ゼロからスタート英語を聞きとるトレーニングBOOK

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ディクテーションの驚くべき3つの学習効果!

本書は、リスニングの参考書です。1日10分の学習を行い、単語の書き取りから始め、徐々にレベルを上げていく構成となっています。31日で終えられるようになっており、リスニングのレベルが短期間で高められることを目指しています。

はじめに

この本1冊を真面目にやりきるとどうなるか?ズバリ言わせていただきます。「あなたのリスニングカは飛躍的にアップする!」これがその答えです。
日本の英語教育において、リスニング教育・リスニング訓練は、今なお相変わらず軽視されているように思えます。多くの英語学習者が英語を十分に話せないどころか、英語を聞けないのはこのためです。

また、学校の英語の先生に「リスニングはどうやれば伸びるのですか?」と質問しても、たいていは「とにかく毎日シャワーを浴びるように英語を聞きなさい」とか「家にいるときは、ラジオ・テレビの英語放送をつけっぱなしにしておきなさい」などというありきたりのアドバイスしかもらえないのが実情のようです。
中には、「英語は全部聞けなくても大体勘で分かればいいわけだから、細かい部分は聞けなくてもいいんだよ」とか「洋楽をBGMとして部屋に流し続けておけば、次第に聞けるようになるんだよ」などと非常に乱暴なアドバイスをする先生さえいます。

つまり、何をどのように聞けばよいかという学習法を具体的に教えてくれる先生はきわめて少ないということなんですね。でも、実はこれこそが最も大切なことなのです。
私は現在、大学および短大で英語の教鞭を執っていますが、TOEIC・TOEFLなどのリスニング対策を行うクラスでは、自宅課題として、学生に毎日必ず10分間のディクテーション(書き取り)練習をやらせています。たかが10分とおっしゃるかもしれませんが、10分間のディクテーションを毎日続けた学生のリスニングカは、約半年後、驚異的に向上しています。

本書の内容そのものは、私が常日頃、大学のクラスで使っている教材とは少し異なります。しかし、学生を相手に展開している私の音声指導および学生が日々取り組んでいるディクテーション課題のやり方については、できるだけ忠実に再現し、皆さん自身が自宅で同様のリスニング訓練を行うことができるように工夫しました。
ぜひ、ディクテーションの練習を皆さんの英語学習に積極的に取り入れ、飛躍的なリスニングカアップを実現してください。皆さんの英語学習の成功を心よりお祈りいたします。

宮野智晴

宮野 智靖 (著)
出版社: Jリサーチ出版; 改訂版 (2017/4/24)、出典:出版社HP

目次

CONTENTS

★はじめに
★なぜディクテーションなのか?
★本書の利用法
★ディクテーション練習法

STEP1 ▶︎ 基本音声ドリル
Unit 1 母音を聞き取ろう① (短母音)
Unit 2 母音を聞き取ろう② (長母音)
Unit 3 母音を聞き取ろう③ (二重母音)
Unit 4 子音を聞き取ろう① (破裂音)
Unit 5 子音を聞き取ろう② (摩擦音)
Unit 6 子音を聞き取ろう③ (破擦音・鼻音・流音)
Unit 7 子音を聞き取ろう④ (子音連鎖)
Unit 8 脱落音に慣れよう
Unit 9 連結音に慣れよう
Unit 10 同化音に慣れよう
Unit 11 短縮形に慣れよう
Unit 12 数字を聞き取ろう
Unit 13 カタカナ英語を聞き取ろう

STEP 2 ▶︎ 日常会話を聞き取ろう
Unit 14 あいさつ
Unit 15 親子の会話
Unit 16 友達同士の会話
Unit 17 会社での会話
Unit 18 キャンパスでの会話
Unit 19 見知らぬ人との会話
Unit 20 電話での会話
Unit 21 外食・買い物中の会話
Unit 22 病院・薬局での会話.
Unit 23空港・機内での会話

STEP 3 ▶︎ 長文リスニングに挑戦!
Unit 24 公共・広告アナウンス
Unit 25 ビジネススピーチ
Unit 26 ニュース
Unit 27 空港・機内アナウンス
Unit 20 電話メッセージ
Unit 27 感動の受賞スピーチ
Unit 30 なぞなぞ

