音を知ることがリスニングを得意にする秘訣
TOEIC®の学習を進める上でリスニングは避けては通れません。しかし、今までほぼ英語を聞く機会はゼロ、試験直前に模試で問題を解くだけという人も多いのではないでしょうか。そんなリスニング初学者が、何から取り組み始めれば良いのかを解説していきます。
さて、これからリスニングの対策をしようとしたときにあなたは何から取り組みますか? もし、「発音」と答えられたなら、リスニング学習において素晴らしいスタートを切ることになるでしょう。実際、かつては私も洋楽や洋画などを視聴しないので、英語を聞くといったらリスニング問題を解くときくらいでした。
もちろん、当時の私が抱いた心情は「速くて何を言っているか分からない」でした。そんな私でも最初に発音を学んだことで、今ではTOEIC®のリスニングで満点を取れるまでになりました。ですので、私の成功体験を皆さんにシェア出来たらと思います。
では、なぜ「発音」から学び始めるべきかというと、英語の本当の音を知るためです。英語を学習し始めたときの私はいろいろな学習法を模索している過程で、自分の知っている英語の音とネイティブスピーカーが発音する音の違いに気づきました。
そこで、発音に関する参考書を購入して発音を勉強しようと決めたのです。「えっ、『ア』をひとつとってもいっぱい種類がある」と衝撃を受けました。日本語で「ア」に当たる音は/a/だけですが、英語では/æ/、/ɑ/、/ə/、/ʌ/などいくつもあったのです。「ハット」とカタカナで表すと/a/の部分は1種類のように思えますが、/hǽt/(帽子)ならば/æ/ですし、/hʌ́t/(小屋)ならば/ʌ́/となるわけです。
このように、英語の音をカタカナに変換して日本語的に解釈していては、英語の本当の音を知ることはできません。この事実に気づいて以来、集中的に英語の音を知る学習を行いました。1ヶ月ほど行うと明らかに聞こえ方に変化が見られて、リスニングが楽しくなり始めますよ。
次なるステップは速さに対応すること
このような調子でリスニング学習の好スタートは切れたのですが、次に出てきた課題が「速さ」でした。例えば、「~したい」というときに「want to」という表現がありますが、どう聞いても「ウォント トゥー」とは言っていないのです。そこで、次は音声変化について学び始めました。
すると、英語話者は楽に発話するために語と語を繋げたり、スペル上の音が落ちていたりと想定外の発音がされていたのです。「これでは聞き取れないな」と観念した私は、ちょうどTOEIC®のスコアアップも狙っていたので、パート3と4のスプリクトを目で確認しつつ、同時に音を聞いて活字と音のマッチングをさせていきました。
そして、スプリクトを見ながら、話者と同じ音が出せるように毎日1パッセージずつ納得するまで音読に取り組みました。公式問題集のリスニング問題を2セット終える頃には、だいぶ速さにも慣れてきました。この頃はリスニングの勉強を開始して2ヶ月くらいでしたが、テストの正解数も明らかに増えていき、リスニングの学習も軌道に乗ってきました。
このように、学習初期に発音の重要性に気づいて適切なプロセスで学習をしてきたので、順調にリスニング力をつけていくことができました。もちろん、これだけが正解の方法というわけではありませんが、リスニング対策を始めるときは自分の実力に見合った対策をすべきであると思います。
例えば、洋楽や洋画が好きな人は普段から英語の音に触れているでしょう。また、巷には「聞き流すだけで英語ができるようになる」という触れ込みの教材も存在します。ただ、実体験から言えるのは、「なんとなく聞いていてもリスニング力はつかない」ということです。すでに、大人である私たちが、幼少期のようにただ聞き流しているだけでは聞き取れるようにはなりません。
もし、リスニングが伸び悩んでいるなら、基本的な発音から学び、地に足をつけて学習に取り組んでみてください。そうすれば明らかに良い変化が現れるはずです。
1987年生まれ、愛知県出身。留学はおろか旅行ですら海外渡航歴のない英語学習者。大学で英米文学を専攻したが、学生時代は特に英語が得意というわけではなかった。一時は英語が嫌いになるが、社会人になってから本腰を入れて英語学習を始め、6年間でTOEIC®910点や英検1級を取得。紆余曲折を経て蓄積した自身の経験に基づいた勉強法をブログやSNSにて公開中。