[音声DL付]話す英語 実践力徹底トレーニング

 


 

話す英語はロジックとストラテジー

本書は、中学レベルの英文法で英会話を学習できる本です。32項目の文法と日常で使用する単語を組み合わせて416の表現が学べます。簡単な構文を使える応用力と素早く正確に話すための瞬発力を身につけられるとしています。音声とテキストを使ったトレーニングを繰り返す手法を採っています。

はじめに

私は普段、国際的事業に関わる方を中心として、さまざまな年齢層の社会人に英語のスピーキングやプレゼンの指導をしているのですが、「日本語で伝えられる内容を100%としたとき、英語で伝えられる割合はどれくらいですか?」と尋ねると、「20~30%」と答える方が少なくありません。日本の英語学習者の多くが英語スピーキングにかなりのハードルを感じていることの背景としては、次の2つが考えられます。

1学生時代の英語学習は読み書きが中心で、英語を聞いて話すことの体系的トレーニングを受けていない。
2英語でのやりとりに触れる時間が圧倒的に少ない。その結果、相手や状況に応じた表現の使い分けや調節が難しい。

見聞きしたことをスポンジのように吸収していく子どもとは違い、大人には、大人の学習プロセスに合った学び方があります。忙しい社会人であればなおさら、上記の1,2のマイナス要素をカバーする学習を、効率的に行う必要があるでしょう。
そこで本書では、1への対応として、社会生活によく登場する言語行為 (speech act)※を12個取り上げ、さまざまな目的を達成するための英語らしい伝え方を、トレーニングを通してしっかりと学べるようにしました。それぞれの言語行為の構成要素を理解し、効果的な話し方を身に付けていただきたいと思います。

また、2への対応として、1つの言語行為においてもできるだけ多くの事例に触れられるよう、多数の発話例を音声付きで用意しました。同じ「依頼」や「苦情」でも、それを伝える相手や状況によって、使うべき表現が異なります。多様なサンプルに触れながら、表現のバリエーションも学んで、状況に応じて表現を選択し調節するスキルを身に付けてください。
本書の学習を通じて、相手に配慮しながら目的を効果的に達成する「大人の英語話者」になっていただけたらと思います。そして、グローバルな環境で、皆さんが能力を存分に発揮されることを願っています。さあ、一緒にトレーニングを始めましょう!
※「言語行為」については、pp. 20-21で説明しています。
愛場吉子

愛場 吉子 (著) , 吉田 研作 (監修), 和泉 伸一 (監修)
出版社: アルク (2019/1/29)、出典:出版社HP

目次

はじめに
読者の皆さんへ
この本の使い方
付属CD-ROMについて
学習を始める前に
「大人の英語コミュニケーション」を支える2つのポイント

Chapter 01 問い合わせ・質問をする
Unit 01 必要な物を得るために尋ねる
小さいノートパソコンを借りられますか?
Unit 02 所要時間を尋ねる
一番早く行ける方法は?
Unit 03 費用・予算などを尋ねる
ご予算はどのくらいでしょう?
Unit 04 意見・感想を尋ねる
新しいデザイン、どう思う?

Chapter 02 依頼・指示をする
Unit 05 業務上の依頼や指示をする
明日までに提出してください
Unit 06 助力・協力を求める
あなたが頼り!手助けをお願い
Unit 07 緊急性を伝えて対応を依頼する
こういう事情がありまして……

Chapter 03 提案・助言をする
Unit 08 推薦する・勧誘する
ここがお薦めです
Unit 09 仕事上の助言・忠告をする
ミスはこうして防ぐべし!
Unit 10 問題解決のための提案をする
健康な暮らしへの第一歩

Chapter 04 説明・描写をする
Unit 11 人について説明する
新しい人事部長はどんな人?
Unit 12 物について説明する
優れモノのボイスレコーダー
Unit 13 場所について説明する
知人がニューヨークに開いた店は……

