反復・大量・刷り込みで一気にボキャビル
基礎英語で避けて通ることができないのが単語です。単語を覚えるためには、まず自分に合ったタイプの単語帳を選定します。そして、大体の単語帳は巻末に索引があるので、単語帳を選んだら索引をコピーしましょう。索引には掲載されている単語が数ページに渡って、アルファベット順に並んでいます。1ページ目から始める前に、索引の単語を一通りチェックします。既に知っている単語帳は取り消し線を引くなり、黒く塗りつぶしちゃいます。そして、最終的に「既知の語彙数÷索引の総単語数×100=認識率」の計算式に数字を代入しましょう。
これで単語帳に掲載されている単語の認識率が明確になり、算出した認識率で選んだ単語帳のレベルに適しているかがわかります。未知の単語が多すぎると覚えていくのが大変ですし、逆に既知の単語ばかりだと新しく覚える語彙が少なく非効率的です。個人的には認識率が50%±10%が適切なレベルだと思います。ちなみにTOEIC®L&Rテストで600点を目指すのであれば、TOEIC®用のベーシックな単語帳で80%以上の認識率が欲しいところです。文章を読んでいても、1文につき2~3語もわからない単語に出くわすと、調べながら読み進めることになってしまい効率が悪いです。それを避けるために、先手必勝で必要最低限の単語を覚えてしまうことが大切なのです。
しかし、単語を覚えようと思っても、なかなか覚えられないのは、語学学習者ならば誰もが通る道です。面倒くさい暗記分野だからこそできるだけ効率的に覚えたい。このときのポイントは反復・大量・刷り込みの3つです。よく1日に30語を覚えようと同じ単語を何回も紙に書く人がいますが、書くことが目的になってしまうため、オススメしません。書くことによって体でスペルを覚えられますが、労力の割には効率が良くないのです。
3つのポイントを説明する前に、皆さんに質問です。もし、400語の単語を1週間で覚える必要があったら、次のどちらの方法で覚えようとしますか? 1つ目は、図のAのように毎日400語を覚える方法。もう1つは、図のBのように新出単語を60語ずつ覚えつつも、2日目以降は前日の60語を復習する方法。私なら断然Aの方法をオススメします。毎日400語を覚えることにより、7日間で7回も同じ単語を目にするからです。
一方、Bの方法では復習した後に同じ単語を目にするのが6日後になってしまいます。これだけの間隔が開いてしまえば、大半の単語の意味は忘れてしまうのではないでしょうか。“毎日”同じ単語を目にするからこそ、脳内に単語が刷り込まれていくと思います。ですから、一定期間、毎日同じ単語を目にするという“反復”が大事になります。加えて、経験則からですが、1日に数十語ずつ単語を覚えるよりも、100語単位で覚えた方が定着率も高い気がします。
もしかしたら、「絶対に1日に100語も覚えられない」という声が聞こえてきそうですが、一回で完璧に覚えるのではなく、何度も繰り返すことで定着させるので問題ありません。また、最終的には単語の意味を一瞬で思い浮かべられるレベルを目指すので、1単語あたり2~3秒で覚えることを意識しましょう。そうすれば、100語を覚えようとしてもせいぜい5分程度しかかからず、400語でも20分と通勤や昼休みなど隙間時間で完結できます。
私の場合はスマートフォンアプリのリスニング機能使って、視覚的に単語を認識したり、聴覚を使って単語の発音を覚えたり、歩き回りながら単語を唱えたり、自身の五感を駆使してインテンシブにボキャビルを行いました。その結果、英検1級レベルの語彙(2,100語)を2週間という短期でインプットできました。このように単語を覚えるときは、一度に400語くらい“大量”の単語を何度も“反復”して“刷り込む”ことが重要になります。これが単語を覚えるときのポイントとして挙げた理由です。
単語を覚える上で重要なことは記憶力の良さではなく、地味で単調な作業を通してコツコツと覚える努力ができるかどうかです。ボキャビルを習慣にすることによって語彙が増え、文章が読めるようになり、いつしかボキャビルが苦痛ではなくなったらこちらのもの。このような好循環を生み出すためにも3つのポイントを押さえて単語を覚えましょう。
1987年生まれ、愛知県出身。留学はおろか旅行ですら海外渡航歴のない英語学習者。大学で英米文学を専攻したが、学生時代は特に英語が得意というわけではなかった。一時は英語が嫌いになるが、社会人になってから本腰を入れて英語学習を始め、6年間でTOEIC®910点や英検1級を取得。紆余曲折を経て蓄積した自身の経験に基づいた勉強法をブログやSNSにて公開中。