やり直し教養講座 英文法、ネイティブがもっと教えます (NHK出版新書)

ネイティブ視点での文法のツボがわかる

「英文法、ネイティブが教えるとこうなります」の続編です。どのような文法知識をおさえれば、ネイティブとのコミュニケーションをスムーズにできるのかがわかります。より実践的な知識を身につけることができます。一皮剥けた英語を身につけたい方におすすめの1冊です。

デイビッド・セイン (著), 森田 修 (著)
出版社: NHK出版 (2012/4/10)、出典:出版社HP

contents

まえがき
コミュニケーションのための英文法 デイビッド・セイン
[英訳] English Grammar for Real Communication
「文法・語法」に関する知識の大切さ 森田 修

第1章 代名詞
代名詞❶
“every”を受ける代名詞は?
代名詞❷
“that”と“this”は「陣地」が違う
代名詞❸
“it”と“that”、「気持ち」の違い(1)
代名詞❹
“it”と“that”、「気持ち」の違い(2)
代名詞❺
「みんな」を表す「総称の主語」

第2章 形容詞・副詞
形容詞・副詞❶
“sure”のいろんな用法
形容詞・副詞❷
“really”には「本当に」注意が必要です
形容詞・副詞❸
“good”と“bad”の意外なニュアンス
形容詞・副詞❹
副詞の「位置」で文意が変わる!?

第3章 接続詞・接続副詞
接続詞❶
“after”に気をつけて
接続詞❷
“however”と“but”、どう違う?
接続詞❸
“in case”と“if”の使い分け
接続詞❹
文頭のBecauseはケンカ腰!?
接統副詞
接続副詞は「お堅い」イメージ

第4章 動詞・不定詞・動名詞
動詞❶ be動詞
「解釈力」が問われるトートロジー
動詞❷
「ちょっと〜する」感じの“have”
動詞❸
ネイティブは「基本動詞」がお好き

第3章 接続詞・接続副詞
接続詞❶
“after”に気をつけて
接続詞❷
“however”と“but”、どう違う?
接続詞❸
“in case”と“if”の使い分け
接続詞❹
文頭のBecauseはケンカ腰!?
接統副詞
接続副詞は「お堅い」イメージ

第4章 動詞・不定詞・動名詞
動詞❶ be動詞
「解釈力」が問われるトートロジー
動詞❷
「ちょっと〜する」感じの“have”
動詞❸
ネイティブは「基本動詞」がお好き
動詞❹
名詞が動詞になっちゃう!?
不定詞・動名詞❶
「目的」を表すto不定詞のニュアンス
不定詞・動名詞❷
不定詞は「これから~する」、動名詞は「~した」

第5章 前置詞
前置詞❶
さまざまな「前置詞+oneself」
前置詞❷
“about”と“on”の違い
前置詞❸
その前置詞は、不要です!「他動詞」にご用心
前置詞❹
前置詞によって意味が変わる「自動詞」は要チェック

第6章 時制・仮定法
時制
完了形みたいな現在形
仮定法❶
丁寧に依頼するときの仮定法
仮定法❷
仮定法に込められた話し手の「思い」
仮定法❸
「~だったらなあ」の“wish”と“hope”の違い
仮定法❹
仮定法条件節の「倒置」

第7章 否定・疑問文
否定❶
否定語の「繰り上げ」
否定❷
みんなが迷う「no more … than~構文」
否定❸
否定語がないのに否定の意味になる表現
否定❹
ややこしい“care”と“mind”の否定形
疑問文
「どう思う?」は“How”?“What”?
column1 “here”と“there”も陣地が違う
column2 “That’s~”の「達観した」ような響き
column3 形容詞・副詞を作る接尾辞
column4 “don’t really”と“really don’t”の違い
column5 「関係詞」はなるべく使わない
column6 「同族目的語」って、何?
column7 「句動詞」を使いこなす
column8 “Would you like~?”と“Do you want~?”の違い
column9″but for~”は死語!?
column10 NOTを使ったこんなジョーク、知ってますか?
column11 ビジネスメールは3行で書ける
column12 メールを書くときに便利な表現

デイビッド・セイン (著), 森田 修 (著)
出版社: NHK出版 (2012/4/10)、出典:出版社HP

コミュニケーションのための英文法

「とにかく通じればいい」「多少文法が間違っていてもなんとかなる」などと言って、文法や語法の知識をあまり重視していない人が多い印象があります。
たしかに、あまり神経質になりすぎるのもよくありません。間違いを恐れすぎるあまり、まったくしゃべることができなくなってしまっては、本末転倒ですよね。

でも、どんな言語でもそうですが、ネイティブ・スピーカーが無意識に従っている「文の組み立てのルール」や、好んで使ったり、あるいは避けている「言葉の使い方」があります。そうした文法や語法は、ネイティブなら誰でも身につけているルールです。これらのルールを無視してネイティブと話していると、ときに無用な誤解や混乱を招いてしまうかもしれません。