Chapter 05 報告・伝達をする
Unit 14 業務の進捗を報告する
人材採用、こんな状況です
Unit 15 よくないことを報告する
体調不良で来られないそうです
Unit 16 手順を伝える
会議予約システムの使い方

Chapter 06 意見を言う
Unit 17 好みや方針を伝える
公共料金の賢い払い方
Unit 18 主張を展開する
転職には慎重になった方が……
Unit 19 社会の動きについて考えを述べる
会社員の副業、私はこう見ています

Chapter 07 断る
Unit 20 招待や勧誘を辞退する
風邪で行けそうにありません
Unit 21 依頼や要請を断る
今日は別の仕事で手いっぱいです
Unit 22「受け入れ難い」と伝える
これ以上の値上げは……

Chapter 08 謝罪する
Unit 23 遅れについて謝罪する
報告書の提出が遅れてすみません
Unit 24 キャンセルについて謝罪する
ディナーに行けなくなりました
Unit 25 送付物について謝罪する
お届け品の間違いをおわびします

Chapter 09 苦情を言う
Unit 26 過失を指摘し、対応を求める
確認してください!
Unit 27 連絡がないことに苦情を言う
お返事をいただいていません
Unit 28 角を立てずに苦情を言う
お支払いがまだのようなのですが……

Chapter 10 苦情に対応する
Unit 29 確認のために回答を保留する
お調べしてご連絡します
Unit 30 非を認めて誠実に謝る
こちらの過失です。つきましては……
Unit 31 相手の事実誤認を指摘する
ウェブサイトの記載は、こうです

Chapter 11 賛成する
Unit 32 強い賛同の意を示す
まったく同感です
Unit 33 趣旨には賛同しつつ再考を促す
おっしゃる通りです。ただ……

Chapter 12 反対する
Unit 34 配慮を示しつつ相手を制止する
病気のときは無理せずに!
Unit35 控えめに反対する
それに関しては、どうでしょうね

Review 交渉の会話で総復習!
Extra1 大勢に向かって話す
Extra 2 スモールトークをする
●キー表現&お役立ち表現 チェックリスト

愛場 吉子 (著) , 吉田 研作 (監修), 和泉 伸一 (監修)
出版社: アルク (2019/1/29)、出典:出版社HP

読者の皆さんへ
【実戦力徹底トレーニング】 シリーズのねらい
本シリーズは、大人の英語学習者が、「聞く」「読む」「話す」「書く」という4つの技能を統合しながら伸ばしていくための自習用教材として企画されました。特に、中級(TOEIC600点/英検2級くらい)以上の実力をお持ちで、より高いレベルへの壁がなかなか越えられないという皆さんの、日々の学習の一助となるはずです。

従来の英語学習では、「リスニング/リーディング力がある」とは「一度で正確に聞ける」「速く、正確に読める」ことを、「スピーキング/ライティング力がある」とは「その場で正しく、適切な話し方ができる」「正確に伝わる書き方ができる」ことを、それぞれ指していたかもしれません。聞いて、読んで理解できればよし、あるいは、伝えたい内容を話したり書いたりできればよし、とされることが多かったと言えるでしょう。

しかし現実のコミュニケーションでは、「読んで理解して終わり」「言いたいことを伝えて終わり」のように、1つの技能だけで完結するケースは多くありません。例えば、誰かの言ったことを聞いてそれに応答する(話す)、あるいは、誰かのメールを読んでそれに返信する(書く)といったように、「聞く」+「話す」、「読む」+「書く」という技能の統合が頻繁に起こります。また、資料を読んで、そこに何が書いてあるかを誰かに話す、打ち合わせで聞いた内容を文書にするなど、「読む」+「話す」、「聞く」+「書く」という技能の統合もあるでしょう。

