社会人にも、やり直しにも最適!
本書は、ただ中学英語を学習するのではなく、英語の勉強方法を見直して新しい英語への向き合い方を紹介し、勉強する本です。イラストが用いられていて、ページも少ないので飽きずに進めることができます。暗記や詰め込みがあっていないと感じる人におすすめの教材です。
はじめに
「ネイティブのキモチ」「英語の核心」を解説します
この本は中学英語を「ただやさしく語る」本ではありません。 今まで何十年と日本人が正しいと思い込んできた「英語の土台」そのものにメスを入れることで、「本当の英語」を解説する本です。 「ネイティブが言うから」「決まりだから」「それは例外」……。 丸暗記を強要されてきた文法事項をキレイにそぎ落とし、「英語の核心」を解説していきます。 英語そのものの分析はもちろん、英語の文化背景・英語の歴史・日本語との比較・文法用語の意味・外国語の影響……。 今までにない「大きな視点」で、あらゆる角度から英語の本質を追究していきます。
この本の特長は次の3つです。
1 丸暗記を排除!
ただやみくもに暗記していく従来の英語とはまったく違います。丸暗記 のいらない「考える」英語は、鮮明に頭に焼きつき、英語ネイティブの キモチが理解できるようになります。
2 学生のころの「疑問」にすべて答えます!
「なんで」は常に大文字?」「なんで3単現のsが必要なの?」「(study → studiesのように)yがになる理由」など、学生のころに感じた、でも 「覚えなさい」と言われてしまった疑問にお答えします。
3 上級者でも知らない内容がめじろ押し!
今まで誰も聞いたことのない「英語の核心」を解説します。たとえば as ~ as は「同じ」という意味ではありません。また日常会話でよくは われる「命令文の意外な正体」など、実生活でもよく使われるのに、まで語られなかった「ネイティブの本当のキモチ」を解説します。どん な上級者や英語教師の方にも「なるほど」と思っていただけることをたくさんお話しいたします。
25年以上の講師人生で、研究に研究を重ね、何度も「授業」という舞台で解説を洗練させてきた「新しい英語の考え方」を紹介します。 さあ、始めましょう!
2020年1月
関 正生
本書の構成
この本は、中学レベルの英語を文法項目別に学んでいけるよう、構成して います。各テーマではそれぞれ、「例文」を示し、「従来の説明」ではどう 教わっていたか、この本で学ぶ「英語の核心」はどこにあるかを示し、文 法事項を説明していきます。
※なお、本書は中学の英語の授業で習う範囲を網羅的に取り扱ったものではあり ません。その代わり、今までにない視点で、英語の基礎を解説しています。
1 例文
→各テーマの冒頭には「偉人の名言」「有名な物語の一節」を例文として 使いました。中学文法だけでは完全に理解しきれない部分もありますが、それでも「今、学んでいる英文法はこのように活きている」という、 気づき、1つの目標になると思います。
2 従来の説明
→このページで扱うテーマについて、今までずっと教えられてきた「典型 的な説明」を書きました。「あ~、こういうふうに教わったなあ」という 確認程度に利用してください。
3 英語の核心
→「従来の説明」とは一線を画す、この本でボクが一番強調したい「英語 の考え方」です。今まで聞いたことのない内容がたくさんあると思います が、解説を最後まで読んでいただければ「従来の説明」では何がいけないのかに気づき、「丸暗記のいらない英語」がマスターできるはずです。
4 ここがポイント!
→「英語の核心」を端的にまとめたものです。
Contents
●はじめに
●本書の構成
●プロローグ 英語に丸暗記は必要ない!
~自分の「記憶力や根気」を責める前に~
①名詞・冠詞・代名詞
ネイティブの「感性」が一番よく表れる分野
1 名詞 「数えられる」名詞の考え方(単数形)
「古池や蛙飛び込む水の音」――カエルは何匹?
2 名詞 「数えられる」名詞の考え方 (複数形)
複数形には原則sをつける
3 名詞 「数えられない」名詞の考え方
なぜ workやbreadは数えられないの?
