本書では、普段使っている日本語のフレーズを英語で伝える際に、直訳ではネイティブの方に誤解を与えるため、どのように伝えるべきか、事例を挙げて解説しています。残念な直訳を最初に示して、英訳できるようにする考え方を紹介し、ネイティブが使うような表現に変換する方法を説明しています。望ましい表現の解説もその例文の下に記されており、場面に合った表現を使うための考え方がまとめられています。
はじめに
のどが乾いたなと思ったら、外国人のスタッフが、スッとコーヒーを持ってきてくれました。そこで一言「気がきいてるね!」と声をかけるなら、何と言いますか?
アメリカの本社に、オンライン会議用のリンクを送り準備万端で待っているのに、いつまでたっても本社のスタッフがログインしてきません。
どうしたのかと思っていたら、こちらの説明不足で別のパスワードを使っていたとのこと。「言葉足らずでした」と伝えたい場合、どう言えばいいでしょう?
ネイティブと会話しなければいけない時や、英語で電話がかかってきたり、急いでメールを打たなければいけない時、つい、思いついた日本語を“直訳”していませんか?
直訳でも通じればいいですが、“残念な直訳”では、意図とまるで違う意味になってしまい、誤解されたり、赤っ恥をかいてしまう恐れがあります。
そこで本書では、日本人がうっかり“残念な直訳”をしがちな表現を選りすぐり、それをどのように英訳すればネイティブにも自然に伝わるか、実例を挙げて収録しました。
外国人のスタッフと、こんなやり取りをするなんて、一生ないと思っていたかもしれません。
しかし、時代はあなたが思っているよりも、早く動いているようです。
今や街で外国人を見かけない日はありませんし、英語を耳にせず、1日を過ごすこともないでしょう。
英語を身につけるのに一番効果的なのは、日頃から使う言い回しを1つずつ英語で言えるようにすることです。
本書で紹介した、「さすがですね」「差し支えなければ…」「ご都合がよろしければ…」といった日常的に使っているフレーズを、毎日1つずつでも英語で言えるようにすれば、自分でも驚くほど「英語が話せる」ようになります。
日本語と英語は、すべてがイコールとなるわけではありませんし、解釈の仕方でいかようにも訳せます。そのため本書で紹介した英語も、あくまで一例に過ぎません。
ただし長年、日本で暮らしている私なりに、日本人の心を可能な限り汲み取り、自然な英語に表現したつもりです。
外国人とやり取りする際、少しでも役に立てば幸いです。
デイビッド・セイン
目次
CONTENTS
はじめに
この本の使い方
Part 1 ほめる・共感する
ほめ上手ですね。
頭、いいですね。
きみには脱帽するよ。
その考えは深いですね。
それは何よりです。
うらやましいですね。
さすがですね。
いいこと言うなぁ。
頭の回転、速いですね!
数字に強いですね。
格が違いますね。
聞き上手ですね。
(彼は)よくできた方です。
(彼は)スケールが大きい。
(彼女は)裏表がなくていい。
気がききますね。
論理的でわかりやすいです。
勘がいいですね。
鼻がききますね。
機転がききますね。
モテるでしょ?
すごい人脈をお持ちですね。
この会社はトムでもってるんですよ。
目のつけ所が違いますね。
縁がなかったってことだよ。
運が悪かったね。
災難でしたね。
言いたい人には言わせておけよ。
相手が良くないですね。
いい経験になりますよ。
あなたはまだマシだよ(私なんて…)。
お察しいたします。
お気持ち、わかりますよ。
それはお困りだったでしょう。
それは一理ありますね。
なるほど、それはいいですね。
コラム1 この語、英語で言えますか?【初級編】
Part 2 お礼を言うお願いする・断る・謝る
たいへん勉強になりました。
いいことを教えていただきました。
あらためてお礼にうかがいます。
夢でも見ているようです。
折り入ってお願いごとがあります。
よろしければご覧ください。
今、ちょっといいですか?
お時間は取らせません。
お忙しいところすみません。
どうぞお目通しください。
ご一読くださいますか?