本シリーズでは、社会人が英語を使う場面において「聞く」「読む」「話す」「書く」力が別々に発揮されることはほぼないという現実を踏まえて、トレーニングを積み重ねます。聞いたり読んだりした内容について、誰かにEメールで伝えるというミッション、誰かに口頭で伝えるというミッションなど、実地に即したさまざまな“ミッション”を用意しています。それらに取り組むことで、複数の技能を組み合わせながら、コミュニケーションのツールとしての英語の運用力を伸ばしていきます。

あなたの英語力が「本当に使える」ものとなるよう、本シリーズでの学習を通して、「実戦」スキルを磨いてください。
※各書籍の内容については、次ページをご参照ください。

【実戦力徹底トレーニング】 シリーズのラインアップ
本シリーズは、以下の4冊で構成されています。それぞれタイトルとなっている「聞く」「読む」「話す」「書く」技能を伸ばすことを主目的として、それ以外の技能も自然な形で使う「実戦的なミッション」に取り組んでいきます。
【実戦力徹底トレーニング】シリーズ
吉田研作 総合監修 和泉伸一 監修
●聞く英語 内田富男 著
リアルな英語に耐える耳づくり
ビジネスのリアルな場面を想定し、「単語レベル×速度×長さ×4カ国英語×話者の数」のバリエーションを付けた英語を聞く。英文の性質に応じて①大枠で聞く、②難しい音を聞き取る、③単語に注意して聞き取るのタイプ別に攻略、さらに「聞いた内容を口頭で説明する」「聞いた内容を基にメールを書く」などの課題(ミッション!)に挑戦。聞くだけにとどまらない、上級者のコミュニケーション力を手に入れる。

●読む英語 中野達也 著
“速く”“正しく”読む力を鍛え上げる
学習の材料は23ユニット、約1万9000語の英文文書。「3つのストラテジー」を駆使して、短時間に大量の英文を手際よく処理する練習を積み重ねる。
読むだけで終わりとせず、数々の「ミッション!」に挑戦。「読んだ内容を他者に伝える」「資料を作る」「自分の意見を述べる」などの課題をこなしながら、ビジネスシーンで必須の攻めの読み方をがっちりマスターする。

各書籍でのトレーニングを通して、「いかに効率的に英語をインプットするか」「いかに戦略的に英語をアウトプットするか」を学び、現実の場面に備えましょう!

複数の技能を組み合わせて 「本当に使える力」を手に入れる!
●話す英語 愛場吉子 著
目指すは「大人の英語話者」
「提案する」「説明する」「断る」「苦情に対応する」など、社会人にとって身近な12の言語行為にフォーカスし、さまざまな目的を達成するための適切で効果的な伝え方を、実戦トレーニングを通して習得する。英語的発想・論理に基づく発話の組み立て方、状況に合った表現の選択・調節の仕方を学ぶことで、「相手に配慮しながら相手を動かす」大人の英語コミュニケーション力を身に付ける。

●書く英語 2019年3月発売! 横川綾子/大六野耕作 著
目的を達成するための「書く力」
日本語のロジックで書いた文をそのまま英訳するだけでは、グローバルなビジネス環境で目的を達成することはできない。本書では、相手との力関係をしっかり把握した上で、最適な英文を書くトレーニングを行う。
・18のユニットで「知識」と「実戦経験」を獲得
・そのまま使える英文表現をCD-ROMに収録