4 名詞 可算名詞なのに「aがつかない」場合
I go to school.の“school”には、なぜ a がつかないの?
5 名詞 「aがつく」ことでイメージをハッキリさせる
キング牧師の「夢」がハッキリ浮かぶ?
6 冠詞 theの使い方
みんなで指させればtheを使う
7 名詞と冠詞 “複数形”と“the+複数形”の違い
「総称」と「特定集団」
8 代名詞 代名詞の基本
Iが大文字になる理由・youを単数にも複数にも使う理由
9 代名詞 youの意外な使い方
日本人の99%が知らない「超重要なyouの使い方」!
10 代名詞 itの特別用法
なぜ「天気と時間」の主語にitを使うの?
②前置詞
前置詞がわかると英語の世界がVividに変わる!
11 前置詞 前置詞は核心イメージでとらえる
日本人が前置詞を苦手とする理由
12 前置詞 atは一点を表す
なぜ「夜に」はat nightなの?
13 前置詞forは方向性を表す
電車で「東京行」が“For Tokyo”になる理由
14 前置詞 fromは起点、toは方向・到達を表す
起点から「分離」の意味が生まれる
15 前置詞 onは接触、ofは分離と所有、inは包囲
ネイティブの感覚がわからないと誤訳する前置詞
16 前置詞 withは付帯と相手、byは近接を表す
withは本来“vs.”の意味!
③動詞
動詞は英文の核を作る
17 動詞be動詞の基本
主語によって動詞が変化する
Column 会話で短縮されたbe動詞
18 動詞 be 動詞の「否定文と疑問文」
「別格扱い」のbe動詞
19 動詞 be動詞以外の動詞――一般動詞
「3単現のs」はこうすればカンタン!
Column なぜ「3単現のs」が必要なの?
20 動詞 一般動詞の「否定文」
否定文では「隠れているdo・does」が現れる
21 動詞一般動詞の「疑問文」
「語順を変えて」疑問文を作る
④時制 時制しだいで意味がガラッと変わる!
22 時制 be動詞の過去形
過去の文にするには「動詞を過去形」にする
23 時制 一般動詞の過去形(規則変化・不競馴変化)
4千年前は不規則変化しかなかった!?
Column 知っておきたいスペルのシンプルな法則
24 時制 一般動詞の過去形(否定文・疑問文)
過去形は「隠れているdid」を使う
25 時制 進行形の基本
-ingの作り方はとってもシンプル!
26 時制 進行形にできる動詞・できない動詞
「中断・再開」が不可能な動詞は進行形にできない
Column 「現在形」は現在のことには使わない!?
⑤助動詞 助動詞を使えば微妙なニュアンスを表現できる!
27 助動詞 can は「いつでも起こる」
助動詞は be 動詞よりも格上!
Column 助動詞には「予想(推量)」の意味が含まれる
28 助動詞 willは「100%必ず〜する」
willは「~でしょう」じゃない!?
29 助動詞のmayは「可能性・予想50%」
日本語の「かも」とmayの違い
30 助動詞 must は「プレッシャー」
「そう考えざるをえない」から「~にちがいない」が生まれた
31 助動詞 shall / should / had betterの誤解
「意志」「当然」「脅迫」のイメージが強い助動詞たち
⑥命令文/There is ~構文
よく使われるのにくわしく教えられなかった超重要分野!
32 命令文 命令文は「動詞の原形」で始める。
なぜ動詞の原形を使うの?
33 命令文 命令文は「そうすべき」を表す
日常会話で多用される「優しい命令」
34 There is構文 “There is ~”で新情報を提供する
だからa・someが後ろにくる
⑦比較
比べるのに使うas ~ as、比較級、最上級
35 比較 as 〜asの意味
as ~ asは「同じ」じゃない!?
