内容は中学+αの難易度
完全三部作のなかで、前作よりも扱いが難しいかたちになっております。内容的にも中学レベルに加え、高校レベルを含めた大学受験までに使えそうなレベルとなっております。3部作の基礎からやっている方はかならず最初の2つをやってからの流れをお勧めします。
新装版 英文法のトリセツ 中学レベル完結編
ホントの英語勝ち組って?
家庭教師、塾講師、英会話学校…….、ありがたいことに、これまでにいろいろなところで、さまざまな生徒に英語を教える経験を積ませてもらってきたボクですが、英語の得意・苦手に関わらず、ボクが受けもった生徒が共通して口にするのが次のようなコメント。
「自分より英語でいい点をとってる人でも、みんな英作文はサッパリ。だけど、自分は英作文はバッチリ♪」
そうなんです。
今も昔もボクの教え方と言えば、「間違い探し」と「英作文」中心。穴埋め問題や選択問題なんかは、「何となく」できてしまうこともあります。でも、あやふやな知識で、間違い探しや英作文に答えるのはムリ。そんなわけで、ボクはいつも間違い探しや英作文がきちんと解けるような英語力を身につけてもらうことを目標に教えているんだけど、その甲斐あって、ボクが教える生徒はみんな基礎的な英作文の成績はバッチリなんです。
英語は結局、コミュニケーションの道具なんだから、実際に自分で使えてナンボ。いくら難しい問題が解けても、難しい英文が読めても、それだけじゃ不十分! ……とか言っても、中にはやっぱり、ボクたち日本人にしてみれば、自分で積極的に使うというよりは、読んで理解できればそれで十分という難しい英語の知識もあるわけです。それが困ったことに試験ではよく出てきたり。
生徒には、ちゃんと英語を使えるようになってほしいんだけど、中学生や高校生、特に受験生にとっては、試験の点数こそが最も切実な問題でもあるわけで……。そういう意 味では穴埋め問題や選択問題、あるいは和訳問題などを効率的にこなすテクニック的な部分もやっぱり必要。
果たして、ホントの「英語勝ち組」って何?
そんなことを思いながらも時は流れて……、この度、『英文法のトリセツ』シリーズの最新刊を刊行できることになりました。おかげさまで、ついに第3弾!
本書は、比較、間接疑問、関係詞といった中3レベルの内容に加えて、なんと全体の半分以上は高校(大学受験)レベルの内容です。試験用に知っていれば十分、読んで理解できれば十分という難しい知識。……でも、やっぱり、自分で使いこなせるくらいに、英語がわかるようになる本」という「トリセツの魂」は本書でも貫くようにしました!
★特長1:(できるだけ)日本語と英語との比較をベースに解説!
「普段、日本語を使っている日本人だからこそ納得できる」解説です。
★特長2:だれにでもわかるような言葉にかみ砕いて解説!
実際の授業と同じ感覚(口語調・対話調)で読んでもらうことを心掛け、難しい文法用語や言い回しはなるべく使っていません!
さらに! 今回はいつになく穴埋めや書き換え問題の対策、読解や和訳のテクニックといった試験対策の部分にも力を入れました。そういう切羽詰まった事情がある人が大勢いることも、こっちは百も承知ですから。
内容面では、中学レベルからスタートして、自然な流れで大学受験レベルの高度な知識までばっちりフォロー。その分、文法用語も今までよりちょっぴり奮発しちゃったんだけど……、でも無意味に使いまくらず、徐々になじんでいけるようにと配慮したつもりです。
つまり、
★特長3:現役の学生は試験でしっかり点数がとれる!
新装版 英文法のトリセツ 中学レベル完結編
★特長4:かつて英語で苦労した人は、「?」だったところがついにわかる!
★特長5:しかも必要な部分は自分できちんと使いこなせる!
という特長もあるってこと。本書を読み終えたみなさんが、本当の英語勝ち組の笑顔を見せてくれる日をボクは心待ちにしています。
阿川イチロヲ
CONTENTS
ホントの「英語勝ち組」って?
STEP 0 トリセツを読むその前に(いわゆる「課外授業」)
★ 新しい内容に入る前に
★ 課外授業その1 ― 品詞とは何ぞや?
★ 課外授業その2 — 英語と日本語の根本的な違い
★ 課外授業その3 ― 動詞と英語の文のカタチの関係(基本編)
★ 課外授業その4 — 動詞と英語の文のカタチの関係(発展編)
★ 課外授業その5 — 名詞
★ 課外授業その6 — 形容詞
★ 課外授業その7 副詞
★ 課外授業その8 — 接続詞
ここでは「課外授業」と称して、本書を気持ちよく読み進む上では欠かせない英文のつくりと、基本的な品詞の知識を総おさらい。特に接続詞の知識はここから先の内容を理解する上でとても重要です。
STEP 1 比べてみよう「比較表現」
★ 「もっと強い」とか言ってみる
★ 「最も強い」とか言ってみる
★ 比べる表現の注意事項 その1(不規則変化)
★ 比べる表現の注意事項 その2 (more と most)
★ 「同じくらい強い」とか言ってみる
★ いわゆる「ラテン比較級」
「ふくしゅう」舞踏会―1曲目
「比較級」に「最上級」、そして「原級比較」、英語には何やら難しい呼び名のいろいろな比較表現がありますが、その根底にある深層心理みたいなものは実は似たり寄ったり?
STEP 2 疑問詞の使い方……..その1いわゆる普通の疑問文
★ 疑問詞のおさらい
★ 疑問詞の真実 その1(名詞?)
★ 疑問詞の真実 その2(形容詞??)
★ 疑問詞の真実 その3(副詞???)
