リスニングパート3と4のコツとは? スピードとパターンに気をつけよう【第7回TOEIC®600点への手引き】

TOEIC®のリスニングパートの出来が左右すると言っても過言ではないパート3と4。リスニング問題の7割を占め、難易度もパート1と2に比べて高くなっている。リスニングで高スコアを目指すならば、しっかりとした対策が必要だ。今回は社会人から英語学習を始めて、TOEIC®910点や英検1級などを取得した市川基寿にパート3と4の対策方法を解説してもらった。

テスティングポイントのパターンを体得しよう

今回はリスニングのパート3と4を説明していきます。このパートは1つのパッセージに対して設問が3題あります。内容はパート3が2、3人のダイアログ形式、パート4が1人のスピーカーのモノローグ形式で、設問数は前者が13パッセージ・39問、後者が10パッセージ・30問です。リスニングパート全体の7割ほどの問題数があるので、リスニングで高スコアを望むならパート3と4は避けて通れません。では、少しでもいいスコアを出すための方法などをお教えします。

リスニングが特に苦手な人はいきなり問題を解こうとしても、全体の2~3割しか聞き取ることができないかもしれません。これではかろうじて聞き取れた断片的な情報で解答をしなければならず、直感的な解答になってしまいスコアアップにつながりにくいのです。そこで、論理的に正解を選択できるようになるには、パッセージのパターンを日本語で覚えるということをオススメします。

やり方としては、まず解答・解説に載っている日本語訳を見ます。このとき日本語を数回読んでパッセージの内容を把握します。次に設問に目を移し、3題の設問の英文をザックリと捉えます。ザックリとは、「Why is the woman calling the man?」という設問があったら、綺麗な和訳をするのではなく、「なぜ・女性・電話」とキーワードをつかみます。この取り組みは後に紹介する「先読み」にも通じ、パッセージを聞く前に設問のテスティングポイントをつかむための非常に重要な工程です。

次に設問3つに対して、つかんだキーワードを元に日本語訳の中から解答の根拠となりそうなところを探します。すると、日本語訳に3ヶ所チェックが入るはずです。ずばり、その場所が聞き逃してはならないポイントなのです。さて、ここまでは仕込みです。パート3なら13セット、パート4なら10セットあるので、毎日1題ずつ取り組んでも約1ヶ月かかります。

この学習を日々取り組んで3模試分を3ヶ月かけて行えば、解答の根拠となるパターンが徐々に見え、リスニングが苦手という人でも600点を取るための下地ができるはずです。

完全な和訳を目指すのではなく、キーワードをいくつか聞き取ることが大切

オーバーラッピングに取り組んでスピードに慣れる

ここから本格的にリスニングの音源を使って学習をしていきます。あらかじめ仕込みをしているため、どこを問われるかがわかっている状態なので、この段階で既に解答は出来るはずです。しかし、おそらく英文を聞いてもスピードについていけず、解答の根拠を聞き損じてしまう可能性もあります。その理由は、脳内の英文処理速度が、音声スピードについていけていないからです。TOEIC L&Rテストのリスニングパートの3と4において、話者のスピードは概ね150wpm(Word Per Minutes=1分間に話される語数)です。耳だけでこのスピードについていくのは、英語初学者にとっては至難の業です。

つまり、ここからはモデルスピーカーの発声スピードに付いていく練習を必要とします。もしかしたら「シャドーイング」という練習方法を聞いたことある人がいるかもしれませんが、シャドーイングは耳だけを頼りにモデルスピーカーから数語遅れて同じように発声するというハードルの高いトレーニングです。

ですから、私自身は初学者の頃、いきなりシャドーイングには取り組みませんでした。その代わり、私が行ったのは「オーバーラッピング」というトレーニングです。これはモデルスピーカーの発話と自分の発話を重ね合わせるトレーニング方法です。これにより英語のリズム・イントネーションなどをモデルスピーカーと同じように真似ることができ、徐々に自分の身体に染み込ませていくのです。音源を聴きながら自分が納得できるまで真似ることを目指してトレーニングを3ヶ月続けたら、最初はついていけなかった音声もクリアに聞こえ、余裕を持って問題を聞き取れるようになるはずです。

ここまで紹介した「テスティングポイントのインプット」と「オーバーラッピング」をしたら、いよいよ問題に取り組んでいきます。ここからは少しでもスコアを上げるために、「どのように先読みをするか」コツをお伝えします。

先読みするコツというのは、テスティングポイントのところで設問文をキーワード化するという方法と同じことを試験本番に行うことです。ただ、本番では前の設問が終わってから次の設問が始まる数秒間で3問分のキーワードを拾う必要があります。よくこの先読み方法は、テクニックとして紹介されますが、元の英語を聞き取れないのにテクニックを身に付けても、効力を発揮できずに終わってしまうでしょう。そうならないために、敢えて日本語で設問をじっくりと見ることを最初に勧めたのです。

また、日本語でのテスティングポイントを体得したときに気づいた人も多いでしょうが、3つの設問のテスティングポイントはほぼ時系列に沿っています。そして、最初の1問はパッセージに対する大きな問題、残りの2問はパッセージの詳細な問題です。ですので、実際に解答をするときは、各問題の最初の1問は必ず正解し、残りのどちらか1問を正解するというスタンスでいけば、69問中の2/3は正解できるので、600点を目指す上で大きくリスニングスコアを稼げるわけです。

本番までの心の整え方もスコアを伸ばすために必要

本番では当日の心構えもスコアに影響する

最後にリスニングの総括として本番の臨み方を紹介します。TOEICの受験は指定席であり、試験会場の大きさで音響も異なります。そのため、まずは受験環境に慣れることが大事になります。慣れるには「心のゆとり」が必要です。ぜひ、試験当日は受付開始と同時に会場入りできるよう時間にゆとりを持って行動すること。そして、会場に入ったらいち早く自分の座席に着席して試験本番をイメージすること。さらには、会場への移動中や受付後のディレクションが始まるまでは、今まで聞き込んだ音源を使って耳を本番モードにチューニングしておくこと。

これらをやることで過度に入れ込むことなく、落ち着いて試験開始を待つことができます。そして、試験開始の合図があったら深呼吸し、気持ちをリセットしてパート1の写真描写をチラチラと見ておきましょう。

あとは自分との戦いです。途中で聞き逃した箇所があっても気持ちを切り替えて次へ意識をすぐに向けるのも大事になってきます。このように、基礎トレーニングで「技」を磨き、試験本番までの過ごし方で「心」を整えれば、自ずと目標とするスコアが達成できます。