公式認定証はどのように使えば良い?
さて、今回は目標とするスコア(ここでは600点)に届かなかったとき、次回までにどう学習を進めていけば良いかを考えてみましょう。テわストで手応えのある部分、手応えのない部分は人それぞれでしょう。ですが、おそらく、目標に届かなかった人の多くは納得できずに試験を終えたのではないでしょうか。
もし本気で600点台を狙っているのなら、今回の受験を次回に生かさなければ「単に試験を受けているに過ぎない」ことになりかねません。そこで、まずは試験前に立てた戦略がどこまで実行できたか振り返って欲しいと思います。そして、本番独特の緊張感や試験開始までの工程など本番だからこそ感じられたことを思い出して、自分自身の反省点がないか洗い出しましょう。
また、多くの受験者がこれで終わりではなく、2回目以降もTOEIC®を受験するはずです。次回以降、確実にスコアアップするための鍵となるのがアビリティーメジャード(通称:アビメ)です。試験日から約1ヶ月後に封書で公式認定証が届くのですが、そこに今回の自分の得点傾向などを示すグラフが記されています。これを勉強に生かさない手はありません。それではアビメの見方をお教えします。
画像の左がリスニング、右がリーディングのグラフです。600点を目指すのであれば、各項目の平均値を示す「▲」より低い部分がないかを探してください。仮に平均値より下回っている箇所があるならば、そこが自分の弱点になります。すべてのパートで平均以上を取れれば自ずと600点が近づくと思うので、極端な苦手な部分を作らないことが重要です。
ところで、1回目の受験では「正解できる問題を確実に取る」というスタンスで望んだはずです。そして、全力を尽くした結果として、スコアが手元にあるわけですが、リスニングとリーディングのスコアは各何点でしたか? そのスコアによって、当然2回目の受験へ向けての戦略も変わるわけです。知っている人もいるとは思いますが、TOEICは素点でスコアが出るわけではありません。
つまり、200問中・120問を正解したからといって6割にあたる600点が取れるわけではありません。各セクションで60問正解した場合、おおまかに言えばリスニングでは260~275点、リーディングは290~305点くらいになると思われます。ですので、もし600点を目指すなら、実際は6割5分くらいの正解が要求されます。
それらを踏まえた上でスコアのバランスを見てください。リスニングとリーディングのスコアの開きが30点以内ならバランスよく勉強出来ています。逆に、極端にどちらかのスコアが悪い場合は、苦手の技能の方に力を入れるべきでしょう。リスニングの方がリーディングよりもスコアが上がりやすいことも考慮しつつ、次回に向けた目標のスコアを設定します。例えば、リスニングが7割近く正解して320点、リーディングはなかなかスコアが伸びにくいので6割弱の正答で280点というような設定です。
解答プロセスの再現を目指す
目標を達成するために、次回の本番前までにやって欲しいことがあります。それは初回テストの受験前までに解いた模試を、再び時間を測って解くということです。「一度、解いた問題を再度解いても答えを知っているから意味がないのでは」という意見もあるかもしれません。
確かに、答えを知っているかもしれませんが、果たして2回目以降でも解説に書かれているような解答プロセスを辿って確実に正解できるでしょうか? おそらく、また間違える問題があると思います。そのような何度やっても間違える問題こそが、解答までのプロセスが曖昧であり、自身の弱点となる箇所です。少しでも多くの同じ問題を解いて解答のプロセスを理解し、他の問題でも既視感を持って解ければ、実力が付いてきたという証拠です。ぜひ、問題を解きっ放しにせず、時間を置いて再挑戦してください。
ここまで、次回に向けた取り組みを紹介しましたが、自分ひとりで勉強することはなかなか大変です。特に社会人などは学習をルーティンにすることが難しいという人もいるでしょう。そのため、多くの人が学習を継続するのを辞めてしまいます。ただし、せっかく勉強し始めてすぐに辞めてしまってはもったいないとは思いませんか? そこで私が行き着いたのは「ツイッターで自分の学習の過程を公開し戒めとする」というものです。
そして、英語学習者と積極的に交流していきました。スコアが同じような人とはライバルになり切磋琢磨でき、目標とする人には相手の良いところを吸収するといった具合で活用してきました。結果を得たければ自分が居るべき場所に身を置き、積極的に行動する。この姿勢があったからこそ、自分のように特別な才能がなくとも現在のレベルまで英語を伸ばすことができたのだと思います。独学で頑張るのが辛いと感じるのなら、一歩踏み出してみることをオススメします。
1987年生まれ、愛知県出身。留学はおろか旅行ですら海外渡航歴のない英語学習者。大学で英米文学を専攻したが、学生時代は特に英語が得意というわけではなかった。一時は英語が嫌いになるが、社会人になってから本腰を入れて英語学習を始め、6年間でTOEIC®910点や英検1級を取得。紆余曲折を経て蓄積した自身の経験に基づいた勉強法をブログやSNSにて公開中。