総合監修者からのメッセージ
「使いながら」 統合的・総合的に学ぶ
上智大学言語教育研究センター長 吉田研作
昨今の英語教育改革で強調されているのは、「聞く、読む、話す、書くという4つの技能を、統合的に、総合的に学ぶ」ことです。「まず文法などの言語形式をしっかり学ばなければコミュニケーションはできない」と主張する人もいますが、現在までの日本で、そのような考え方の英語教育がなされてきた結果、形式上の正確さなどに過度にとらわれて、英語を使うことに気後れしてしまう人が多くなっているのも事実です。
文法などの言語形式に関する知識はもちろん重要ですが、いくらそうした「知識」を増やしても、それを実際のコミュニケーションで使ってみなければ、本当に身に付けることはできません。
本シリーズは、特に中級以上の英語学習者を対象に、具体的な場面や状況を設定し、その中で実際に遭遇する/使う可能性のある英語を素材に学ぶことで、「聞き、読み、話し、書く力を伸ばす」ことを目指しています。形式を気にし過ぎることなく、コミュニケーションを意識して英語に触れ、そして使ってみるという姿勢で、学習を続けていきましょう。
プロフィール 吉田研作(よしだけんさく)
上智大学特別招聘教授、言語教育研究センター長。専門は応用言語学。文部科学省中央教育審議会外国語専門部会委員。J-SHINE(NPO小学校英語指導者認定協議会)会長。「起きてから寝るまで」シリーズや「小学校英語指導プラン完全ガイド」(ともにアルク)などの監修を務めるほか、著書多数。

監修者からのメッセージ
「インプット↔アウトプット」のサイクルを
上智大学外国語学部英語学科長 和泉伸一
言語習得の基本は、大量のインプットです。英語の上手な人は、必ず、これまでにたくさん聞いて読んできた人です。学校や教材などでの学習に加えて、普段から英字新聞やペーパーバックなどを読んだり、英語の映画やニュースを視聴したりしています。その上で、同時にアウトプット、つまり話したり書いたりもたくさんしているのです。
アウトプットの利点は、1つには、知っていることを実際に使える状態にするための自動化を訓練できる点です。もう1つは、アウトプットすることで、自分には何が言え、何が言えないかを、把握できる点です。自分の能力の可能性と限界を判断でき、学びの問題意識が高められます。その上でさらにインプットに取り組んでいくと、これまで分かっていたと思っていたことが、より鮮明に分かるようになっていきます。言葉の細かな使い方に気付き、それを取り込んでさらなるアウトプットにつなげられるのです。
皆さんにはぜひ、そうした「インプット↔アウトプット」のサイクルを習慣付けていただきたいと思います。最初から完璧を目指さずに、サイクルを繰り返す中で向上を目指すといいでしょう。
プロフィール 和泉伸一(いずみしんいち)
上智大学外国語学部英語学科、言語学大学院、教授。専門は、第2言語習得研究と英語教育。主な著書に『「フォーカス・オン・ ォーム」を取り入れた新しい英語教育』(大修館書店)、『フォーカス・オン・フォームと CLILの英語授業」、「第2言語習得と母語習得から「言葉の学び」を考える」(いずれもアルク)などがある。

愛場 吉子 (著) , 吉田 研作 (監修), 和泉 伸一 (監修)
出版社: アルク (2019/1/29)、出典:出版社HP

この本の使い方

課題をこなしながら進める「ミッション!」型学習
各Chapter冒頭の学習

1トライ!
●Unit の学習に入る前に、そのChapterで取り上げている言語行為に関連したサンプル課題に挑戦します。与えられた「状況」を基に、伝えるべき内容を自分なりに組み立てて、話してみましょう。
●音声ファイルでは、あなたが話す部分がポーズ(無音 の間)になっていますので、その部分で、考えた内容を声に出して言いましょう。
2 Check!
●「トライ!」での自分の発話について、自己チェックします。そのChapterで学ぶ言語行為に関して、注意すべきポイントがリストになっていますので、「トライ!」だけでなく、各Unitの「ミッション!」や「エクササイズ」(日や日)に挑戦した後も、適宜このリストを見ながらチェックするようにしましょう。
3構成要素とキー表現
●それぞれの言語行為には、相手に意思を正しく伝え、目的をよりよい形で達成するために満たすべき「構成要素」が存在します。発話に含める要素やそれらの組み立て方を確認し、各要素の具体例である「キー表現」を学びましょう。
●「キー表現」の音声ファイルには、各表現が「日本語→ポーズ→英語→ボーズ」の順に収録されています。日本語の後のポーズでは、日本語を英語に変換して言い、英語の後のポーズでは、英語の音をまねて言いましょう。慣れてきたら、文字を見ずに挑戦です!
※「言語行為」については、pp.20-21で説明しています。
●本書の主要部分は12のChapterで構成されており、1つのChapter に複数のUnitがあります。
●ここでは、各Chapter の冒頭部分と各Unitに関し、学習の進め方を説明します。
4 トライ!の解答例
●「トライ!」の解答の一例を、音声付きで紹介しています。スクリプト内に、3で紹介した構成要素を示すマークを付けて、どの部分がどの構成要素に該当するかを示していますので、確認や理解、応用の際の参考にしてください。
●音声ファイルには、会話や発話の全体が収録されています。聞いて確認した後、「あなた」の部分の音声を1文ごとに停止させ、まねて言う練習をしましょう。

