過去形、現在完了形、過去完了形の違いとは?
動詞の現在形を学んだら、次は過去形について理解を深めましょう。過去を表現する方法として、過去形、現在完了形、過去完了形と紛らわしい表現があります。ここでは、英語学習者を惑わしやすい3つの違いについて明確にしていきます。そこで、まずは下の図を見てください。

過去形、現在完了形、過去完了形のそれぞれのイメージ
過去形、現在完了形、過去完了形は、3つとも過去に関係しています。これが、時制を理解するときに混乱してしまう要因になります。ここで説明する過去形は、“過去の1点”において起こったことを表現する時制です。
例えば、「30分前」、「昨日」、「1年前」に発生した事象を表現するときに過去形を使用します。対して、現在完了形では、発生した事象はいったん完了しますが、発生後の状態が現在も継続している状態を表します。説明だけではわかりにくいと思うので、下記の3つの例を見てください。
【例1】You got a mail.
【例2】You have got a mail.
【例3】You had got a mail
日本で携帯電話が普及し始めたころ、「You’ve got a mail」というセリフを着信音にすることが流行っていました。その頃、このアナウンスを真似している人をよく目にしましたが、実はほとんどの方が、間違えて表現しておりました。それは、耳で聞くと「You got a mail」に聞こえるため、「have」を抜いて表現していたのです。では、「have」があるとないのとでは、何が違うのでしょうか?
ここで最初の図を見ながら、例文を照らし合わせてみましょう。【例1】の表現は、過去のある時点で、メールを受け取ったという表現です。ですから「あなたは(ある時点で)メールを受け取りました」という訳になり、行為自体は完了しているという状態です。
一方、【例2】は現在完了形なので、一度どこかで発生した事象が完了し、継続している状態を表します。【例2】の場合ですと、メールを受け取ったがまだ見ておらず、受け取った状態が続いていることを表しています。
過去形の場合は、過去の「ある時点」で動作は終了していますが、現在完了形では「今週」や「今年」など継続している期間において、すでに動作自体は完了しているが、動作の影響が残っている状態です。
そして【例3】は、過去のある時点までに動作は完了しているが、動作がまだ続いている状態なので、「あなたは過去にメールを受信していました(メールを過去のある時点で保持している状態でした)」という内容になります。この3つを踏まえて、次の2つの問題を見てみましょう。
問題1:What the president ______ in the board meeting of Mentie Co. Ltd., yesterday was quite convincing.
(A)suggests
(B)suggesting
(C)suggested
(D)has suggested
この文の主語は「What the president ______ in the board meeting of Mentie Co. Ltd., yesterday」と長いですが、主語をAとして置き換えると「A was quite convincing」という非常に単純な構文だとわかります。問題1では、主語の中で使われている動詞の時制が問われていますが、「yesterday」という単語があるので、過去形の(C)suggestedが答えになることがわかります。続けて、現在完了形と区別するために、問題2も見てみましょう。
問題2:What the president ______ in the board meeting of Mentie Co. Ltd., this year is quite convincing.
(A)suggests
(B)suggesting
(C)suggested
(D)has suggested
この問題では、「this year」という表現があるため、「その発言が現在も影響し続けている」ということがわかります。そのため、現在完了形(D)has suggestedが正解であるとわかります。
【訳】
問題1:昨日の株式会社Mentieの取締役会での社長の提案はとても説得力があった。
問題2:今年の株式会社Mentieの取締役会での社長の提案はとても説得力があるものだ。
いかがでしょうか? 日本語に訳してみると大差ないのですが、実際の意味には大きな違いが出てきます。ぜひ、英語で日常会話をする機会があった際には、過去形と現在完了形、過去完了形の違いに気をつけて発言をしてください。
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日本の大学を卒業後、不動産業に携わる。その後、アメリカの大学院でMBA取得や日本での就業などを経験し、2019年よりブラスト英語学院を設立。語学資格は英検3級しか持っていなかったが、独学で英検1級とTOEIC®990点を取得。現在は英語に関する検定試験全般を指導している。「日本人特有の英語の悩みがわかるバイリンガル講師」として好評価を得ている。