TOEICテクニックはいらない!
本書は、根本的なリスニング能力を身につけるためのトレーニングを行う本です。本書の冒頭では、TOEICのテクニックではなく、英語力を身につけるための英語の聞き方について解説しています。トレーニングの問題は、かなりのボリュームがあり、音声を聞いて、その文章を書き取る、ディクテーションがメインになっています。問題の合間には、コラムもあります。
はじめに
〜スコアUPのための勉強はやめよう~
本書は「TOEICスコアを上げる」ための本ではありません。TOEICレベルの英語が難なく理解できるようになっていただくための本です。
書店を見ても、インターネットを検索しても、TOEICに関する書籍や 対策情報があふれています。その中に、以下の類の内容が多く、私は危機感を覚えています。
「文頭を絶対に聞き逃さないように…」「Part ●の問題には●つのパターンがある…」「こういう選択肢は引っかけの可能性が高い・・・」
それで「スコア」は上がるかもしれませんが、こういったテクニックをいくら身につけても「英語力」は上がりません。むしろ、覚えるべきことや気にすべきことがよけいに増えてしまって大変ではないかと思うのです。
あなたが本当にほしいのは「TOEICスコア」でしょうか? いいえ、あなたが求めているのは「スコアという数字」ではなく、そのスコアが意味 する英語力、つまり「仕事で使える英語スキル」や「外国人を相手に堂々と渡り合える英語コミュニケーション能力」のはずです。
TOEIC対策のために多くの模擬問題を解き、解説を暗記するほど読み 込んでいる人も多いと思います。しかし、問題をただ解くだけでは「その問題を解ける力しかつかない」ことに注意しましょう。使える「英語力」を身につけるためには、もっと根本からアプローチする必要があるのです。真面目な英語学習者の方から、このような質問をよくいただきます。
「ロイさんは、TOEIC 満点を取るまでにどんな対策をしたのですか?」
私は答えはいつも「ほとんどしていません」です。私は、「試験形式を知っておく以上の TOEIC対策は基本的に不要」だと考えています。どんな問題が出てきても難なく正解できる…というのが本来目指すべき姿では ないでしょうか(さらに言えば、2006年や2016年に行なわれたような 試験形式の変更にも影響を受けないのが理想ですよね)。
TOEICに出てくる1つひとつの問題は、決して難問ではありません。ただし、圧倒的に時間のない試験なのです。ですから「どっちが正解なん だろう…?」などと迷うたびに、時間切れで解けない問題が増えていきます。同じ英文を何度も読み返す余裕など、与えてはくれないのです。
ですから、みなさんにぜひ目指していただきたいのは「よけいな時間を掛けずに、自信を持って正しい答えを選べるレベル」です。逆に言えば、ただ「問題を解いて解説を読む」という対策は、低すぎる目標設定をするようなもの。それでは、みなさん自身の才能を過小評価することになり、せっかくの上達度合いも低くなってしまいます。
このようにお話しすると、とても難しい本のように聞こえるかもしれませんが、どうかご安心を。本書で取り上げているのはリスニングの基礎にあたるPart 1&2ですから、学習者のレベルは問いません。スコアが人には恥ずかしくて言えないレベルの方でも、TOEICをまだ受けたことの ない初心者の方でも大丈夫です。また、700~800点以上をお持ちでも、 Part 1&2がまだパーフェクトには解けない・・・という方にも必ずお役に立 てる内容になっています。
本書には小手先のテクニックは一切ありません。ぜひ、ナマの英語も自信を持って聞き取れる「本物の英語力」を身につけようではありませんか!
イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ
本書の使いかた
~より効果的に学習するために~
本書では、スマホ1台でも学習できるよう、QRコードを用いた音声学習法を採用しています。QRコードを読み込んでいただくと、トレーニング用の音声を聴くことができます。毎日コツコツ聴き続けましょう!
また、音声は特設サイト(https://roeic.jimdo.com/)と実務教育出版の書籍ページ(https://jitsumu.hondana.jp/book/b324800. html)のどちらからでも聞くことができます。それぞれ、まとめてダウンロードしていただくことも可能です。
STEP1
Part1 に 10問、Part2 に 30問、計 40問の根本対策トレーニングを用意しています。問題をただ解いていただくのではありません。本物のリスニング力を身につけるために、ディクテーション(書き取り)方式のトレーニングを行なっていただきます。それぞれの英語音声を真剣に聴き、書き取ってください。
ルールとして1つの音声につき、聞き直しは最大3回までとします。現状のスコアに関係なく、真の英語力の獲得を目指す上級者にも納得していただけるトレーニングになっています。信じてついてきてください!