この本で使用しているマーク
001「付属CD-ROMのMP3ファイル 001を使用します」*1という意味です。
●REC「自分の話す英語の音声を録音してください」*2という意味です。
話題:重「話題の重要度や深刻度が高い」*3ことを表します。
話題:軽「話題の重要度や深刻度が低い」ことを表します。
人間関係:遠「相手と親密でなく、心理的距離が遠い」のことを表します。
人間関係:近「相手と親密で、心理的距離が近い」ことを表します。
*1 付属CD-ROMIについては、pp. 18-19で説明しています。
*2本書では、課題に取り組む際に、自分の発話を録音するよう指示しています。録音用の機器が手元にない場合には、録音せずに進めることも可能ですが、自分の発話を聞いてチェックすることで弱点が明らかになりますので、できるだけ指示通りに録音することをお勧めします。
*3-4「話題」と「人間関係」については、pp.21-22で詳しく説明しています。

各Unitの学習
5 ミッション!
●さまざまな登場人物になり切って、与えられた使命を果たすべく、「聞く」「読む」などの技能と「話す」技能を組み合わせた課題に取り組みます。課題の英文中に、3の構成要素を示すマークを付けていますので、取り組む際のヒントにしてください。表現が出てこないときは、3のページに戻って、該当する構成要素の表現を復習した後、再挑戦しましょう。
●音声ファイルでは、あなたが話す部分がポーズ(間)になっていますので、その部分で、考えた内容を声に出して言いましょう。
6 ミッション!の解答例
●「ミッション!」の解答の一例を、音声付きで紹介しています。掲載内容や音声ファイルの内容・使い方は、4「トライ!の解答例」と同様です。

7 伝えるコツ
●取り上げている言語行為や、「ミッション!」に関連したコラムです。読んで理解を深め、「伝える」技術を磨きましょう。
8エクササイズ
●締めくくりに、5「ミッション!」と類似した、別の場面での発話に挑戦してみましょう。取り組み方や音声ファイルの使い方は「ミッション!」と同様です。

9 エクササイズの解答例
●「エクササイズ」の解答の一例を、音声 付きで紹介しています。掲載内容や音声ファイルの内容・使い方は、4「トライ!の 解答例」と同様です。

音声を使ったおすすめトレーニング
本書では、たくさんの会話・発話のサンプルを、音声付きで提供しています。各課題の解答例のページ(469参照)では、下記の「リピーティング」に当たる練習法を提示していますが、余力がある人はぜひ、音声をまねて声に出すほかのトレーニングにも取り組んで、英語の音を体に染み込ませましょう。効果的な練習法の代表例を、以下に紹介します。
●リピーティング
音声を1文単位で(1文が長いときは意味の切れ目ごとに)聞き、その都度音声を一時停
止させて、聞こえた通りにまねて言います。初めのうちは、スクリプトを見ながら行い、慣れてきたら、スクリプトを見ずに音声だけで取り組みましょう。
●オーバーラッピング
スクリプトを見ながら、聞こえてくる音声にぴったり重ねるように口に出していきます。発音やリズム、強勢、イントネーションなどをそっくりまねる必要があります。うまく重ならない箇所は、そこだけを何度も練習しましょう。
●シャドーイング
聞こえてくる音声に少し遅れるようにして、そっくりまねながら、影(シャドー)のように追い掛けて口に出していきます。本来はスクリプトを見ずに音声だけで取り組む練習法ですが、初めのうちはスクリプトを見ながら行っても構いません。