本書で取り上げている文法や語法は、いわば、英語を母語とする人たちとの意思疎通をよりスムーズに行う際に必要な、「コミュニケーションのためのルール」です。それには、ネイティブが直観的に感じる「表現の微妙なニュアンスの違い」や、直訳からは理解することのできない「裏の意味」、さらには、それぞれの英単語が持つ「イメージの違い」などが含まれています。

本書の目次をざっとながめると、「代名詞」「形容詞」「副詞」「接続詞」「不定詞」などなど、おなじみの「文法用語」がずらりと並んでいます。文法アレルギーをお持ちの方なら、「この本も、高校の英文法の授業のような、『丸暗記』中心の堅苦しくて退屈な内容なんだろうな。やっぱり、買うのやめておこうかな」などと思ってしまうかもしれません。でも、ちょっと待ってください! それは大きな誤解です。

文法や語法は「暗記」するためのものではありません。英語という言語の「ルール」、その背景にあるネイティブの発想を理解することで、今まで学校などで学んできた英語の知識がグンと実践的に、応用の利くものになります。そのようにして得られた文法・語法の知識は、あなたにとって「強力な武器」になるのです。
さあ、みなさんも、私と一緒にネイティブの「コミュニケーション英語」を獲得する冒険の旅へと、さっそく出発しましょう!

デイビッド・セイン

English Grammar for Real Communication

I sometimes get the impression that many people don’t place much value on learning grammar and word usage.

If I’m understood, that’s enough. Even if my grammar is wrong, they’ll probably understand me, they think It is true that worrying too much is not a good thing. Worrying so much about mistakes that you can’t say anything won’t get you anywhere.
With every language, there are structural rules that native speakers follow subconsciously, and also word usage rules that native speakers tend to either use or avoid. These are the rules concerning grammar and word usage that all natives know. Ignore them when talking to a native speaker, and you’ll likely invite unnecessary misunderstanding and confusion.

The grammar and word usage rules introduced in this book are the communication rules that will make it possible to communicate smoothly with native speakers. This includes slight differences in expression that natives intuitively know, the meaning behind expressions that can’t be translated directly, and also the different nuances that words have.

The Table of Contents has familiar grammar-related words such as pronouns, adjectives, adverbs, conjunctions, and infinitives. Those who dislike grammar might put this book down, thinking it’s like a high school grammar book that has to be memorized.

But not so fast! You’ve got it wrong. Grammar and word usage are not about memorization. By understanding what’s behind the rules of the English language-the way native speakers think you’ll be able to make progress and apply what you’ve learned in school. This will turn your knowledge of grammar and word usage into a powerful weapon.

So come with me on an adventure to learn about the communication English of native speakers.
David A. Thayne

「文法・語法」に関する知識の大切さ

本書はご好評いただいた「英文法、ネイティブが教えるとこうなります」の続編という位置づけです。前著では、コンパクトながらも、一応「最低限ひと通り」の英文法の基礎体系を俯瞰できるように構成を考えました。

今回の「英文法、ネイティブがもっと教えます」では、さらに円滑なコミュニケーションができるよう、日本人が間違えてしまいがちなさまざまな「英文法の落とし穴」に着目して紹介していきます。

基本的なレベルの話から、上級者でも意外と知らないニュアンスの違いまで取り上げていますので、すべての英語学習者に楽しんでいただけるものと思っております。
ところで、高名な言語学者のドワイト・ボリンジャー(Dwight Bolinger)はその著書Meaning and Form(邦訳『意味と形』)の中で、次のような言葉を遺しています。

one form for one meaning

直訳すれば「1つの形式、1つの意味」。つまり、「形式が 違えば、意味が異なる」という主張です。ちょっとした「文法形式」の違いが、意味やニュアンスの違いとして如実に反映されてくるのです。

非ネイティブがパッと見たかぎりでは「同じような意味」に見えるのに、実は話し手(書き手)が伝えたい意図とは少し(場合によっては、まるっきり)異なるなどということは、決して珍しくありません。

そのようなニュアンスの違いをいち早く察するためには、「文法・語法」の知識が欠かせません。 自分で英語を書いたり話したりするときも同様です。文法や語法の誤りのために、相手の気分を害してしまったり、こちらの意図とはまったく異なる内容が伝わってしまったりするからです。

本書で取り上げているような文法や語法の個別的情報を積み重ねていけば、ネイティブたちと同じように、言葉の微妙なニュアンスの違いがわかるようになっていくはずです。

最後に、原稿の度重なる遅延にもかかわらず、素晴らしいアイデアとアドバイスを常に提供し続けてくださった、本書の編集担当者であるNHK出版学芸図書編集部の福田直子さんと松原あやかさんのお2人には大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

森田 修

デイビッド・セイン (著), 森田 修 (著)
出版社: NHK出版 (2012/4/10)、出典:出版社HP