「ふくしゅう」舞踏会—2曲目
トリセツ読者にはすでにおなじみ(?)の「疑問詞」ですが、その正体は英文法の世界の中でも最強クラスの大ボスだったりします。ここでは疑問詞のおさらいをしつつ、その驚くべき秘密を大公開。
STEP 3 疑問詞の使い方……その2いわゆる「間接疑問文」
★ いわゆる「間接疑問文」
★ 名詞1個分の働きをする<疑問詞 S+V>
★ 「間接疑問文」をつくってみる。
★ when に要注意!
★ 〈疑問詞 S+V》を使うときの注意点
★ 〈疑問詞+ to 不定詞》というカタチ
★ 〈疑問詞 S+V》のカタチと、対応する日本語
「ふくしゅう」舞踏会—3曲目
恐怖の疑問詞シリーズの第2弾は、いわゆる「間接疑問文」。名前は「?」な感じかもしれないけど、前ステップの「疑問詞のおさらい」からの流れであれば、「意外と簡単!」に攻略できるはず。
STEP 4 疑問詞の使い方……その3いわゆる「関係詞」(お手軽変換編)
★ いきなり「関係(代名)詞」を使ってみる!
★ 先行詞にご用心!
★ 関係詞を使う感覚
★ 関係詞を使う「文」
「ふくしゅう」舞踏会—4曲目
恐怖の疑問詞シリーズ第3弾は、あの「関係詞」。でも、ココでは難しい理屈は一切抜きにして、関係詞をお手軽に使いこなすための感覚をまずは徹底的に身につけてもらいます。あまりの簡単さにビックリ?
STEP 5 疑問詞の使い方……その3いわゆる「関係詞」(使い分け編)
★ which それともwhere?
★ 日本語と英語のズレと関係詞の本質
★ 前置詞と関係詞
★ 関係副詞 その1(where)
★ 関係副詞 その2(when)
★ 関係代名詞(?)のwhose
★ 「言い換え可能」な関係詞と「省略可能」な関係詞
「ふくしゅう」舞踏会 5曲目
ココからは「関係詞の本質」にガンガン踏み込んでいってもらいます。苦手な人が多い〈前置詞 + whom/which〉や whoseの使い分けなんかも、「関係詞の本質」さえつかんでしまえば、きっと楽勝。
新装版 英文法のトリセツ 中学レベル完結編
STEP 6 疑問詞の使い方……その3いわゆる「関係詞」(発展編)
★ いわゆる「制限用法」と「非制限用法」
★ 関係詞の効率的な読み方・訳し方(基本編)
★ 関係詞の効率的な読み方・訳し方(発展編)
★ すべては関係詞表現である?
★ 「何だコレ?」な関係詞表現(those who/which)
★ 「何だコレ?」な関係詞表現(先行詞とはなればなれ)
★ 「何だコレ?」な関係詞表現(補語タイプ)
★ ホントに関係詞?(why)
★ ホントに関係詞?(what と how) 「ふくしゅう」舞踏会-6曲目
実に3つもの STEP にわたる関係詞シリーズのクライマックス。ココでは日本語の発想からはかけ離れたハイレベルな関係詞表現を一気に攻略してもらいます。関係詞にばっちり開眼しちゃってください。
STEP 7副詞で名詞で形容詞。≪従属接続詞 S+V≫…..その1
★ まだまだ従属接続詞。
★ いわゆる「副詞節」をつくる従属接続詞
★ いわゆる「名詞節」をつくる whether/if
★ 未来だけど未来じゃない!
★ 気づけば従属接続詞?(ほか)
「ふくしゅう」舞踏会―7曲目
本書の裏テーマは「従属接続詞」。なんて言われても「?」な人もいるかもしれないけど、試験などではとってもよく出るところなので、ぜひご一読を。
STEP 8 副詞で名詞で形容詞。≪従属接続詞 S+V≫ ……その2
★ おまけ付き副詞節
★ that の試練 その1(so … that S+V)
★ that の試練 その2 (so that S+V)
★ that の試練 その3(同格の that)
★ 疑問詞に ever がくっついたカタチ
★ 接続副詞(however ほか)
「ふくしゅう」舞踏会8曲目
従属接続詞にはいろいろあるけど、その中でも最も多様な使い方をするのが that。というわけで「that の試練」さえ乗り越えれば、従属接続詞は極めたも当然?
STEP 9 asのいろいろ
★ as は何でもアリ?
★ 前置詞的な as
★ 比べて「同じくらい」と言う場合の as
★ 関係詞の as?
★ 接続詞としての as
★ 従属接続詞の as の発展表現
★as と it のハーモニー
★ 直前の名詞を詳しく説明する のカタチ
ふくしゅう」舞踏会―ラストソング
「比較」に「関係詞」、「従属接続詞」など、本書に登場したさまざまな知識とリンクするasこそ、このトリセツのトリにふさわしい! ……と、読めばきっと納得してもらえるはず。
文法事項の索引
要注意英語表現の索引
あとがき
STEP0 トリセツを読む前に(いわゆる「課外授業」)
●新しい内容に入る前に
本書を手にとっていただいたみなさま、まずはありがとうございます!
『英文法のトリセツ』シリーズ第3弾となる本書では、「苦手!」という人が多く、一般的に「難しい!」と言われる比較、間接疑問、関係詞といった中3レベルの項目に加えて、高校レベルの従属接続詞(名詞節や副詞節)やasの使い方など、さまざまな発展知識を紹介していたいと思います。
そんな文法項目の名前を出されても、「?」という人がいるかもしれないけれど、大学受験やTOEIC、英検といった割とレベルが高めの各種試験でも即点数に結びつくような、はっきり言って、オイシイところ!
でも、最初に言っておきますが、こうした部分が「苦手!」だったり、「難しい!」と感じたりするのは、ココに至るまでの基礎の基礎の部分がしっかり理解できていないのが隠れた原因だったりすることも多いんです。逆に言うと、土台となる基礎知識さえカンペキなら、こうした部分も、意外と「楽勝!」で片づけられたり。
だから、このSTEP 0では、本編の内容をきちんと理解する上で避けては通れない基礎知識をみなさんにまずざっとおさらいしてもらおうと思います。名づけて、「トリセツ第3弾を快適に楽しむための課外授業」!