付属CD-ROMについて
●本書の学習に必要な音声は、付属のCD-ROMにMP3ファイルで収録されています。●このCD-ROMは、音楽CD用のプレーヤーでは再生できません。CD-ROMをパソコンのCD/DVDドライブに入れ、iTunesなどの音楽ソフトを利用して再生してください。●MP3ファイルは、パソコンに取り込んだ後、音楽ソフト経由でデジタル音楽プレーヤーやスマートフォンに転送して聞くこともできます。方法は、ご利用の音楽ソフト、デジタル音楽プレーヤー、スマートフォンに付属するマニュアルをご確認ください。

CD-ROMの収録音声は、アルク・ダウンロードセンターからダウンロードすることも可能です。
ダウンロードはこちらから!
アルク・ダウンロードセンター:https://www.alc.co.jp/dl/
※ダウンロードセンターで本書を探す際には、商品コード(7019004)を利用すると便利です。
※音声をスマートフォンに直接ダウンロードして再生できるアプリ「語学のオトモALCO」についてもご案内しています。
※本サービスの内容は、予告なく変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。

愛場 吉子 (著) , 吉田 研作 (監修), 和泉 伸一 (監修)
出版社: アルク (2019/1/29)、出典:出版社HP

学習を始める前に

「大人の英語コミュニケーション」を支える2つのポイント
本書では、「言語行為」と「表現の調節」という2つの点に着目し、これらの観点を、各Chapterの学習内容に取り入れています。学習に入る前に、この2大ポイントについて押さえておきましょう。

1 言語行為別に、英語における発話の構成要素を意識する
言語行為 (speech act) とは、イギリスの言語哲学者のオースティンらが研究した考え方で、発言が意図する「行為」や「目的」を表します。問い合わせをする、依頼をする、断る、謝る、苦情を言う、といったように、私たちが話をするときには、何らかの達成したい行為あるいは目的があり、その1つ1つが言語行為と呼ばれます。

日本語にも英語にも、ほかのどの言語にも、言語行為は存在します。しかし、言語や文化が変われば、同じ言語行為であっても異なる形・ストラテジーで表現されるという点が厄介なのです。本書では、この形やストラテジーを、「構成要素」(=目的達成のために発話に含めるべき要素、およびそれらの組み立て方)として説明しています。

特定の言語行為における、言語間のこうした構成要素の違いを知らずに、母語と同じような感覚で話そうとすると、相手に意図が伝わらなかったり、時には相手を不快にさせてしまったりする危険性があります。つまり、英語でコミュニケーションをする際には、英語における話の構成の仕方を知り、それらを踏まえた話し方をする必要があるのです。

「謝る」という言語行為を例に取ってみましょう。「提出すべき書類の締め切りを過ぎていることを指摘され、日本語で謝る」という状況を想定したとき、多くの人は、特別な事情がない限り、細かな経緯説明などはせず、ただ謝罪するか、あるいは「バタバタしていて」「少し手間取りまして」などと口にするだけではないでしょうか。統計的にも、日本人はアメリカ人に比べて、謝る際に状況や経緯、理由の説明をしない傾向があります。「言い訳がましくなることを避ける」という感覚が働くためでしょう。

英語での謝罪の仕方は、日本語の場合とは、かなり異なっています。Chapter08 p.170の、同様の状況における謝罪の例を見てみると、「謝罪」「経緯」「対応策」「再発防止の約束」といった多様な要素で構成されていることが分かります。中でも目を引くのは、「経緯」の説明の詳細さです。

