3ヶ月で600点を達成するためのスケジューリングとは?【第3回TOEIC®600点への手引き】

TOEIC®に関わらず、英語の勉強をする上で大切なことがスケジューリングです。特に社会人は勉強時間の確保が難しく、スケジュールの立て方に工夫が必要となります。社会人から本格的に英語学習を始めて、TOEIC®910点や英検1級など上級者レベルに達した市川基寿に、英語学習を生活の一部にできるスケジュールの立て方を教えてもらおう!

目標スコアを達成するためには毎日勉強すること

今回は、日頃の勉強スケジュールについて考えていこう。スケジューリングをする上でポイントとなるのは、毎日継続して一定時間の勉強時間を確保することです。特に社会人の場合は、仕事の残業があったり、家庭で優先すべきことがあったり、と毎日勉強するのは難しいかも知れません。

しかし、1日サボると感覚が鈍ってしまい、戻すのに3日要するという格言があるように、日本語だけで生活できる環境にある私たちにとって、英語の試験で成績を残したいのならば、意図的に一定量の英語に毎日触れ続けることが実に大切です。

具体的には、平日と休日でそれぞれ学習ルーティーンを作ること。起床してから通勤・通学するまでの間で30分、通勤・通学の時間で往復30分、昼休みに15分間、帰宅後に1時間など努力次第で勉強時間を作ることが出来るはず。自身の生活スタイルから学習時間を見つけ出すことが出発点となります。特にTOEIC® L&Rテストのスコアが600点未満の初心者であれば、やることは山積しているに違いません。本気でスコアアップをしたいなら、せめて平日なら1日に合計で2時間の勉強時間を確保したいところ。

では、どんな学習をするといいのか疑問に思うことだろう。そこで私が提案するのは、各時間帯に合った勉強をして、さらに習慣にしてしまおうということです。

まずは、起床後の学習としてシャドーイングを行うことをおすすめします。シャドーイングは、影のよう音源に続いて音読をするトレーニングで、英語特有のリズムやイントネーションを体得する上で効果的です。まだ眠気のある状態で取り組めば、目覚まし代わりにもなるし、朝一番で英語モードに切り替えることができます。何よりも1日の初めに英語学習をすることになるので、「一切英語に触れない」という日を作らないメリットがあります。

続いて、会社への通勤時間(または学校への通学時間)がある人ならば、移動中も勉強時間に当てられます。電車なら自作のノートを見直すこともできるし、自動車であればオーディオから英語の音源を流してリスニングの勉強も可能です。特に通勤時間を勉強に当てるなら「リスニング系」がオススメ。これなら電車や車など通勤スタイルを問わず行え、誰にでも可能な学習方法だからです。起床時に行ったシャドーイングの音源でヒヤリングをし、音の変化等に注意しつつ聞くとシャドーイングの音源をよりしっかりと学習できますよ。

通勤時間の学習にはリスニング系がオススメ

昼休みから帰宅後・休日のスケジューリング

社会人の場合、勤務形態によっては昼休みになかなか勉強時間を捻出するのは難しいと思います。そこで、携帯のアプリを使って勉強しているオーラを隠しつつ、シレっと文法問題を20問解くといったライトな学習が適していると思います。意外とこういう環境で解いた問題は印象に残り知識の定着もよかったりするものです。

そして帰宅後は、落ち着いて机上での勉強をする。まとまった時間を確保しやすい帰宅後の時間は、問題演習をしたり、参考書を読んだり、集中して勉強したい。平日はこのように学習スケジュールを立てて、日々の生活の一部に組み込むことができればスコアアップにつながるはず。

一方、休日は本番さながらの条件で模試に挑戦して欲しい。初心者にありがちなのが、TOEIC® L&Rテストを受けるのにも関わらず、本番で初めて2時間・200問をトライしてしまうこと。日頃、ほとんど英語に触れない状態で、いきなり日曜日の昼に2時間の英語テストに集中しろと言われても、非日常的でかなりチャレンジングです。

そのため、試験当日に2時間もの間、英語に触れることができる「知的体力」を付けるという意味合いでも、平日は最低2時間の勉強が必要であり、時間のある休日に日々の学習の力試しも兼ねて2時間ぶっ続けで模試を解いて欲しいのです。

ここまで何度も「本番と同じ条件で」と述べてきたが、本番を意識してやることにこそ意味があると私は考えている。リスニングでは、問題を先読みする感覚や連続して問題を解くための集中力の維持とペースを体得できるし、リーディングでは、75分という限られた時間をどのパートから解けば一番スコアアップが望めるか試行錯誤できるからだ。そしていつしか、本番が特別なものではなくなってくる。休日に取り組む模試の延長線上でTOEIC® L&Rテストを受けることができれば、必ずやスコアアップにつながるはず。

なお、慣れという点で侮れないのが、TOEIC®がマークシート式の試験ということ。効率的に塗れるかを求めるのならシャーペンの芯は太いほうが良い(私の場合はマークシート専用のシャーペンを使用している)。また、模試に挑戦するときにはマークシートをコピーして解答するようにすると良い。マークを一段ずらして塗っていたなど、ゾッとするようなミスを回避することができる。こうしておけば本番の演習になるばかりでなく、復習もしやすいので一石二鳥である。

マークシート特有の記入ミスをなくすためにも本番と同じ状況で模試をする必要がある

一例として筆者のスケジュールを紹介!

私の平日のスケジュールを一例として紹介します。社会人にとってウィークデーをどのように過ごし勉強時間を捻出するかが最大の問題点。そこで私は、最大限に毎日同じように過ごし、学習をルーティンとしています。

まずは、5時に起床。目覚めとともに10分程度のシャドーイングを行います。使う素材は、既に文構造と内容を熟知しているものをチョイス。その後、音に集中するプロソティーシャドーイングを行い1日が始まります。

そして、6時に出勤。なぜ、時差出勤するのかというと通勤ラッシュを回避してストレスを溜めないため。また、早めに出勤して朝勉を集中的に行うためでもあります。敢えて電車内では勉強をせずに仮眠や好きな音楽を聞きながらリラックスするとメリハリがつきます。その後、会社最寄りのカフェで景色を見ながら1時間程の朝勉をします。ここでやるメニューは、主に参考書など「読み物系」をじっくり読みます。

昼休みは多くの人が1時間あり、昼食や午後に向けて仮眠をするのが主な使い方ですが、10分くらい携帯のアプリを使って単語を勉強したりすることもあります。職場で勉強することがはばかれる場合でも携帯でシレっと勉強することが可能。こういうスキマ時間も塵も積もれば山となるので、なかなか勉強時間を確保できない人にこそ、こういう時間を大切にして欲しい。

午後の勤務を終えて帰宅した後、勉強ばかりでは飽きてしまうのでしっかり余暇も取ります。その分、就寝前の2時間は集中して学習します。就寝前の2時間が1日の勉強時間のメインとなります。ここでは主に「座学系」、ガッツリと腰を据えて問題演習や講座の課題などを行います。就寝30分前には、単語やその日に覚えた新しい事項の「暗記もの」を復習。寝る直前にやることにより、就寝中に脳内で知識が整理されるのでこのタイミングで行います。

あくまでも一例として私のスケジュールをお伝えしました。社会人はまとまった勉強が確保しづらいですが、隙間時間を駆使して勉強時間を確保しましょう。日々の生活の一部に組み込み習慣化することでスコアアップにつながります。