あくまでも、ココでやるのは今までのおさらいなんで、本シリーズの前2作、つまり、『じっくり基礎編』も『とことん攻略編』もきちんと読んでいて、
「今までの内容はもうバッチリ!」
という人は遠慮なくこちらへ飛んで、ガンガン本編を読み進んでいただいて結構。『攻略編』の出だしの部分と同じような話も多いんで。あっ、でも『課外授業 その7』以降には、新しい知識もあるので、その辺だけは一応、目を通してもらう方がいいかも。
「一応、前2作は読んだんだけど、あんまりよく覚えてないかも……」
という人は、流す程度でもかまわないんで、この「課外授業」のページにざっと目を通すようにしてください。きっと読むにつれて前2作を 読んだときの記憶が鮮明によみがえるはず。必要に応じて、前2作をパラパラ開くようにすると、さらに効果大。
「いや、前2作はまったく読まずに、とりあえずこの第3弾だけ買ったんだけど」
という人は……、この「課外授業」は、まさにそういう人のために実施しているようなものですから、イヤでもしっかり読むようにしてください。読んでるうちに、万が一、自分の基礎知識に自信がなくなったりしたら……..、本屋さんに走って、前2作を手にとってもらえれば、きっといい感じ。急がば回れってヤツです。
なお、仮にこのSTEP Oを読み飛ばしたり、その理解が不十分だったりしたらどうなるかというと……、
「●●って言われて、ピンとこない人はこちらを参照」
って感じで、強制的にこのSTEP 0に戻される仕組みになっているんです、実は。言ってみれば、このSTEP 0って、「英文法の流刑地」みたいな役割も果たしているってわけ。あとで島流しになったりしないように、この課外授業の内容をしっかり頭に入れた上で、本書を気持ちよ~くスイスイ読み進んでください。
トリセツ第3弾を快適に楽しむための課外授業 その1
品詞とは何ぞや?
言葉というものは、その特徴によってグループ分けされます。そして、特徴ごとに分けられた言葉のグループをまとめて「品詞」と呼びます。代表例は次の通り。
●動詞…….主に動きや動作を表す品詞(=言葉のグループ)
→walk(歩く)、eat(食べる)、listen(聴く)など
●名詞……ものの名前などを表す品詞
→teacher(先生)、mountain(山)、tennis(テニス)など
●形容詞……もの(名詞)の様子や状態を表す品詞
→big(大きい)、beautiful(きれいな)、nice(ステキな)など
●冠詞…….日本語にはない品詞(だから、日本語に訳さないことも多い)
→the (一応、「その…」という意味)、a(「ひとつの…」という意味)
「品詞」にはほかにも「副詞」とか「前置詞」とかいろいろあるんだけど、それについては必要に応じて、説明していくのでご心配なく。
なお、品詞のことを英語では parts of speech(言葉の部品)と呼びます。つまり、言葉をその特徴によって分けていくと、「品詞」という小さな部品に突き当たるイメージ。で、そういう小さな部品を組み合わせながら、大きな文をつくっていくわけだけど、好き勝手に部品を並べるだけじゃダメ。
きちんと自分の意図が相手に伝わる文をつくろうと思ったら、「この位置に入れていいのは、こういう品詞」とか、「この品詞はここに入れちゃダメ」とか、そういう言葉ごとの働きを考えながら、正しい組み立て方をしないといけないのです。そのための設計図に当たるのが「文法」だって思ってください。
トリセツ第3弾を快適に楽しむための課外授業 その2
英語と日本語の根本的な違い
英語の文には、必ず『主語』に当たる名詞と、『文の結論』を示すための動詞がひとつずつ入ります。ちなみに、「文の結論」とは「…する。」、「….(だ)。」のような、日本語だと、文の終わり(文末の「。」の前)に入る内容のこと。「英語では、文の結論を示すのに必ず動詞が必要」というのが日本語との大きな違い。
例えば、「日本人は米を食べる」みたいに、日本語の文の結論が、「食べる」のような動詞の場合には、英語の文も、
⇒ The Japanese eat rice.
のように、そのまま「食べる」って意味の一般動詞(eat)というものを使えばOK。でも、「その山々は美しい」みたいに、日本語の文の結論が、「美しい」のような動詞以外の言葉の場合には、英語の文には、
⇒ The mountains are beautiful.
のように、必ず be 動詞(ここではare)というものを入れて、「英語では、文の結論を示すのに必ず動詞が必要」というルールを守らないとダメ。
また、上の例文からもわかるように、英語では必ず〈主語+動詞(+その他の要素)〉という単語の順番(=語順)になるのも、英文法の大切なお約束。
トリセツ第3弾を快適に楽しむための課外授業その3
動詞と英語の文のカタチの関係 (基本編)
英語では、動詞から後ろにどんな言葉やカタチが続くかは、どんな動詞を使ったかによって決まります。
1一般動詞
eat(食べる)、speak(話す)のように、動作を表す言葉だけど、中でも、
The Japanese eat rice. (日本人は米を食べる。)
の eat(食べる)のように、後ろに「….をする」の「…を」に当たる名詞がひとつ続くタイプ(「他動詞」と呼ぶ)が最も標準的。
なお、動詞の後ろに前置詞ナシで入り、日本語にすると「…を」とか「…に」とかに当たる名詞(動作の対象に当たる言葉)のことを「目的語」と呼びます(例文ではriceが目的語)。
ただし! 中には、後ろに名詞を続けるには、必ず「前置詞」という接着剤に当たる語が必要な一般動詞(「自動詞」と呼ぶ)もあります。例えば、
Takako listens to rock music.(タカコはロックを聞く。)
のlisten(聞く)など。こういう一般動詞の後ろには、前置詞ナシで名詞を続けちゃダメ。また、たとえ「…を」とか「…に」とかいう意味になっても、前置詞の後ろに入る名詞は「目的語」とは呼ばないのが決まり(上の例の rock music は目的語と呼ばない)。
なお、eat のように、前置詞ナシで後ろに名詞を続けられる他動詞タイプ、listen のように後ろに名詞を続けるのに前置詞が必要な自動詞タイプのどちらも、さらに名詞を続けようと思ったら、接着剤に当たる前置詞という品詞が必要になります。次の通り。
⇒ The Japanese eat rice with chopsticks.
