をしてから渡航すれば、スムーズに現地の生活に移ることができる

英会話講師でも陥る英語への苦悩と成功

最初に話した通り、私は日本で英語講師として英語学習塾に勤めていました。つまり、英語を教える側の人間でした。では、教師や講師など教える側の人間は、現地でも英語への不安や苦悩がないのでしょうか? 答えはNOです。

冒頭で書いたオークランドからロトルアのバスの車中であるアナウンスが流れました。そのとき、どのバス停でどれくらいの休憩を取るかというアナウンスを聞き取るのが難しく、万が一、乗り降りだけのバス停で降りてしまってバスを乗り過ごしてしまうのではといった不安に駆られました。

また、車内で気さくに話しかけてくれた現地の人が、日本の食文化に興味を持ってくれたのにも関わらず、上手く伝えられずに歯痒い思いをしました。このように、英語講師として教える立場の人間でも、いざ現地へと赴いたときに自分の言葉を伝えることができません。

では、何が原因だったのでしょうか? 滞在先のロトルアの宿にいた現地の人に相談したところ、「声が小さい」と「You are not focusing on sound.(英語の方がしっくりくるので英文を記載)」が答えでした。

正直に話すと、ニュージーランドに来てから伝わらないことや聞き取れないことがあり、自信を持てずに、声が小さくなっていました。そして会話中、自分が話すときの準備を脳内でし過ぎているせいで、相手の話に集中できていないということが多々ありました。

それを踏まえ、翌日は大きな声でハキハキと相手の言葉に耳をそばだてて聞くようにしたら、前日よりもスムーズにコミュニケーションが取れました。会話をする上で初歩的な事ですが、意識を変えるだけで、自身の英語力を最大限引き出す事ができました。当たり前のことですが、「当たり前だからこそ」日本人の英語学習者に知って欲しいことです。