宮野 智靖 (著)
出版社: Jリサーチ出版; 改訂版 (2017/4/24)、出典:出版社HP

STEP 4 ▶︎ リスニング&ディクテーション修了試験

なぜ“ディクテーション”なのか?
ディクテーションの驚くべき3つの学習効果

「ディクテーション(書き取り)なんて、古くさい学習法だなあ」とか「まあ英語なんてそこまで正確に聞く必要はないよ。アバウトに聞いて何となく意味が分かればいいんじゃないの?」とか「ディクテーションの練習は時間がかかるだけで、それほど効果はないんじゃないの?」などと言う英語学習者は多いようです。しかし、ディクテーションにまつわるこれらのコメントは、まったくの誤解であり、実際にディクテーションをやったことがない人たち、その効果を体験したことのない人たちの勝手な思い込みや言い分です。

実は、ディクテーション学習は、きわめて科学的なものであり、多くの驚くべき効果をもたらしてくれるものなのです。
では、どういう効果があるのか、以下に説明していきましょう。

学習効果① 文字と音が一致するようになる!

例えば、ovenという単語を聞いて意味を認識できない人がいるとします。日頃からovenは日本語と同じ「オーブン」という発音だと思っている人にとっては、「アヴン」と発音されると、たちまち頭の中は「?」マークでいっぱいになってしまいます。

また、hot day(暑い日)の発音は絶対に「ホット・デイ」だと信じ切っている人にとっては、ネイティブスピーカーがナチュラルに「ハッ・デイ」と発音した場合、頭の中は「?」マークで埋め尽くされてしまいます。

そこで、ディクテーション練習をするとどうなるかと言いますと、自分自身で自分の聞けない部分(弱点)が分かるようになり、文字で見ると簡単な単語やセンテンスも、耳から聞いた場合にはこんなに違って聞こえるのか、といったいろいろな発見をすることができます。ディクテーションは、聞き取った音を一語一句漏らさずすべてを書き取る練習なので、自分にとって「聞き取りにくい音」が何であるかが明確になるわけです。単なる聞きっぱなしのリスニング練習ではないということですね。

こうしていったん文字と音が頭の中で整理され、一致すると、次に同じ音が聞こえてきたとき、それが何であるかが面白いほど分かるようになります。これは、もちろんディクテーションを実践した人だけが味わえる醍醐味です。
それだけではありません。自分自身で文字と音を比較することにより、自然と英語特有の発音、リズム、抑揚、単語間の音声変化なども身につくようになります。ディクテーション学習を実践する人は、リスニング力の向上だけでなく、発音の上達も見込めるのです。

学習効果② 総合的な英語力を磨ける!

ディクテーションの練習を行えば、英語を聞き取る力だけでなく、語彙力や文法力、さらには文脈をとらえる力をも鍛えられます。
聞こえてきた語がよく分からないときに、すぐに解答やスクリプトを見る癖のある人は、英語力がなかなか思ったように伸びないタイプの人です。皆さんは、そのようなタイプの学習者になってはいけませんよ。1回目に聞いて分からなくても、2回、3回、4回、5回と繰り返し聞いていけば、ハッと分かる瞬間があるのです。さらに、「今聞こえてきた語はもしかしてこれかな?」と辞書を引きながら、解答を見つけ出す作業も非常に大切です。その過程で、皆さんの語彙力やスペリングの力もうんとアップします。

また、ディクテーションをしながら、実は自然な思考の流れとして「この語の後にはおそらく過去形が来るのではないだろうか」「ここは主語が三人称の単数だから、動詞には三単現のSがつくはずだな」「この語の直前にすでに述語動詞があるってことは、この語は動詞ではなく、名詞で使われているわけか」などと、文法的に正しい英文とはどのようなものかを考える緑もつくようになります。

ディクテーションの教材には、ニュースやアナウンス、映画の1シーンなど、ありとあらゆるものが使えますが、それらの共通点はそれぞれに状況的文脈があるということです。TOEICのPart1のような短文のディクテーション練習においてさえも、その英文内の語をヒントに文脈把握を行うことは可能です。文脈をとらえながら英文を聞くリスニング訓練は、同時にリーディング訓練にもなっており、最終的に、リスニングだけでなく、リーディングにおいても、その人の英文理解のスピード、処理スピードはすさまじく向上します。
このように、ディクテーションは「総合的な英語力」を磨くのに最適な学習法だと言えます。

宮野 智靖 (著)
出版社: Jリサーチ出版; 改訂版 (2017/4/24)、出典:出版社HP