ゼロからスタート リスニング―だれにでもできる英語の耳作りトレーニング

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「視聴」を重視しての英語の耳づくり

本書は、英語のリスニングの初心者向けの参考書です。日本人にとって聞き取りにくい英語の音に関する特徴を10項目に分けて解説しています。具体的な場面に対応できるような単語やフレーズを掲載しており、短文から長文に段階的に学習できる構成となっています。

リーディングはできるけどリスニングだけはどうにも…という方にはぜひ手に取ってほしい1冊です。本書を繰り返し練習することで、TOEIC等の大幅なスコアアップも望めるでしょう。

はじめに

英語の勉強の中で、私たち日本人が、そして初めて英語を学ぶ皆さんが、一番苦労するのが「リスニング」です。実は私も、最初はringやpearlという、文字で見てしまえば簡単な単語でさえ、ネイティブスピーカーの出す音ではサッパリ理解できなかったという経験の持ち主です。
私自身は、本格的なリスニングの勉強は大人になってから始めたのですが、子供の頃から学んでいる人達や帰国子女の皆さんのようには英語を聞き取ることができず、英語の勉強自体がイヤになってしまうこともありました。

そのような英語難民だった私も試行錯誤を繰り返しながら、何とか英語で仕事をしたり、英語で映画やニュースを見たりすることができるようになりました。
私自身は試行錯誤の過程でたくさんのムダを経験しているのですが、この「ゼロからスタートリスニング」で勉強する皆さんには、徹底的にムダを省いて合理的に、基礎の基礎からリスニングをマスターしてほしいと思っています。英語を「読む」だけでも楽しいですが、聞いてわかると喜びは何倍にも増しますからね。

リスニングがある程度できる人や語学的センスが優れている人にはこの本は必要ありません。この本は20才の時の私と同様に、英語のリスニングができずに悩んでいる皆さんのために作成しました。「日本人の、日本人による、日本人のための」リスニング学習法を本書を通じて実践することで、ぜひ「英語の耳が開く」という感動を体験してください。

安河内哲也

安河内 哲也 (著)
出版社: Jリサーチ出版 (2006/3/1)、出典:出版社HP

目次

CONTENTS

はじめに
レッスンの前に〜ゼロから始めるリスニング学習法
本書の利用法

安コーチの耳レッスン 基礎編
耳レッスン1 カタカナ:カタカナを忘れよう!
耳レッスン2 短縮:短縮された形に強くなろう!
耳レッスン3 母音:英語特有の母音を聞き取ろう!
耳レッスン4 子音:英語特有の子音を聞き取ろう!
耳レッスン5 数字:数字の聞き取りに強くなろう!
聞き分けに挑戦! CATCH THE DIFFERENCE!
聞き分けに挑戦! CATCH THE DIFFERENCE!
耳レッスン6 連結:つながる音を聞き取ろう!
耳レッスン7 脱落:弱く聞こえる部分を見抜こう!
耳レッスン8 口語短縮: gonnaやwannaを聞き取ろう!
耳レッスン9 変化:変わる音を聞き取ろう!
耳レッスン10 強勢:英語の強弱に慣れよう!
復習エクササイズ ①
聞き分けに挑戦! CATCH THE DIFFERENCE! ③

安コーチの耳レッスン 応用編
耳レッスン11 自己紹介:はじめまして。私は
耳レッスン12 ショッピング:お支払いは? サイズは?
耳レッスン13 道案内:何キロ先でどっちに曲がる?
聞き分けに挑戦! CATCH THE DIFFERENCE! ④
聞き分けに挑戦! CATCH THE DIFFERENCE! ⑤
耳レッスン14 天気:曇のち雨時々晴れ!?
耳レッスン15 レストラン:予約されてますか?
耳レッスン16 電話:どちらさまでしょうか?
聞き分けに挑戦! CATCH THE DIFFERENCE! ⑥
聞き分けに挑戦! CATCH THE DIFFERENCE! ⑦
耳レッスン17 教室:今日の授業はここまで!
耳レッスン18 ホテル:満室でございます!
耳レッスン19 空港:申告するものはありますか?
耳レッスン20乗り物:そこで乗り換えてください
復習エクササイズ②
聞き分けに挑戦! MESIFIEBERD CATCH THE DIFFERENCE! ⑧