(日本人ははしで米を食べる。)
⇒ Takako listens to rock music in the house.
(タカコは家でロックを聞く。)
2 be 動詞
be 動詞は、「彼の姉さんは先生だ」とか「その山々は美しい」みたいに、文の結論が「先生」とか「美しい」とか、とにかく動詞じゃない ときに使います。
1. His sister is a teacher.(彼の姉さんは先生だ。)
2. The mountains are beautiful. (その山々は美しい。)
のように、be 動詞を使った文では、文の結論に当たる語が be 動詞の後ろ(右側)に入るカタチになるのが特徴。
ちなみに、be 動詞の後ろに文の結論として入る言葉のことを「補語」と呼びます。補語の役割ができる品詞は、名詞や形容詞、〈前置詞+ 名詞〉、副詞など、かなり豊富。「補語」は、前にある名詞を詳しく説明する(補って説明する)働きの言葉のことですが、be 動詞を使う文の場合、補語は「主語の様子を説明する役割」だと考えればOK。また、
1. His sister(彼の姉さん) = a teacher(先生)
2. The mountains(その山々) = beautiful (美しい)
のように、be 動詞を挟んだ左側(主語)と右側(補語)がイコールの関係になるのも補語の特徴のひとつです。
なお、be 動詞を使う文についても、
⇒ The mountains are beautiful in winter.
(その山々は冬に美しい。)
のように、補語に当たる語よりも後ろに、さらに名詞を続けようと思ったら、接着剤に当たる前置詞が必要になります。
3 be 動詞タイプの一般動詞 中には、be 動詞と同様、後ろに補語を続けられる特殊な一般動詞もあります。例えば、
1. They got angry.(彼らは怒った(状態になった)。)
2. He looks young. (彼は若く見える。)
の get や look など。どちらも be 動詞ではない(つまり、一般動詞)にもかかわらず、
1. They(彼ら) = angry(怒った状態)
2. He(彼) = young(若い)
のように、主語とイコールの関係になる言葉(=補語)が後ろに続いていますよね。後ろに補語を続けられる一般動詞は、「…になる」あるいは「….と感じる」のような意味を表すものが大半だけど、これらの場合、後ろに補語として続けられるのは「形容詞だけ」なのが普通。ただし、become、turn などは例外的に、
3. She became a dentist.(彼女は歯医者になった。)
のように後ろに名詞を補語として続けることもできます。
トリセツ第3弾を快適に楽しむための課外授業 その4
動詞と英語の文のカタチの関係(発展編)
さて、文法世界では、ここまでに登場した用語のうち、
「主語」をS
「一般動詞、または be 動詞」をV
「目的語」をO
「補語」をC
という具合に、日本語の代わりにアルファベットで簡略化して言い換えることがよくあります。例えば、
A. The Japanese eat rice.
S V O
B. Takako listens to rock music.
S V
C. His sister is a teacher.
S V C
D. They got angry.
S V C
という感じ。そして、このように、S(主語)、V(動詞)、O(目的語)、C(補語)を使って英語の文の最小単位の骨組みを表したものを、一般的に「文型」と呼ぶことになっています。どんな動詞を使うかで、
SVO⇒「SはOを…する」
SV⇒「Sは…する」
SVC⇒「SはCだ/SはCになる/SはCと感じる」
といった具合に、基本の骨組み(「文型」)が決まり、それに応じて、文の基本の意味も決まる感じです。
また、「文型」という枠組みで英語の文を考えるときには、主語(S)、動詞(V)、目的語(O)、補語(C)以外の要素は、すべて「オマケ」としてして無視してしまうっていうのもポイント (Bの to rock music という〈前置詞+名詞〉が無視されているのはそのため)。
さらに、ここまでに示したSV、SVO、SVCといった基本パターンが発展した「より高度なカタチ」があと2つあります。
1 SVOOタイプの一般動詞
一般動詞の中には、
1. I gave him (人) my book(もの).(ボクは彼に本をあげた。)
2. He teaches the girls (人) English(もの).
(彼はその女の子たちに英語を教えた。)
のように、直後に「人」を指す名詞をもってくる場合、前置詞ナシでさらにもうひとつ(「もの」を指す)名詞を続けられる特殊な動詞もあります。代表例は、
give(与える)、teach(教える)、tell(伝える)、show(見せる)、send(送る)
など。基本的に意味は「「人」に「もの」を…する」という感じ。このタイプの一般動詞は、数はそれほど多くないので、1個ずつ覚えていっても、十分に対応できるはず。
なお、たとえこのタイプの動詞を使うとしても、前置詞ナシで名詞を後ろに2つ続けることができるのは、あくまで、直後に「人」を指す名詞をもってきて、《動詞+「人」を指す名詞+「もの」を指す名詞》という語順にする場合のみ。直後に「もの」を指す名詞をもってくる場合には、
⇒ I gave my book(もの) to him (人).
⇒ He teaches English(もの) to the girls(人).
のように、前置詞を挟んで「人」を指す名詞を続けないとダメ。
ちなみに、《動詞+「人」を指す名詞+「もの」を指す名詞〉というカタチで「『人』に『もの』を…する」という意味を表す英文は、文型 で言うと、
I gave him my book.
S V O O
つまり、SVOOということになります。一方、意味は同じでも、直後に「もの」を指す名詞をもってきたカタチはSVOということになるので注意。
I gave my book(もの) to him (人).