STEP2
前ページの問題の解答と解説を掲載しています。難易度に関しては、赤丸の 多い順に難(モニター正答率 30%未満)・中(モニター正答率 30%以上 60% 未満)・易(モニター正答率60%以 上)の3段階で示し、間違いやすい誤 答例も掲載しました。今回、約70名の モニターの方々にご協力いただいています。
STEP3
Part1 は、本来、写真を見ながら解く問題ですが、本書ではトレーニング効果を最大化するために、事前にはお見せしません。よけいな推測をはたらかせず、英語の音だけと真剣に向き合った後に写真を確認することで、自分のリスニング 力を正しく養成していくことが可能になるのです。
目次
CONTENTS
はじめに〜スコア UP のための勉強はやめよう~
本書の使い方~より効果的に 学習するために~
第1章 「本物の英語力」を身に つけるための心構え
TOEIC は「英語力」を問う試験ではない。
TOEIC対策なんて本当は必要ない
COLUMN ETS が勧める試験対策とは?
「TOEIC 高得点」より大切なことがある
楽な方に流されないために、目的を明確に
「正解」だけを追い求めてはいけない
COLUMN 挫折する人に共通する悪いクセ
絶対やってはいけない学習方法 <リスニング編>
「推測力」を高めるのは逆効果!?
第2章 リスニング Part 1 の 根本対策
Part1 の試験形式を確認しよう
サンプル問題で力試し
本格的なトレーニングを始めよう
根本対策トレーニング No.1
根本対策トレーニング No.2
COLUMN be 動詞の進行形
根本対策トレーニング No.3
COLUMN なぜ英語では音が変化するのか?
根本対策トレーニング No.4
COLUMN 音が変化する3つの基本パターン
根本対策トレーニング No.5
COLUMN 日本語の「あ」に近い発音のポイント1/ǽ/
根本対策トレーニング No.6
根本対策トレーニング No.7
COLUMN 日本語の「あ」に近い発音のポイント2/ʌ/
根本対策トレーニング No.8
COLUMN /r/と/l/の発音のポイント
根本対策トレーニング No.9
COLUMN リピーティングのススメ
根本対策トレーニング No.10
Part 1 リスニングのまとめ
これからのトレーニング方法
第3章 リスニング Part 2の根本対策
Part2 の試験形式を確認しよう
根本対策トレーニング No.11
根本対策トレーニング No.12
根本対策トレーニング No.13
COLUMN 日本人にとって一番難しい音
根本対策トレーニング No.14
COLUMN イギリス系の発音について
根本対策トレーニング No.15
根本対策トレーニング No.16
根本対策トレーニング No.17.
根本対策トレーニング No.18
根本対策トレーニング No.19
COLUMN 母音の長さの違い
根本対策トレーニング No.20
根本対策トレーニング No.21
COLUMN アクセントが違うと別の単語になる
根本対策トレーニング No.22
根本対策トレーニング No.23
根本対策トレーニング No.24
COLUMN 意味を考えないのは トレーニングだから
根本対策トレーニング No.25
根本対策トレーニング No.26
根本対策トレーニング No.27
根本対策トレーニング No.28
COLUMN 時間の「~後」を表すinの使い方
根本対策トレーニング No.29
根本対策トレーニング No.30
根本対策トレーニング No.31
根本対策トレーニング No.32
根本対策トレーニング No.33
根本対策トレーニング No.34
根本対策トレーニング No.35
根本対策トレーニング No.36
根本対策トレーニング No.37
根本対策トレーニング No.38
根本対策トレーニング No.39
根本対策トレーニング No.40
リスニングのまとめ
あとがき
読者プレゼント
なお、私、西澤ロイの「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)をお読みの方はもしかしたら“頑張らない TOEIC対策”の本を期待していた かもしれませんが、本書は違います。
本物のリスニング力をつけていただくために、骨太で、挑戦しがいのあるトレーニングをご用意しました。
TOEIC対策の勉強をしようとしている、ということは、英語を基礎から学び直す大きなチャンスです。今まで誰も教えてくれなかった、リスニングの本当の基礎力を今こそ身につけましょう。
TOEICのリスニングセクションでは、アメリカ英語、イギリス英語、カナダ英語、オーストラリア英語の4種類の発音が各25%ずつ採用されています。ただし、カナダ英語はアメリカ英語に、オーストラリア英語はイギリス英語にそれぞれよく似ているため、本書では「アメリカ英語」と「イギリス英語」という2種類に大別して解説を行なっています。