[改訂版]TOEFLテスト 一発で合格スコアをとる勉強法

最初の手始めとしてのステップに

現時点でのレベルや、これまでの要した勉強時間により今後一発で合格スコアを取るというのは難しいかもしれませんが、まだ、スコアを出すために時間が十分あり、まだ自身の勉強方法が確立されていない場合一度読んでみて、試してみてみましょう。

はじめに

TOEFL iBTの登場は、日本の英語教育における黒船の襲来でした。もちろんそれ以前からスピーキングを含むテストはありましたが、それでもTOEFL iBTが革命的であるのは、インターネットを利用して、スピーキングを含む4技能を試す世界的な規模のテストであるという点です。英語が事実上の国際共通語として機能していることは否定しがたい現実ですので、いわば「国際共通語4技能試験」の登場とも言えます。
2006年のiBT国内開始以降、TOEFLを取り巻く状況は大きく変わり、今や留学希望者だけでなく、国家公務員試験、国内の大学・大学院入試、はては高校入試にまでTOEFLが利用されるようになってきました。全国紙の一面トップに「一億総TOEFL時代!?」という見出しが躍るほどで、これから最も注目される英語検定試験であると言えるでしょう。
TOEFLと名前がよく似た「兄弟」としてTOEICテスト(以下TOEICと省略)があります。今まではTOEICの方が圧倒的に有名でしたので、「TOEICなら受けたことがあるけど、TOEFLはよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。しかし国際的にはまったく逆なのです。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、TOEFLが世界中で認められる 「グローバル・スタンダード」であるのに対して、TOEICは国際的にはほとんど認知されない「ローカル・スタンダード」(別の言い方をすれば「ガラパゴス」)です。

2012年時点で、世界のTOEIC受験者のうち約3分の2を日韓二カ国で独占しているほどです(日本と韓国がそれぞれ約3分の1ずつ、ほか148カ国で残りの3分の1)。もちろん国内独自の基準があることは悪いことではありませんが、最近のTOEFLへの注目の高さは、国際社会における日本の存在感の低下を憂う、政府・経済団体が、「グローバル人材」育成のための指標としてTOEFLを意識し始めていることの表われでしょう。

日本人受験者のスコアはと言うと、残念ながら一貫して世界最低レベルに低迷しています。2006年のiBT (Internet-based Test)導入でどうなるか注目されていた変更後初の得点は、トータルスコアで世界最低10カ国入り、スピーキングに至っては単独最下位(!)の「偉業」を成し遂げてしまいました。
読者の皆さんは、ぜひ日本人受験者の平均点を大幅に上げられるよう、この本に書いたことを実践して、しっかり準備してからTOEFLを受験してください。

受験勉強というと無意味なものと思う方もいるかもしれません。実際、大学入試や一部の英語検定試験の中には、英語力そのものよりも受験技術の方が重要であるかのようなものもあります。しかし、TOEFL受験のための勉強は、留学後のみならず、国内での仕事や勉強にもそのまま役に立ちます。

スピーキングの導入により、4技能すべてをテストすることになっただけでなく、その内容がよりauthentics(「本物の」という意味)なものとなり、実際に留学中に遭遇する英語を忠実に再現するテストとなりました。試験勉強で真の能力を伸ばせるという、テストの理想型と言えます。
受験者の皆さんにとっては決して楽なことではありませんが、やはり楽に身につけたものはすぐに失われ、苦労して身につけたものは一生ものになります。だからこそ私はTOEFLを愛し、それを教えることを生業としているのです。

正直なところ、TOEFL iBTはノンネイティブ用の英語テストとしては最も難しいものです。その上、一般的な日本人が高校や大学までで経験する試験とはまったく異なりますから、しっかりとした対策を立てて臨む必要があります。

この本には、中学1年から英語の勉強を始め、英語圏での生活は1年のみで、TOEFL CBT 300点満点、TOEFL iBT 119点(120点 満点中)達成、TOEFL教授歴5年の私がおすすめする勉強法をつめ込みました。
幸い、初版の読者の皆さんからは嬉しいご報告を数多くいただきました。この改訂版は、情報を更新し、さらにパワーアップしています。皆さんがこれを実践して、一発で希望の大学・大学院の合格スコアを取得され、世界を舞台に活躍されることを祈念しております。
2014年2月
内宮慶一

内宮 慶一 (著)、西部 有司 (監修)
出版社: KADOKAWA/中経出版; 改訂版 (2014/3/1)、出典:出版社HP

目次

はじめに
第1章 TOEFLテストは本当に面白い!
1 TOEFL PBTとの出会い
2 PBT、CBTの過渡期と現行PBT情報
3 CBTの先進的試みと挫折
4 iBTの登場
5 TOEFLの概略を知る
6 TOEFLの面白さを知る

第2章 TOEFL iBTとはどんなテストか?
1 iBT試験の特徴を知る
2 リーディングセクションの内容と解答のコツ
3 リスニングセクションの内容と解答のコツ
4 スピーキングセクションの内容と解答のコツ
5 ライティングセクションの内容と解答のコツ

第3章 TOEFLを攻略するための基礎を作るインプット編
1 TOEFLは中身の濃いテスト
2 TOEFLで高スコアを取るための勉強法
3 TOEFL用のボキャブラリーを身につける
4 一般的なボキャブラリーを増やすには
5 専門的なボキャブラリーを増やすには
6最適な辞書の選び方
7 リスニング力をつけるにはどうすればいいか
8 リスニング力アップのための5ステップ訓練法_その1ディクテーション
9 リスニングカアップのための5ステップ訓練法その2 シャドーイング
10 リスニングカアップのための5ステップ訓練法その3 リプロダクション(復唱)
11リスニングカアップのための5ステップ訓練法その9 ノートテイキング(メモ取り)
12 リスニングカアップのための5ステップ訓練法その6 ファストリスニング(速聴)

第4章 TOEFLを攻略するための基礎を作る アウトプット編
1 アウトプット力の基礎作り
2 スピーキングの練習手順
3 スクリプトは自分で作ってみる
4 学校選びのポイントをおさえる
5 インターネットを利用する手もある
6 ライティングも同じように対策する

第5章 テスト直前必読! 受験までの心得と攻略のコツ
1 受験申し込みはどうすればいいか
2 試験前日はこう過ごして備えよう
3 試験当日!時間を有効に使おう
4 試験直前の心得!1リーディングの攻略ポイント
5 試験直前の心得!2リスニングの攻略ポイント
6 試験直前の心得!3スピーキングの攻略ポイント
7 試験直前の心得!4ライティングの攻略ポイント
おわりに
本文イラスト/岩田幸之
本文デザイン/浦郷和美

内宮 慶一 (著)、西部 有司 (監修)
出版社: KADOKAWA/中経出版; 改訂版 (2014/3/1)、出典:出版社HP