発音のまとめ
英語の耳公式まとめ

安河内 哲也 (著)
出版社: Jリサーチ出版 (2006/3/1)、出典:出版社HP

レッスンの前に…
ゼロから始める リスニング学習法

「精聴」こそがリスニング学習のポイントだ!
ここでは初めて英語のリスニングを学ぶ皆さんが、どうすれば日本語の音で固まった耳を、英語の音声が聞き取れるように、ほぐしていけるのかを説明したいと思います。
私もそうでしたが、耳のトレーニングをまだしていない段階で、英語のニュースの音声などを聞くと、雑音の中にポツリポツリと聞き取れる単語が認識できる感じです。この状態でずっと音声を聞き流していても、リスニングカが向上することは、あまり期待できません。

リスニングの学習には、常に英語をかけっぱなしにして聞き流す「多聴」と、一つ一つていねいに音と文字を合わせながら勉強する「精聴」がありますが、初心者の皆さんは主に「視聴」を重視して少しずつ勉強を進めるのが得策です。
もちろん英語のリズムをつかんだり、英語の音声自体への抵抗感をなくすために英語を流しっぱなしにするのはよいことですが、それだけで子供の言語吸収のように大幅にリスニング能力が向上することは、大人の場合まず期待できません。むしろ、少しずつでも英語の音を耳に刷り込むことで、徐々に耳を改造し、「聞こえる音」を増やすことこそがリスニング学習の成功の秘訣なのです。

ディクテーションと音読で耳を改造せよ!
耳を改造するためには、英文を聞こえなくしている犯人をしっかりと突き止める必要があります。そのための犯人捜索の作業がディクテーションです。まず、CDを聞きながら、聞こえたとおりに英文を書き取ります。スペリングはデタラメで構いません。何度聞いても構いません。不思議なことに、聞こえない音は何度聞いても聞こえないということに気がつくと思います。そこがあなたのリスニングをできなくしている原因なのです。

さて、次に答えのスクリプトを見て、間違って聞こえていた部分や、聞き取れなかった部分を赤ペンで修正します。そして、赤ペンの部分を目で見て確認しながら、どの部分がどの音に対応するかしっかりと意識して何度もCDを聞きます。発音記号や音のつながりなどを確認した上で、今度はネイティブスピーカーの音声をまねて音読します。日本語の音にムリに当てはめようとせず、思い切ってネイティブスピーカーの音に近づけようと心がけてください。最終的にほぼ同じような音が出るようになれば、それらと類似する音に関しては耳が開き、次回から聞き取れるようになります。そのようにして、聞こえる部分が徐々に増えていくのです。

英語を聞き取るしくみはこれだ!
昔から、英語学習者の間では、「読んでわからないものは聞こえない」「発音できないものは聞こえない」という大変的を射た言い回しがあります。

確かに、リスニングは読解と切り離せるものではなく、リスニングと読解は表裏一体の関係にあります。読解は目から入り、リスニングは耳から入るというだけで、原理自体は大きく変わらないのです。ただし、読解の場合は英文全体を見られますから、もう一度読み直すこともできるし、後ろから戻って日本語に訳すというような古風な漢文読みも、場合によっては通用します。しかし、耳で聞く場合は、英文は左から右へと流れながら消えていきますから、「左から右に英語のまま理解する」つまり、直読直解という本来の正しい読み方と同じ作業を、耳を使って行わなければなりません。

この直読直解をトレーニングする最高の方法が「音読」です。音読しながら、右から左に逆戻りすることはできません。また、音読をしながら英語を日本語に訳すことはできませんから、音読をしながら理解できるということは、英語のまま直接理解していることになるわけです。

安河内 哲也 (著)
出版社: Jリサーチ出版 (2006/3/1)、出典:出版社HP