TOEIC®は新形式になってどう変化したのか?【TOEIC®L&Rテスト分析[2]】

 


 

TOEIC® L&Rテストは新形式になって難しくなったという声がよく聞こえる。では、新形式になってどのように変化したのだろうか? 60回以上の受験経験を誇る英悟さんに、公式問題集と自身の経験からTOEIC®変化を教えてもらった。

新形式になってどのように変化したのか?

TOEIC®L&Rテストは、2016年5月から新形式に変わりました。リスニングパートとリーディングパートともに100問ずつで計2時間という点に変化はありません。ですが、ザックリ言うと簡単な問題が減り、難しい問題が増えたと感じます。具体的な変更点としては、パート1が4問、パート2が5問減り、パート3が9問(3題)増えました。リーディングパートではパート5が10問減り、パート6が4問(1題)、パート7が6問(トリプルパッセージが登場)増えました。テスト時間が変わらないのに、リスニングとリーディングの英文量が増えているので、新形式になって難易度が上がったと言えるでしょう。

詳細な変更点を説明する前に知っておいて欲しいことは、TOEIC®が単なる英語の資格試験ではないということです。「えっ?」と思うかもしれませんが、TOEIC®は「Test of English for International Communication」の略称で、日本語にすると「国際コミュニケーション英語能力テスト」です。つまり、英語を母語としない人を対象にした「英語でのコミュニケーション能力を評価する試験」ということです。

そのことを踏まえて、変更点を見ていきましょう。日本と韓国でTOEIC®が新形式に変更するという発表があった際、より「Authentic」になると話していました。日本語では「正真正銘の、本物の」という意味の単語で、より実践的になったということです。世の中の変化は速く、英語によるコミュニケーションも時代に合わせて変化してきます。

知らない人も多いと思いますが、私が社会人になりたての頃、海外とのやり取りではTelex(テレックス)という方法を使っていました。その後、ワープロで文章を作成してファクシミリで送信という手順を踏んで海外と連絡を取っていました。

しかし、現在では、パソコンを使って電子メールでのコミュニケーションが当たり前です。インターネットでの情報発信や情報収集、携帯電話でのテキストメッセージやチャットも現代では当たり前のコミュニケーションツールです。このようにコミュニケーションの方法が変化しているため、必然的にビジネス英語の使われ方も変化してきます。

TOEICは単なる英語力を測定するテストではない

前述の通り、TOEIC®は英語によるコミュニケーション能力を評価する試験ですので、現代のコミュニケーションの方法や環境に適した内容と形式になったと言えます。実際に変更された点を詳しく見てみると、リスニングでは会話の中に短い答えが出てくることや会話の回数が多くなりました。また、疑問詞の内容に対して、直接的ではない答え方や省略形、話者の発言の意図を問う問題もあります。2名だけの会話ではなく、3名での会話や図や表と関連付けて解く問題も新形式になってから追加されました。

また、リーディングの変更点というと、パート6では空欄補助問題で文章を挿入する問題が追加されました。同じくパート7にも文章挿入問題が追加され、複数人でのテキストメッセージやオンラインチャット問題も加わり、書き手の意図を問う問題が出題されます。長文読解問題はシングルパッセージとダブルパッセージに加えて、トリプルパッセージが追加されました。

特にリーディングにおいて、コミュニケーション方法の変化が顕著です。例えば、長文読解の題材の種類もe-mail、article、Web page、text message・chat、advertisementが全体の70%を占めるようになり、なかでもe-mailは毎回10題ほど出題され、全体の約30%を占めるなど時代の流れを汲んでいます。

以前は、各パートの前半部分が簡単で後になるにつれて難しくなる傾向がありました。そのため、前半部分をしっかりと解き、場合によっては後半部分を後回しにするというタイムマネジメントができました。問題自体も注意するポイントを後ろに持ってくることができ、戦略を立てやすいという特徴がありました。