S V O
2.SVOCタイプの一般動詞 一般動詞の中には、
He made the room clean.(彼は部屋をキレイにした。)
S V O C
のように、目的語(O)の後ろに、目的語(O)の説明に当たる語(補語(C))を続けることができる特殊な動詞もあります。文型で言うと、SVOCというカタチですが、このカタチ(文型)がアリな動詞の代表例は、
make, keep, call, drive, name, paint, leave
など。SVOCというカタチの文は、日本語にすると、だいたい「OをCにする」という感じになります。例えば、
● ⇒「OをCにする」
例:He made the room clean. (彼は部屋をキレイにした。)
● ⇒ 「OをCに保つ、しておく」
例:1 kept my project secret.(ボクは自分の計画を秘密にしておいた。)
● ⇒「OをCと呼ぶ」
例:We call that book the Bible.(私たちはその本を聖書と呼ぶ。)
といった具合。なお、このカタチの英文の補語(C)は「前の名詞(目的語)の様子・状態についての補足説明に当たる役割」で、目的語と補語の間では必ず「O=C」の関係が成り立つのが目印。先の例でも、
「その部屋=きれいな状態)」
「ボクの計画=秘密(の状態)」
「その本=聖書」
であることがわかるはず。日本人には少しわかりにくいカタチだけど、このカタチがアリな動詞はSVOOタイプより輪をかけて数が少ないのでご安心を。
また、後ろに「OC」という1セットを続けることができる動詞は、call、make、name など一握りの例外を除いて、Cの位置に形容詞(だけ)しか入れることができないものが大半ですので、こちらも目印としてどうぞ。
トリセツ第3弾を快適に楽しむための課外授業 その5
名詞
ここまでの内容からわかるように、英語の文の中で「名詞」は、以下のいずれかとして使うのが基本です。
1 主語 (「…は」に当たる要素)として
例:Joe is nice. (ジョーはいいヤツだ。)
2 目的語(「…を」に当たる要素)として
例:I saw Joe.(ボクはジョーを見た。)
3補語(主語の様子を説明し、主語とイコールに近い関係の要素)として
例:He is Joe. (彼がジョーだ。)
さらに、「主語でも目的語でも補語でもないけど、もっと文に名詞を入れたい!」という場合は、名詞の前に前置詞という接着剤に当たる品詞を置いて、〈前置詞+名詞〉というカタチにすれば、名詞を文にくっつけることが可能。
4 前置詞(atin、on、to、with など)の後ろに続く要素として
例:She played tennis with Joe. (彼女はジョーとテニスをした。)
以上より、英文の中で「名詞が入る位置」というのは、動詞の前(主語の位置)か動詞の後ろ(目的語、または補語の位置)、または前置詞の後ろということになります(ホントはもうひとつ裏技があるんだけど、それについてはこちらで)。
なお、前置詞はあくまで、文に名詞をくっつけるための品詞なので、名詞以外の品詞をくっつけることはできないし、前置詞だけを文に入れることもない(前置詞を使うのなら、後ろに名詞が続くのが前提)という点に注意。
トリセツ第3弾を快適に楽しむための課外授業 その6
形容詞
「形容詞」は名詞を説明する役割の品詞です。形容詞の仕事はただそれだけ。ただし、形容詞の使い方には大きく分けて、次の2通りがあります。
1 主に名詞の前に置いて、その後ろに続く名詞を説明する使い方
例:long hair(長い髪)、beautiful long hair(キレイな長い髪)
*複数の形容詞でひとつの名詞を説明することも可能。
2 補語として、その前にある名詞を説明する使い方
例1:Her hair is beautiful. (彼女の髪は美しい。)
SVC
*補語となる形容詞(beautiful)がbe 動詞を挟んで前にある名詞=主語を説明している。
例2:She kept the room warm. (彼女は部屋を暖かくしておいた。)
*補語となる形容詞(warm)が前にある名詞=目的語(the room)を説明している。
なお、《形容詞+名詞》という1セットは、名詞1個分の扱いになるので、
The cute girl is Miyu. (そのかわいい女の子はミユだ。)
He loves the cute girl. (彼はそのかわいい女の子を愛している。)
He was looking at the cute girl. (彼はそのかわいい女の子をじっと見ていた。)
という感じで、主語、目的語、補語、前置詞の後ろなど、名詞を入れられるところならどこへでも、この1セットをそのままスッポリ入れることができるという点にも注意してください。
トリセツ第3弾を快適に楽しむための課外授業 その7
副詞
英語の「副詞」に苦手意識をもっている読者のみなさんは、決して少なくないと思います。というのも、
「英語における『副詞』という品詞のジャンルそのものが、何だか分類に困る少数派グループの寄せ集めで、一言では定義が難しい」
という問題点があるからです。でも、次のようなポイントから副詞を考えるようにすれば、少しは副詞のイメージがとらえやすくなるはず。
POINT1
「副詞」とは、主語や動詞、目的語など、文の要素がそろったカタチに、それだけでおまけ的につけ足せる語(句)の総称。
⇒ 「おまけ要素」なので、文の中にあってもいいし、なくてもいい
Megumi (always) plays tennis (hard).
(メグミは(いつも)(熱心に)テニスをする。)
という英文の always(いつも)は「頻度を表す副詞」、hard(熱心に)は「どんなふうに・するのかを表す副詞」ですが、この2つがなくても Megumi plays tennis.という感じでぜんぜん文として成立しますよね。「おまけ要素」とはそういうことです。ただし、副詞が補語の役割をする場合だけは、副詞が「おまけ要素」ではなくなる例外パターンになります。
⇒ 意味的に「名詞」っぽい感じがするものであっても、基本的に副詞は文の主語や目的語としては使えない。また、文につけ足す際に前置詞の助けも必要ない。
✕ Abroad is waiting for you. (海外が君を待っている)
*abroad は「海外(に、で)」という意味の「副詞」だから文の主語にはなれない
✕ He likes abroad.(彼は海外が好きだ)
*「副詞」だから文の目的語にはなれない
✕ l want to go to abroad. (私は海外に行きたい)
*「副詞」だから前置詞の後ろに入れることはできない
〇 l want togo abroad.(私は海外に行きたい)
*「副詞」だから前置詞ナシで文につけ足せる!