36 比較級 「より~だ」という言い方
比較級を作るときに迷ったら
37 最上級 「一番~だ」という言い方
「the がつく理由」「ofとinの使い分け」
⑧不定詞・動名詞・分詞
動詞が「ほかの品詞」に変わったもの
38 不定詞 不定詞の「名詞的用法」
「to+動詞の原形」が名詞の働きをする
39 不定詞 不定詞の「形容詞的用法」
後ろから名詞を修飾する。訳は「ゆる~く!」
40 不定詞 不定詞の「副詞的用法」
後ろから動詞などを修飾する
41 不定詞 不定詞は「未来志向」
「to不定詞」と「前置詞to」の意外な共通点
42 動名詞 動名詞は、あくまでも「名詞」
「動詞と名詞が半々」なんて覚えていない!?
43 不定詞と動名詞 不定詞は「未来志向」、動名詞は「反復・中断」
「未来志向」はto、「反復・中断」は-ingをとる
44 分詞分詞の「形容詞的用法」(現在分詞)
-ingが「形容詞か」「名詞か」で判別する!
45 分詞分詞 「形容詞的用法」(過去分詞)
過去分詞は動詞の3番目の変化形
●補足資料 不規則動詞の変化表
●おわりに
● 参考文献
イラスト/ツダタバサ本文デザイン/相京厚史(next door design)
校正 (株)エディット編集協力/水島 郁
撮影/松谷靖之ヘアメイク/弾塚凌
プロローグ 英語に丸暗記は必要ない!
~自分の「記憶力や根気」を責める前に~
「やさしく暗記させる」今の英語教育
今の英語教育の一番の問題は、大前提にしている「英語の基本」がすでにズレているということです。 たとえば、onは「上」、by は「~によって」、will は「~でしょう」と教える。youは「あなた」しか教えない。命令文はすべて「命令調」だと教える……。
残念ながら、以上のような今まで当たり前のように習ったことすべてが、 本質からズレているんです。「やさしくかみ砕いて説明する」ことにカが注がれるものの、結局は昔からの「ルールと例外」を「やさしく暗記させる」のが現状なんです。
基本がズレていると、後で必ず歪みが出てきます。 その歪みを「ネイティブが言うから」という理由で全部丸暗記させられてきたのです。
でも、丸暗記は時間が経てば丸ごと忘れます。 それを何度か繰り返しているうちに、今度は自分の記憶力を責めたり、挙句は「自分に英語は無理なんじゃないか……」と思い始めたりしてしまうんです。
たとえるなら、花を咲かせたいのに、種を蒔く場所が間違ってるんです。 日が当たらない害虫ばかりの場所なのに、水をやる回数を増やしたり、消毒薬を変えてみたり、かわいい花壇を作ったり……。
そうではなくて、植える場所そのものが違うんです。 場所を変えましょう。土を変えましょう。
ボクは今まで誰も教えなかった「日の当たる場所」を紹介します。 きちんとした「土台」、つまり「英語の核になる部分」を解説します。
onは「くっついている」(73ページ)、by は「近くに」(83ページ)、will は「100%必ず ~する」(151ページ)、youは「あなたも私もみんな」(51ページ)、命令文は「優しい命令すがく使われる」(177ページ)・・・・すべてくわしく解説します。
「強み」を生かして英語を学ぶ
英語を勉強したいと思っているみなさんは、あくまで「英語が苦手」なのであって、「日本語が苦手」なのではありませんよね。
今までの英語の本では、まるで子どもを相手にするかのように「やさしい言葉」で説明してきました。でもこれでは「日本語力」という大人の最大の武器を自ら放棄することになってしまいます。
逆に、子どもの強みは「膨大な時間・ミスしてもヘコまない、未知のものへの好奇心」です。
この3つで子どもと張り合える大人はいないでしょう。
子どもにはない強みが「日本語力」なんです。
たとえば歯医者での説明を思い浮かべてください。 子どもが相手なら「ジーンとする」「バイキンが暴れだす」みたいな説明でいいでしょうが、大人相手には「麻酔」「副作用」という言葉を使ったほうが理解が早く、何よりも「正確」なわけです。
というより、正確に理解をするために、そういった用語が存在しているわけです。
この本は表面上の「やさしさ」を競うのではなく、「本当の英語」を理解することを目指します。そのためには「大人の最大にして最強の武器」で ある「日本語力」をフルに使う必要があるんです。
といっても、特別難しい言葉を使うわけじゃありません。普通の日本語です。中学生にもわかります。ただ今までの英語入門書と比べたら、やさしい言葉は使ってない、というだけです。
「例外」は壁にブチ当たったときに覚える
中学英語で挫折する原因の1つは、最初から細かいルールを覚えようとすることです。
従来の本は、とにかく細かい例外までのせてあります。 たとえば「不規則な複数形」として、「mouse(ネズミ)の複数形は mice です」とあったりします。
でもmiceなんて単語、どこで使うんでしょう?