しかし、最近の公開テストではパート1の前半でも難しい問題が出ることやパート2の2問目でもスピーキングの早い問題が登場してきます。リーディングでもシングルパッセージといえど最初から難易度の高いセットが出てきて出鼻を挫かれ、時間管理を失敗してしまうことがあります。このような変化によってテスト全体の難易度が高くなってきていると言えます。ですので、テクニックに頼って正解を選ぶことができる問題が減りました。

市販のTOEIC®用の単語帳や問題集について

TOEIC®用の参考書や問題集に掲載されている単語にも変化が見られます。従来よりも栄養士(nutritionist)、ケータリング(catering)、料理(culinary)といった単語をよく見かけるようになりました。また、「mobile app」や「3-D Printer」、「ride-sharing service」なども、TOEIC®の世界に登場するようになりました。文法に関してはパート5の問題数が10問減ったことにより、極端に簡単な問題や難しい問題が少なくなりましたが、出題範囲に大きな変化は感じません。

新形式に対応した公式問題集は、これまでに6冊発売されています。公式問題集は最新の出題傾向を汲んでいるため、問題集は4や5から取り組んでいくことをオススメします。公式問題集の最大のメリットはリスニングのナレーターが同じことです。もし、公式問題集以外を選択する場合は、毎回のテストを受験している著者の書籍を選びましょう。最新の問題傾向を反映している可能性が高いので、公式問題集以外であれば考慮すべき点です。

60回近くも受験していると、「こんな問題が出そうだな」というような問題集がわかりますが、受験回数の少ない学習者では見抜くことは困難なので、公式問題集から取り組んで理解できるまで学習してください。

最近では、公式問題集だけではなく、公式の単語帳も発行されています。過去問を分析して頻出度の高い1,000語と実際に出題された例文が使用されています。ご存知の通り、TOEIC®は問題冊子を持ち帰ることができないため、既出の英文を読むことができるのは公式以外では不可能です。公式ボキャブラリーブックは品詞別に分類され、アルファベット順に掲載されています。

英語初心者は公式問題集に取り組むことをオススメする

しかし、現在のところ単語帳に関しては、TOEIC®を熟知した著者に軍配が上がります。毎回受験した著者が記録した単語を分析して頻出単語を選び抜いているだけあります。中でも、『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のセンテンス』などTEX加藤氏の書いている単語帳をオススメします。この本は、受験者に絶大な人気を誇る『金のフレーズ』の姉妹本で、金フレに収録されている1,000語に重要な単語や最新の単語など加えた1,500語が含まれています。

上述のように、常にTOEIC®の問題は時代に合わせて変化し続けているので、最新の出題傾向に合わせて新刊を出している著者の書籍をオススメします。

そして、リスニングパートもスピーディなイギリス英語のナレーターの登場により、難易度が高くなっている傾向があります。このイギリス英語に対応するには、ナレーターの話す速度が早い音源素材が必要です。勘違いしてはいけないのは、標準速度の音声を倍速にしたものとは異なるということです。ここでオススメするのが、『八島式 TOEIC L&Rテストの英語が聞こえるようになる本』です。

本書では、頭の中の音とナレーターが話す音とのギャップを知り、正しい英語の音を身に着けることができます。リスニングでスコアを伸ばすためには、英語を語順のまま理解していく必要があります。この本では音読トレーニングで英語の語順を身につけます。そのほかにも、ナチュラルスピードの音声に加えて、イギリス人とオーストラリア人のナレーターによる高速の音声が収録されています。高速の音声でトレーニングをすることで、新形式になって登場した早口のナレーターに対応できます。

私自身も早口のナレーターに悩まされ、リスニングで満点を取り損ねました。音を聞き取ることができなかったことが原因でしたので、本書を使ってトレーニングをして10月の公開テストに挑みました。結果が出るのはひと月後ですが、改善できているかどうかを楽しみに結果を待ちます。さて、次回は多くの人が新形式になって難しくなったと感じているリスニングをさらに掘り下げて解説していきたいと思います。