⇒ 普通の「名詞」も、前に前置詞をつけて〈前置詞+名詞〉というカタチにすることで、「副詞」と同じような働きをさせられる(文におまけ的につけ足せる)。
〇 l want to go to foreign countries.(私は外国に行きたい)
* 「外国」という意味の foreign countries という名詞に、前置詞の to をつけることで、副詞の abroad と同じような意味を表せる
✕ l want to go foreign countries.(私は外国に行きたい)
*前置詞がないので文につけ足せない(主語、目的語、補語以外の位置に名詞を置くなら、必ず前置詞が必要)
「副詞」の主な役割は「動詞」または「文全体」の説明、「形容詞またはほかの副詞」の説明のいずれか。
⇒ 副詞が「動詞」または「文全体」を説明する場合、文頭か文末、もしくは動詞の前後などに、単独で(独立した感じで)つけ足すのが普通。
その作家は(ときどき)大阪を訪れる。
⇒ (Sometimes) the writer visits Osaka.
⇒ The writer (sometimes) visits Osaka.
⇒ The writer visits Osaka (sometimes).
副詞が、動詞を説明しているか、それとも文全体を説明しているかは、あいまいなことも多い(どちらとも言えることも多い)ので、どちらの役割なのかはそんなに気にする必要はありません。
とにかくこの2つの役割の場合には、「文頭に入れても、文中に入れても、文末に入れてもOK!」って感じで、位置がかなり自由なのがポイントです。ただし、副詞を「文全体」を説明する役割で使う場合には、文頭に入れることが多いので、その辺は参考までに。
⇒ 副詞が「形容詞またはほかの副詞」を説明する場合、基本的に説明対象となる形容詞や副詞の前に置くだけでOK。
She wrote (surprisingly) moving lyrics. (彼女は(驚くほど) 感動的な歌詞を書いた。)
* surprisingly(驚くほど)という副詞が直後の moving(感動的な)という形容詞を説明している。
They copied the song (surprisingly) precisely. (彼らはその曲を、(驚くほど)カンペキにコピーした。)
*同じく副詞の surprisingly(驚くほど)が直後の precisely(正確に)という副詞を説明している。
まあ、ココは一気に覚えようとしなくても大丈夫です。すぐにはなかなか覚えられるものじゃないし。本書を読んでいて「あれっ、副詞って 何だっけ?」と気になったら、何度でもこのページに戻って、基本ポイントを確認する。そうするうちに、自然と感覚が身につくはずです。
トリセツ第3弾を快適に楽しむための課外授業その8
接続詞
英語は基本的に「ひとつの文の中に主語(S)と動詞(V)が一組だけ」が原則の言語です。でも、「どうしてもひとつの文に複数の主語や動詞を入れたい!」と思ったら、「接続詞」と呼ばれる品詞を使うことで、それが可能になります。言ってみれば、「接続詞」ってやつは 「ひとつの文の中に主語と動詞は一組だけ」というお約束を破るための免罪符みたいなものなんですね。逆に言えば、
「接続詞という免罪符がなければ、複数の主語と動詞をひとつの文に入れることは基本的に許されない!」
ってことになります。
考えようによっては、「表現の幅が広がるからベンリ!」なんだけど、考えようによっては、「文のカタチがややこしくなるからウザイ!」それがすべての接続詞に共通する特徴と言えるでしょう。
接続詞は大きく分けて「等位接続詞」と「従属接続詞」という2つのグループに分かれます。それぞれの特徴と注意点を紹介していきましょう。
●等位接続詞
代表例は、and(そして)、but(しかし)、or(あるいは)など。「等位接続詞」は、
She prepared dinner and I did the dishes.
S V S V
(彼女が晩ご飯を用意して、私が皿を洗いました。)
のように、「主語(S)と動詞 (V)」と「主語(S)と動詞 (V)」をつなぐこともできます。また、
simple but powerful (単純だけど力強い)
のように、「形容詞と形容詞」を結ぶことも可能。さらに、
with you or without you (キミと一緒でも、あるいは一緒じゃなくても)
のように、「〈前置詞+名詞〉と〈前置詞+名詞〉」を結ぶこともできます。早い話、等位接続詞というのは、単語と単語だろうと、単語同士の組み合わせだろうと、あるいは主語と動詞と主語と動詞の組み合わせだろうと、とにかく同じレベルの要素でさえあれば何でもつなぐことができるのです。
言ってみれば、対等な関係の要素同士をつなぐ接続詞。だから、「等位接続詞」なんて呼び名がついているわけです。
●従属接続詞その1:「従属接続詞」ってどんな接続詞?