この1週間、みなさんの会話(日本語)で「ネズミ」って単語、たぶん出てきてないと思います。
スマホやパソコンで「ね」と打ち、予測変換で「ネズミ」が最初に出てくることはないと日 ます。ボクの場合、最初が「寝る」で、「ネズミ」は67番目でした。こんなもんですよね
実はネイティブだって、子どものうちは mouses と言い間違えます。 「英語は難しいから心してかかれよ」と教師が脅かしたいだけの例外につ きあう必要はありません。
「例外」は壁にブチ当たったときに覚えるのが一番効果的です。 まずは基本だけに集中すると、今までとは比べものにならないくらいスム ーズに勉強が進むはずです。
スペルにとらわれすぎない
「細かいことにとらわれる」といえば、単語のスペルがあります。 なぜか中1のとき、Wednesday や Februaryを書く練習ばかりさせられま せんでしたか?
スペルを正確に書くためには、膨大な時間がかかります。 もちろんミスがないほうがいいわけですが、パソコンならスペルチェック機能を使えば一瞬です。 パソコンの普及で、現代は昔ほどスペルにこだわる必要がなくなりました。
つまり、単語テストがある中学生なら別ですが、社会人が、しかもパソコ ンで英語を書く機会が増えた現代において、あまりスペルにムキになる必要はないんです。
「スペルの呪縛」から抜けるだけで、驚くほど勉強がスムーズに進むはず ですよ。
「丸暗記のない英語」とは?
この本を手にしたみなさんは「もう1度英語にチャレンジ」と思ったはずです。でも、何も昔挫折したのと同じやり方(丸暗記主義)でリトライす る必要はありません!
確かに、語学に「暗記」は必要です。でも「ネイティブが言うから」という理由だけで英語のルールや決まり文句を、理由も考えず「丸暗記」する 必要はありません。
では「丸暗記のない英語」とは、どういうものなのでしょうか?
ボクの言う「丸暗記のない英語」とは、つまり「きちんと理由を考える英語」のことです。「きちんと理由を考える英語」は、記憶の定着度がまっ たく違います。
ただやみくもに呪文のように唱えるのではなく、理由を考えながら学ぶことで、すべての単語ひとつひとつに意味がある、場合によってはスペルの 1文字ずつにも意味があるということさえ実感でき、しっかりと記憶に残るはずです。
また、「丸暗記のない英語」では、機械的なやりとりを超えた、本当のコミュニケーションができるようになります。 英会話フレーズ集を片手に海外旅行をしたことのある方ならわかるでしょうが、空港・レストラン・ホテルなどでは、フレーズ集のままでも通じます。
でも、そこからちょっと深い話になったり、脱線したり、「ジョーク」が出た瞬間、「相手の発言」も「みなさんの言いたいこと」も、フレーズ集には一切見当たらなくなるはずです。
英語を勉強するみなさんの「最終目標」は、決して「決まり文句のやりとり」ではないと思います。 会話のフレーズ・決まり文句を丸暗記した英語は、セリフを棒読みするの と同じです。 一字一句丸暗記したスピーチは、誰も聞いてくれませんし、ましてや人の 心をつかむことなど絶対にできません。
みなさんの最終目標は「英語を使って、相手のキモチを理解すること・自分のキモチを伝えること」だと思います。 ひとつひとつ英語の理由・文化背景を知っていくことで、本当の意味での 異文化理解・国際理解が可能になるんです!
では、新しい「英語の授業」を始めていきましょう!