勝手なお願いですが…。
そうしていただけるとありがたいのですが…
ご一考いただければ幸いです。
(あなたを)見込んでのお願いです。
念のためにお聞きしますが…。
「特急」でお願いします。
それはちょっと、どうかなと思います。
それはいたしかねます。
まったくダメというわけではありません。
今回は見送らせてください。
残念ですがご希望にそえません。
お役に立てず残念です。
上(上司)の理解がなくて…。
ご容赦ください。
お話は承りました。
お気を悪くなさらないでください。
予定がまだ見えません。
一度、社に持ち帰ります。
それはもったいない。
あいにく先約がありまして。
ちょっと誤解があるようですが。
私の記憶違いかもしれませんが…。
もう勘弁してくださいよ。
ご迷惑をおかけしてすみません。
ご理解ください。
いただいたお電話ですみません。
言葉足らずでした。
心よりお詫び申し上げます。
軽はずみな行動でした。
誠心誠意取り組ませてもらいます。
お詫びの言葉もございません。
お騒がせしました。
あってはならないことでした。
感情的になってゴメン。
すみません、大丈夫ですか?
以後、気をつけます。
言いすぎました。
勘違いでした。
ご心配おかけしてすみません。
コラム2この諺、日本語で言えますか?【中級編】
Part 3 話しかける・あいさつ・雑談・メール
ご無沙汰しております。
お元気そうですね。
お変わりありませんね。
その後、いかがですか?
これはこれは、珍しいところで(会いましたね)。
(初対面で)よろしくお願いします。
差し支えなければ…。
ご都合がよろしければ…。
軽く、どう?
トムがいないと始まらないよ!
ご活躍と伺っております。
遅くまで大変ですね。
落ち着いたら一杯行きましょう。
いい雰囲気(の店)ですね。
場所、変えましょうか?
同席させてもらってもいいですか?
見てるだけです、ありがとう。
お呼び止めしてすみません。
そこまでお連れしますよ。
私でよければ。
お安い御用です。
ご興味をお持ちいただき、ありがとうございます。
皆さんによろしく。
お構いもしませんで。
またのお越しをお待ちしております。
お風邪など召しませんように。
よいお年を。
お話は尽きませんが…。
(電話を)そろそろ切りましょうか。
ご活躍をお祈りしております。
お気をつけて。
お世話になりました。
すっかり長居しちゃいました。
(おごってもらって)ごちそうさまでした。
いいお湯でした。
ご気分はいかがですか?.
顔色がいいですね。
お元気になられて何よりです。
お悔やみ申し上げます。
心中、お察しいたします。
コラム3 この意、日本語で言えますか? 【上級編】
Part 4 日本語ならではの表現
天にも昇る気持ちです。
無理を承知でお願いしたいんですが…。
間に合ってます。
力不足ですみません。
お気持ちだけいただきます。
決め手に欠けますね。
つかぬことをお聞きしますが…..。
けっこうなお話ですが(少し考えさせてください)。
お酒はたしなむ程度です。
(彼は)空気が読めない。
朝イチでやります。
できるだけやってみましょう。
今回だけですよ。
やぶさかではありません。
私としたことが(うかつでした)。
…という理解でよろしいでしょうか?
(こういう説明で)答えになってますでしょうか?
お眼鏡にかなって光栄です。
かわいい子には旅をさせろ、ですね。
足を向けて眠れません。
(そういう人)嫌いじゃないよ。
お電話が遠いのですが。
あなたの発想は斜め上を行ってますね。
彼女は闇が深い。
歯がゆい思いをした。
彼女は歯に衣着せぬ物言いをする。
彼は歯の浮くようなお世辞を言う。
彼の発言で会場がざわついた。
犬に噛まれたと思うしかない。
今となっては笑い話ですが。
(彼女には)太鼓判を押す。
これは叩き台だと考えてください。
脱線しないようにしましょう。
確かな筋からの情報では…。
その件は大事をとって伏せておこう。
(予算内に収めようと)頭を絞った。
あの会社は勢いがある。
コラム4 この語、英語で言えますか? 【番外編】
おわりに
本文デザイン 清水真理子(TYPEFACE)
本文DTP AtoZ English
この本の使い方
これを英訳できるか挑戦しましょう!
日本人の”直訳英語”は、ネイティブにはこういう意味に聞こえます
日本人がついやってしまう“直訳英語”の例
上の日本語は、ネイティブならこのように英訳します!
上の日本語をこう考えれば英訳できるというヒント
なぜこのような英語になるのか、なぜ「残念な英語」になってしまうのかを解説