「従属接続詞」は、主語(S)と動詞(V)を含む、ちゃんとした文のカタチを、ひとつのまとまった意味を表す1セットとして、より大き な文の中に組み込める状態にする接続詞です。代表例は、because (…(な)ので)、if ((もし)…なら)、that (…と(いうこと)) など。具体的には、
becausel saw the artist (私はそのアーティストを見たので)
SV if you are busy every day (あなたが毎日忙しいなら)
SV that she bought the book (彼女がその本を買ったと(いうこと))
のように、《S+V》の頭に従属接続詞を入れて、《従属接続詞 S+V》というカタチにすると、「SがV(する)ので」とか、「(もし)SがV(する)なら」とか、「SがV(する)ということ)」という具合に、《S+V》が表す意味に、それぞれの従属接続詞がもつ意味が添えられる感じになって、より大きな文に組み込める状態になった1セットができあがるイメージ。
1セットで「より大きな文の中に組み込める」というのは、言い換えると1セットで名詞あるいは副詞など何らかの品詞1個分の働きをする ものとして、より大きな文の中で使うことができるということです。
同じく<従属接続詞 S+V>というカタチでも、使う接続詞によって、1セットで名詞1個分として使えるタイプと、副詞1個分として使える
タイプに分かれるところに注意(接続詞によっては、どちらとしても使える1セットをつくれるものもあります)。
従属接続詞の中でも、because (…(な)ので)、if ((もし)・・・なら)などは、1セットで副詞1個分として使える(because/if S+ V>というカタチをつくることができます。 言い換えると、because、if は<S+V>のカタチを副詞1個分として、より大きな文の中に組み込むための接続詞と言えます。
こちらでも説明した通り、「副詞」とは、主語や動詞、目的語など、文の要素がそろった(欠けている要素がない)カタチに、それだけでおまけ的につけ足せる語(句)のことでしたね。やというカタチが副詞1個分ということは……これらも、文 の要素がちゃんとそろったカタチに、おまけ的にくっつけることが可能ってこと。具体的には、
1. (Because it’s raining) , we can’t play baseball.
(〈雨が降っているので>、私たちは野球ができません。)
2. I will help you (if you are busy every day).
(〈あなたが毎日忙しいなら〉、私が助けてあげましょう)
という具合。どちらも、We cant play baseball とか I will help you のような、文の要素がそろった、それだけでも文としてちゃんと 成り立つカタチに、意味の上でまとまりをもつ〈従属接続詞 S+V>という1セットが、おまけ的にくっついてる感じでしょ?
また、1の場合は、《Because it’s raining》が文頭に、2の場合は、の特徴。
まあ、でも、実際問題として、《従属接続詞 S+V》が1セットで副詞1個分の働きとかそういう話は、現時点ではそれほど気にしてもらわなくてもOK。あくまで「現時点では」ですけど。
従属接続詞の中でも、that (…ということ))は1セットで名詞1個分の働きをするというカタチをつくることができます。
言い換えると、that は<S+V》のカタチを名詞1個分として、より大きな文の中に組み込むための接続詞と言えます。
1.目的語(O)の位置にスッポリ!(1セットで目的語として使える)
He doesn’t know (that she bought the book).
S V O
(彼は<彼女がその本を買ったということ〉を知らない。)
2. 補語(C)の位置にもスッポリ!(1セットで補語として使える)
The fact is (that she bought the book).
SV C
(事実は、〈彼女がその本を買ったということ〉だ。)
3. 主語(S)の位置にだってスッポリ!(1セットで主語として使える)
(That she bought the book) is secret.
S V C
(<彼女がその本を買ったということ〉は秘密だ。) ただし、《that S+V>という1セットを主語として使う場合、形式主語の it (主語の位置に入り、「実際の主語は後ろにありますよ」と いうのを示す目印の役割をする it)を使って、本当の主語のは後ろに回して、次のように表す方が普通です。
(That she bought the book) is secret.
= It is secret (that she bought the book).
まとめると、「従属接続詞」とは、
「ボクの後ろには《S+V》ってカタチが続くんだけど、ボクも含めて、《従属接続詞 S+V》という1セットで、名詞や副詞1個分の役割 を果たすカタチだからね」
と合図する接続詞だと言えるでしょう。
●従属接続詞その2:「文」と「節」という考え方
さて、ココでものすごーく基本的な話をしますが、
「英語の「文』というのは、主語と動詞を含むカタチのこと」
です。例えば、
I know. (オレ、知ってるよ。)
のような2語しかないシンプルなカタチだって、Iという主語と know という動詞があるからには、立派な「文」として成り立っているということになります。では、
She prepared dinner and I did the dishes.
(彼女が晩ご飯を用意して、私が皿を洗いました)
みたいな、〈主語(S)+動詞(V)〉が2つ以上組み合わさったカタチは何と呼ぶでしょうか? ……って、これももちろん「文」でいい のです。 でも、このように、《S+V》が2つ以上組み合わさった文においては、《S+V>のひとつ分を指して「節!」と呼ぶことがあります。
「……ふし!」
と読んだ人もいるかもしれないけど、「せつ」と読みます、念のため。上の例では、She prepared dinner も「節」、I did the dishes も「節」ということですね。ってところで質問です。次のカタチは「文」? それとも「節」?
because I saw the artist(私はそのアーティストを見たので)
if you are busy every day(あなたが毎日忙しいなら)
that she bought the book(彼女がその本を買ったということ))
「……えっ? (–;) これだけだと、《S+V》のカタチが1個しかないんだから、やっぱり『文』って言うんじゃない?」と思ったかもしれないけど、答えは「節」。なぜかと言うと、こうしたカタチの頭には、because、if、that といった従属接続詞がくっつ いているから。
「従属接続詞というのは、《S+V)のカタチを、1セットで名詞や副詞1個分の働きをするものとして、より大きな文に組み込める状態に する語」
でしたよね。要するに、《従属接続詞 S+V》というカタチは、
1. (Because it’s raining), we can’t play baseball.
2. I will help you (if you are busy every day).
のように、もうひとつのより大きな文(=《S+V>)に組み込む感じで使う(つまり、《S+V》のカタチが2組になる)ことを前提とした カタチとも言えるんです。そんな事情もあって、《従属接続詞 S+V)のカタチについては、もう常に「節」と呼ぶのが決まりになっている というわけ。とりあえず「節」という言葉は、「文」の中でも特に、
★ <S+V>が2つ以上組み合わさった文の中の、<S+V>の1個分
★ より大きな文の中で、名詞や副詞1個分として使う前提になっている《従属接続詞S+V》のカタチ
に対して使われる言葉だと考えておけば間違いナシ。
なお、文法用語では、節の中でも、《従属接続詞 S+V>のように「従属接続詞が頭にある節」を特に「従 (属)節」と呼びます。
さらに、《従属接続詞 S+V)というカタチ(いわゆる「従節」)の中でも、because という従属接続詞を使っていれば「because 節」、 that という従属接続詞を使っていれば「that 節」と呼ぶこともあります。 また、「従節」の中でも、1セットで副詞1個分の働きをするものは「副詞節」、名詞1個分の働きをするものは「名詞節」と呼ぶこともあります。
…….. 《従属接続詞 S+V>というカタチにはいろいろな呼び方があるってことですね。
●従属接続詞その3:「主節」と「従節」という考え方
先ほど確認したように、<従属接続詞 S+V>という1セット(=従属)節)を使う場合、普通、ほかにもう1組<S+V>が出てきて、
1. (Because it’s raining), we can’t play baseball.