I know it was due yesterday, but I noticed some errors. So, I needed more time to proofread everything again carefully.
昨日までだとは分かっていたのですが、幾つか間違いがあることに気付いてしまって。それで、全体をよく見直すために、もっと時間が必要だったのです。

ここまでしっかりと説明することが決して珍しくない文化の人には、経緯説明をあえてしないという態度は不誠実に思われてしまう可能性があるのです。個々の言語行為の構成要素とそれらの特徴を意識して話すことが、話の目的をよりよい形で達成するための鍵となります。

本書が言語行為ごとの構成要素を重視しているのは、こうした理由によります。本書の各Chapter で紹介している12の言語行為とそれぞれの構成要素、またそれらのリアルなサンプルを通して、英語らしい、大人の伝え方を学んでいきましょう。

2 表現の丁寧度を調節する
各言語行為の構成要素に続いて、どんな表現を使って話せばその場にふさわしいものになるかについても考える必要があります。直接的でざっくばらんな表現、間接的で丁寧な表現などの使い分けは、基本的には、話題の重さ(トピックの重要度・深刻度)と、相手との人間関係(力関係なども含む心理的な距離)を意識して行います。

ここでは、「依頼をする」という言語行為を、4つの異なる状況を想定して考えてみましょう。本書の中で使用している、「話題の重さ」「人間関係」を示すマークを使いながら説明します。
状況1 友人からペンを借りる
話題:軽 人間関係:近
Can I use your pen?
君のペンを使ってもいい?

状況2 最近知り合った顧客からペンを借りる
話題:軽 人間関係:遠
Do you mind if I used your pen?
ペンを使わせていただいても構いませんか?
※相手との力関係や上下関係を、「人間関係(心理的距離)」とは別の指標として設定する考え方もありますが、本書では「人間関係」の中に含めています。

「ペンを借りる」というトピックは軽いものなので、いずれの状況でも比較的短めのシンプルな疑問文が使われていますが、状況2のように相手と心理的に距離があり、丁寧にお願いしたいときには、Do you mind if ~?(~しても構いませんか?)や過去形(ここでは used) を使って、より間接的で控えめな言い方をします。

状況3 友人から、急きょ車を借りる
話題:重 人間関係:近
Would it be possible to borrow your car this afternoon?
今日の午後、君の車を借りることってできそうかな?

状況4 最近知り合った顧客から、急きょ車を借りる
話題:重 人間関係:遠
I was just wondering if you could possibly lend me your car this afternoon.
今日の午後、車をお貸しいただけないかと思っておりまして。

車を急に借りるというのは、依頼内容としてはかなり重いものです。たとえ相手が友人だとしても、Would it be possible 〜?などの、控えめに可能性を尋ねるような依頼表現を使った方がいいでしょう。顧客から車を借りなければならない状況(あまりなさそうな状況ではありますが……)に陥った場合は、さらに間接的な「was wondering if ~などで慎重に切り出す必要が出てくるでしょう。

また、「構成要素」にも関わることですが、具体的な依頼を切り出す前に、「feel terribly sorry, but(大変申し訳ありませんが)などの丁寧な前置きも必要となります。そして当然ながら、このような状況では、相手との関係を問わず、依頼表現の後に「車を借りなければならない」ことの詳しい理由説明を続けることになります。

「英語には、日本語のような複雑な丁寧表現はない」と考えている人が多いのですが、ここで見てきたように、英語においても、表現の丁寧さや控えめさをコントロールできるスキルはとても重要で、実際、表現を丁寧にするためのさまざまな方法が存在します(pp.59-61参照)。本書では、表現の選択や調節の参考にしていただけるよう、各Chapterで取り上げたすべての会話・発話について、話題と人間関係をマークで示しています。しっかり練習して、状況にふさわしい表現を効果的に使う力を養ってください。

愛場 吉子 (著) , 吉田 研作 (監修), 和泉 伸一 (監修)
出版社: アルク (2019/1/29)、出典:出版社HP