TOEIC®L&Rに挑戦する前に必要な基礎英語力
今回から「TOEIC®L&Rを受験するのに必要な英語力」というTOEIC®を受験する前段階となるステップについて話していきます。当たり前ですが、TOEIC®の勉強開始時点でのスタートライン(英語のレベル)は人それぞれです。そのため、すぐにハイスコアを出せる人と、なかなかスコアアップができずに苦しむ人に分かれてしまいます。経験上、比較的スムーズにスコアアップができる人は、「基本的な英語力」を身につけていることが多いように感じます。
下記の図を見てください。TOEIC®では、リスニングセクションとリーディングセクションがあるので、いきなりこれらの勉強に入っていきがちですが、前段階として基本的な単語と文法の知識が求められています。そして、短期間で効率的にスコアを伸ばせる人の大半は、TOEIC®の問題形式に慣れてないのでスコアが低いというパターンで、根本的な単語と文法の知識が身についている人です。
言い換えれば、大学受験などで基礎を培った人は、基盤が出来上がっている分、比較的早くスコアアップが可能でしょう。一方、大学受験を経験しなかったり、時間が経ち過ぎて忘れてしまったり、英語に苦手意識があったりする人は、TOEICに向けた勉強を始める前に基本的な単語と文法を勉強する必要があります。
大人の学習はプライドを捨てることが出発点
「自分は単語・文法の知識が不十分だな」と思った人は、大人の英語学習の出発点に立ちました。そして、次に求められるのは、「プライドを捨てること」です。大人の学習者には必ずと言っていいほどプライドがあります。「低いスコアは恥ずかしい」や「今更英語の基礎なんて勉強していられない」など、現状の力がTOEIC®を受けるレベルに達していないのにも関わらず、一歩二歩先のレベルの勉強をしがちです。
しかし、英語は積み重ねの科目です。中学1年の4月にアルファベットから覚え始めた人なら授業のどこかの過程で躓いたはずです。その躓いたところまで戻れる勇気があるかが、英語を勉強し直す大人の学習者には求められます。
これまで、私はスコアアップに伸び悩む人を何人か見てきました。その中で、とある社会人に助言を求められたとき、客観的に見てもわかるほどに中学英語レベルの単語や文法の知識がTOEIC®を受験する水準に達していませんでした。そこで、「中学英語から勉強し直すのが望ましいですよ」とアドバイスしましたが、「今更、中学生向けのテキストを使って勉強するのは恥ずかしいから嫌だ」と拒絶され、案の定、現在進行形でスコアアップできずに苦しんでいます。
一方、英語が不得意な大学生は、初めて受けたTOEIC®が低スコアで悔しく、英語を学び直すことを決意しました。その際、中学英語に立ち返り、弱点の補強に努めた結果、3ヶ月で300点から445点へと145点のスコアアップを果たしました。この成功体験によって、英語学習を楽しめるようになり、今も順調に英語学習を続けています。あくまでも一例ですが、このような事例が示すとおり、自分の英語が分からなくなった単元へ戻ってリスタートを切れるかが、大人の英語学習者に必要とされる姿勢だと思います。
ここで、「いったい、自分はどのくらいのレベルなのか?」という自身の現状を把握する必要が出てきます。自分のレベルを測定する方法はいろいろあると思いますが、英検協会の公式サイトに掲載されている『英検級かんたん測定』のようなツールを使うと良いと思います。このツールではCEFR(セファール)という外国語のコミュニケーション能力を表す国際標準規格の指標に則って、大体の自分のレベルを知ることができます。加えて、他の主要な英語検定と比較することもできます。
IiBCが公表している『TOEIC® Program各テストスコアとCEFRとの対照表』によると、TOEIC®で550点~780点はB1(自立した言語使用者)レベルです。上述の『英検級かんたん測定』でA1やA2だった場合は、「基礎段階の言語使用者」ということになるので、B1(自立した言語使用者)との差を埋めるためには、中学・高校英語などの基本に立ち返ることが必要となります。英語学習をスタートする段階として、現時点でのレベルと目標のレベルとの差を確かめるとは非常に大切なことです。そのため、基礎知識を学ぶ前に、必ず通過してほしいプロセスです。
1987年生まれ、愛知県出身。留学はおろか旅行ですら海外渡航歴のない英語学習者。大学で英米文学を専攻したが、学生時代は特に英語が得意というわけではなかった。一時は英語が嫌いになるが、社会人になってから本腰を入れて英語学習を始め、6年間でTOEIC®910点や英検1級を取得。紆余曲折を経て蓄積した自身の経験に基づいた勉強法をブログやSNSにて公開中。