2. He doesn’t know (that she bought the book).
のように、ひとつの文の中に<S+V>が2組あるカタチになるのが前提です。
そして、このようなく従属接続詞 S+V>という1セット(=従節)を使う文では、「従節」に対して、頭に従属接続詞がないもうひとつの <S+V)を「主節」と呼んだりします。1の例だと、が『従節』で、残りの He doesn’t know が『主節』ってこと?」
と思った人は残念賞。これはそうとも言えるし、そうでないとも言える、微妙なところなのです。ポイントになるのは、
1のBecause it’s raining)は、1セットで副詞扱い(=副詞節)
2の という1セット(=従節)の中でも、副詞1個分の働きをする(いわゆる「副詞節」になる) タイプは、「SVOなど、文の要素がちゃんとそろった(欠けている要素がない)カタチに、おまけ的にくっつけるもの」です。だから、仮に
〈彼はいいヤツなので〉、みんなに好かれている。
→ (Because he’s nice), everyone likes him.
のような文から、従節(=副詞節)を取り除いても、主節はひとつの文として問題なく成立します。要するに、従節(=副詞節)は、より大きな文に組み込まれているといっても、主節と従節のそれぞれが、ある程度独立した関係と言えなくもないのです。
でも、《従属接続詞 S+V》という1セット(=従節)の中でも名詞1個分の働きをする(いわゆる「名詞節」になる)タイプは、事情がちょっとややこしい。例えば、仮に
唯一のいい知らせは、〈彼がいいヤツだということだ。
→ The only good news is (that he’s nice).
という英文から <that he’s nice>という従節(=名詞節)を取り除くと?
……残るのは The only good news is という中途半端なカタチ。つまり、主節が文として成立しないカタチになってしまうのです。 もっとわかりやすい例としては、
<彼女がその本を買ったということ>は秘密だ。
(That she bought the book) is secret.
のように、従節(=名詞節)が主節の主語になるような場合。 この文から「従節(=名詞節)を取り除くと、主節から主語がなくなっちゃう!(明らかに文として成立しない)」ことになりますよね。こ のように、従節の中でも1セットで名詞の働きをするもの(=名詞節)を使う文では、
「従節(=名詞節)が主節の中の、主語、目的語、補語など、名詞を入れることができる位置にスッポリ入り込むカタチ」
になるため、「主節と従節」というふうにきれいに1対1で分けられるような関係にはならないのです。言ってみれば、名詞節は主節と従節が一体化する感じ。
副詞節と名詞節はどちらも同じ従節とはいえ、「主節との関係」という観点から考えると、大きな違いがあるってことですね。
….いろいろと注意点を述べましたが、すべての従属接続詞に共通する重要ポイントとして、
1 従属接続詞は<S+V>のような主語や動詞を含むカタチを、1セットで名詞や副詞など何らかの品詞1個分として使えるようにする語である。
2<S+V)のカタチを、1セットで名詞や副詞など何らかの品詞1個分として使おうと思ったら、原則として必ず従属接続詞を使わないと いけない(従属接続詞を頭につけ<従属接続詞 S+V>のカタチにする)。
という2点だけは覚えておいてください。それ以外のところは、「ふーん」っていうくらいでも、とりあえずは大丈夫です。「that 節」と か「名詞節」とか「副詞節」とか「主節」とかそういう用語に出合って、「そう言えば、コレってどういうことだっけ?」と気になったり、 わからなくなったりしたときに、このページに戻って確認してもらえばそれで十分です。
STEP1 比べてみよう「比較表現」
● 「もっと強い」とか言ってみる
みなさん、次の場面をイメージしてください。
A:ミツハルは強いよ。 B:ジュンの方が強いよ。
どうやら2人で討論らしきものをしているようです。Aは三沢……じゃなくてミツハルという人の強さを主張していますが、それに対してB は秋山……じゃなくてジュンという人の方が強いと言って譲りません。
さて、このセリフをそれぞれ英語にするとどうなるでしょうか? Aの方は余裕ですよね。
⇒ A: Mitsuharu is strong.
これだけでOK。でも、Bの方はどうでしょうか? Aのセリフとほとんど同じだけど、「…の方が」という部分をどう表すかが悩みどころ ですよね。英語ではこのように、「2つのものの『程度』を比べて、どちらかが上、あるいは下と伝える」 ときには、次のような言い方をします。
⇒ B : Jun is stronger. (ジュンの方が強いよ。)
strong(強い)という形容詞の後ろに -er がくっついていますね。このように「程度」を表す言葉の語尾に -er か -r をつけると「より….の方が」という感じを出すことができるのです。
英語で「『程度』を表す言葉」って言ったら?
答えは、「形容詞」または「副詞」。だから、「より…の方が」という意味で後ろに -(e)r をつけられるのは形容詞や副詞だけ(ちなみ に、動詞に -(e)r をくっつけると、「その動作をする人」って意味の名詞になります。singer で「歌手」とか)。
なお、stronger のような、形容詞や副詞に -(e)r がくっついたカタチのことを、文法用語では「比較級」と呼びます。そして、それに対し
て後ろに -(e)r のくっついていない形容詞、つまり strong のような形容詞や副詞本来のカタチのことを「原級」と呼びます。