映画『グリーンブック』の受賞の裏でいったい何が? アカデミー賞の舞台裏のあれこれ【今週の英字新聞】

映画館に行く前に知っておこう

2月24日(日)にアメリカ・カルフォルニア州のハリウッド(ドルビー・シアター)で第91回アカデミー賞が開催されました。アカデミー賞は授与されるオスカー像から通称オスカーとも呼ばれる世界最大級のアメリカ映画賞です。「作品賞」、「監督賞」、「主演男優賞」、「主演女優賞」、「その他の賞」の5部門で評価をします。

今年のアカデミー賞で「作品賞」、「助演男優賞」、「脚本賞」の3部門を受賞したのが、1960年代のアメリカ南部を舞台にしたノンフィクションヒューマンドラマである『グリーンブック』(日本では2019年3月1日から全国上映)。今回は、オスカーを受賞した『グリーンブック』にまつわるBBCの記事を読んでみましょう。

Spike Lee did not do much to hide his displeasure when Green Book beat his film and six others to this year’s best picture Oscar.

According to one report, the BlacKkKlansman director tried to storm out of the Dolby Theatre when the winner was read out by Julia Roberts.

“I thought I was courtside at the [Madison Square] Garden and the ref made a bad call,” Lee later told reporters, saying the film was “not his cup of tea”.

“I’m snake-bit,” he joked, using a euphemism for experiencing failure or bad luck. “Every time somebody’s driving somebody, I lose.”

His comment was a reference to Driving Miss Daisy, winner of the best picture Oscar in 1990 and a film to which Green Book has been compared. Lee’s film Do the Right Thing was nominated for two Oscars in 1990 – best original screenplay and best supporting actor – but missed out on both.

【日本語訳】

スパイク・リー(映画監督)は、『グリーンブック』(監督: ピーター・ファレリー)が彼の映画(ブラック・クランズマン)と他の6作品を破り、今年の作品賞(オスカー)に選ばれたとき、不満を隠すことはほとんどなかった。

ある報道によると、ジュリア・ロバーツによって受賞者が読み上げられたとき、『ブラック・クランズマン』の監督はドルビーシアターから飛び出そうとしたそうだ。

その映画は「私の好みではない」といい、「私はマジソンスクエアガーデンのコートサイドにいて、審判員は悪い呼びかけをしたと思った」とリー氏はのちに記者団に話した。

失敗や不運を経験したことについて丁寧な表現で「自分はどうしようもないくらいアンラッキーな人間」と彼は冗談交じりに言った。

「私は誰かが誰かを運転していると(ここは競い合うというニュアンス)、必ず負ける」(スパイク・リー)

彼のコメントは1990年にオスカーを受賞した『ドライビング Miss デイジー』になぞられている『グリーンブック』への言及だった。ちなみにリーの作品である『ドゥ・ザ・ライト・シング』は、1990年にアカデミー賞の作品賞と助演男優賞の2つにノミネートされたが両方とも受賞を逃している。

訳と照らし合わせて読む (1〜3文ごとに訳が書かれています)
Spike Lee did not do much to hide his displeasure when Green Book beat his film and six others to this year’s best picture Oscar.

スパイク・リー(映画監督)は、『グリーンブック』(監督: ピーター・ファレリー)が彼の映画(ブラック・クランズマン)と他の6作品を破り、今年の作品賞(オスカー)に選ばれたとき、不満を隠すことはほとんどなかった。

According to one report, the BlacKkKlansman director tried to storm out of the Dolby Theatre when the winner was read out by Julia Roberts.

ある報道によると、ジュリア・ロバーツによって受賞者が読み上げられたとき、『ブラック・クランズマン』の監督はドルビーシアターから飛び出そうとしたそうだ。

“I thought I was courtside at the [Madison Square] Garden and the ref made a bad call,” Lee later told reporters, saying the film was “not his cup of tea”.

その映画は「私の好みではない」といい、「私はマジソンスクエアガーデンのコートサイドにいて、審判員は悪い呼びかけをしたと思った」とリー氏はのちに記者団に話した。

“I’m snake-bit,” he joked, using a euphemism for experiencing failure or bad luck. “Every time somebody’s driving somebody, I lose.”

失敗や不運を経験したことについて丁寧な表現で「自分はどうしようもないくらいアンラッキーな人間」と彼は冗談交じりに言った。

His comment was a reference to Driving Miss Daisy, winner of the best picture Oscar in 1990 and a film to which Green Book has been compared. Lee’s film Do the Right Thing was nominated for two Oscars in 1990 – best original screenplay and best supporting actor – but missed out on both.

彼のコメントは1990年にオスカーを受賞した『ドライビング Miss デイジー』になぞられている『グリーンブック』への言及だった。ちなみにリーの作品である『ドゥ・ザ・ライト・シング』は、1990年にアカデミー賞の作品賞と助演男優賞の2つにノミネートされたが両方とも受賞を逃している。

今回取り上げたニュースは153字で構成されています。トピックが映画ということもあり、作品名や人物名が多く出てきます。スラングなども出てくるので、理解しづらい文章かもしれません。難しい単語や熟語などは下記にまとめておくので、徐々に覚えておきましょう。

【重要単語・用語】

report:報道
storm out of:〜から飛び出す
not his cup of tea:私の好みではない
snake-bit:不運なことにさいなまされている (毒ヘビに噛まれ、また何もできない状態で、救われないほど参っているからの派生)
failure:失敗